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私はヒロインです

「で、なんで気づいたら後ろから助言していんの。メリーさん?」

「まだ1回しか会ってないのによく声だけで私とわかりましたね。これはもう運命では……?」


 無言で人混みの少ない壁際へ行き、背中越しで話しかける。

 すると背中に指が当たり、ゆーくり、ゆーくりとスライドされる。

 その動きを脳裏に浮かべると『ス』『キ』という2文字が書かれている。

 何回脳裏で指の動きをリピートしてもそれ以外あり得ない。

 しかーし、数多という罠に引っかかってきた俺には分かる。これはイタズラでしかないと。

 

 まったく……年下が居ない空間で先輩呼びする奴はお前しか居ないし、そもそも名前も知らない・呼んでないんだから正解もクソもないんだろうに。

 もう2度と出会わないと思ってたけど、折角会ったし聞いてみるか。


「一つ良いか?」

「告白ですか、卒業まで待ってくれると」


 声の語尾が露骨に上がり、トントンっと恥ずかしげにしているのか、背中を叩かれる。


「好きでもない男になんで媚び売ってるの?」

「それは、つまり他の男の人に嫉妬……ってわけでもなさそうですねー」


 振り返ると赤させていた頬がスンっと白くなり、無表情で俺を見つめていた。


「ふーん、まっいっか。そんなの好きにさせるためって決まってるじゃないですか」


 そして人差し指を頬につけ、ベロを出して小悪魔的に微笑んで答えてきた。


「好きでもない人を、好きにさせるため?」

「そうですよー。私こと苺谷 花音はある時、中学生ながら分かってしまったんです」


 後ろに手を組み、自信満々な笑みで背伸びを何回かして俺の回答を待っている苺谷と自己紹介した女の子。

 少しの間が流れ「何を」そう聞こうとした矢先、唇が指で押さえられる。

 なんだよ、答えさせる気がないのなら、なんの間だったんだよ。


「先輩、鶏は最初に見た生き物を親と思う事は知ってますか?」

「ふーん、ま、知っているな」


 ポケモンのピッピぐらいに指を振って聞いてくるけど、それが一体なんだってんだ。


「それなら物語でヒロインは最初に登場するって帝石も分かりますね」

「あー……つまり、なんだ?」


 なんとなく言いたいこと、やりたかったことが頭に浮かぶもそんな事ないよなっと疑わしげな目を苺谷に向ける。

 けれど、彼女は手を叩き、


「オタクの頭って、ニワトリレベルで。1番最初に登場する女の子を親鳥ならぬ、ヒロインと勘違いするフシがあるってことですよっ!」


 悪気を少しも感じない満面の笑みで、挨拶してきた全員を馬鹿にしてきた。


「つまーりっ、これで私はもう先輩のヒロインになりましたし、大多数のヒロインになったんですよ!!」

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