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私じゃない、私が

 階段を上がっていた俺の足が止まる。

 告白……そう言ったか? 凄く、凄く青春っぽいことをやろうとしている。

 それに状況的に考えて、心底惚れているあの男にってことだろう?

 俺が青春を凄くにも勉強なるかもしれない……?

 いや、ダメだ、手伝って欲しいって言われているのに勉強と考えている時点で俺は本気じゃない。

 そもそもとして成功を前提に考えているけど、手伝った挙句失敗したら目も当てられない。


「正直言って俺は友達もいないし、告白もしたことない、手伝えることなんかない」


 告白の失敗、も確かに青春って判定なんだろうけど。

 俺にはキツすぎる、もう少し甘酸っぱい告白なら喜んで偵察とかするのに。


「今回ので分かったの、私の覚悟なんて睡眠欲に負けるぐらいで。でも、苺谷さんと夜桜さんがいればなんか行けそうって!」

「睡眠欲に負けたのは、昨日風呂入って寝不足だったからだろ。俺なんかいなくても」

「ほらっ! 今だってすぐに揚げ足を取る、私よりなんか狡賢くて汚い」


 あぁ? 揚げ足? ずる賢い?

 コミュニケーション能力が低い、って馬鹿にしているか。

 眉をひそめ、月見を見る。

 けど、キラキラと凄く真っ直ぐな綺麗な眼をしていた。

 くぅ……ナチュラルに馬鹿にされている、何もしてないだろ。


「私は、私は、小さい頃一緒にいた彼が好き、大好きなの……だから、どんなことをしてももう一度見て欲しいって決めた。

 その為に——手伝って欲しいのっ!」


 これまでと違って、力強い眼差し。

 だけど、こいつが持っているキラキラしたシンデレラストーリー、みたいな恋愛感は合わない。

 もし仮に成功するのなら、俺だって青春を見てみたい……みたいがが、


「自分の主張と覚悟を言えば、相手が納得して手伝ってくれる。そう思っているのか?

 カップルになることを手伝う、なんて惨めになるだけ。それなら俺は俺のために青春を——」


 メリットが少ない上、あまりにも光属性で失敗を考えていなすぎる、そう言おうとした。


「私が……私がお礼を」


 お礼、それが意味するところは俺の好きな人をわざと外し、Dクラスにでも引き上げてくれる。そういう意味だろう。

 

「お前はもう使ったから、早くても投票権が再び貰えるのは2週間後。

 カップルは好きな人を相互に設定した上、大抵の場合、カップルボーナスで10倍の報酬をもらおうとするから当て合う。

 その時、俺よりあの男を優先する」


 おまけにカップルになったらなったで投票無料の権利が消え、現金で5万円も使って買わないといけない。

 絶対にその頃なら、頭によぎるだろう……お礼も伝えたし、わざわざ5万円も払わなくてもって。

 

「月見が好きな人がいないなら、信じることも青春だったかもしれないけど……そうじゃない」

「え、えっと……」


 月見は他にアイディアがないのか、言い淀んでしまう。

 助けて欲しい、と頼まれたのは嬉しいし、胸も痛くなるけど……俺の青春が疎かになってしまう。


「ごめん、俺は役に立たないし、時間——」


 再び上げようとした足が、月見に服を掴まれた事で止まる。


「好きだってもう気づいたし、説明の恥ずかしさもない」

 

 振り向くと彼女は懸命に理由を考えているのか、口をぱくぱくさせていた。


「メリット……だよね? 青春できるようになる、メリット——私が広める」

「広める?」


 なんだ、広めるって。

 まさか、変な噂を流してデメリットを増やして脅すってことじゃないよな?

 いや、それはそれで賢いか。


「私たちがカップルになったら、貴方のおかげって言う」

「俺のおかげ? そんなカップルに人気——」


 ある考えが浮かんで口を閉ざすと、月見はこれだとばかりに喉を鳴らす。

 

「そうすればDクラスでサポートが必要な人たちが相談が乗りやすくするため……上げてくれる。そうじゃない?」

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