「体育祭・学園祭」
学園祭の1日目は体育祭である。
体育祭の種目は、
・部活対抗リレー
・綱引き
・ドッチボール
・クラス対抗リレー
である。
そして、文化部である文芸部に所属する僕ーー坂口 蒼空はもちろん……
「リレーに出るだって!?しかもアンカー!」
当日、湊大にはそう言われた。
「おいおい。大丈夫かよ。50メートル何秒なんだよ……」
「6.8」
「あぁ……6.8か……6.8!?お、お前俺より速えじゃねぇか……っていうか陸上部入れよ……」
まぁ、こう見えて僕はなんだかんだ陸上はできたりする。
ただ、持久力はない。
「位置について!よーい!」
パンッ!と、スターターピストルが鳴り、部活対抗リレーが始まった。
文芸部は参加せず、見守ることとなったが。
「あー。面白かったー」
と、湊大は部活対抗リレーを満喫したようだ。
内容は真面目にリレーをするというより、それぞれの部活の個性を出したお笑いのようなものだった。
ゴールの際のオチも完璧で物凄く笑った。
そしてここからは本気の勝負だ。
「次は1年1組対、1年2組の戦いです!」
1組が僕と湊大たちのクラスである。
2組は確かに琴羽のクラスだった。
「よーい!」
パンッ!と、またスターターピストルの音で、綱引きが開始した。
「おらー!1組行けえー!!」
みんなの応援が重なって……
「えー。今回の1年綱引きの総合優勝は……」
全ての綱引きが終わり、綱引きでの学年ごとの総合優勝が決まる。
「1年2組です!!」
「わあああ!」と1年2組のテントで歓声がおこる。
最初試合で既に1組は負けていた。
思ったより、2組は体育祭で活躍していた。
「1年ドッチボール総合優勝は……1年2組です!!」
そしてドッチボールも終わり、1年2組に総合優勝が決まる。
「2組強すぎねぇか……」
はぁ、とため息を吐きながら湊大が言った。
「湊大」
「ん?」
「まだだよ。リレーが一番得点が高いんだから」
「まぁ、確かにそうだな」
まだ試合は終わってない。
そんな名台詞のようなものを考えながら、自分の試合の場所に僕は行った。
「蒼空!ど根性をかませ!!」
湊大のその遠くから叫んだ、大きい声を聞きながら
「次は、1年のクラス対抗リレーです!」
アナウンスにより、グラウンドは静かになる。
しかし、大丈夫だろうか。
2組のアンカーは陸上部の1年のエース。
彼はどちらかというと持久力系ではあるが、陸上部に勝てるような気はしない。
……いや、やるしかない。
勝てるか、勝てないかじゃない。
やり切ろう。
勝ちにいこう!
「皆さん準備は良いですか?」
もうそろそろ試合が始まる。
僕はアンカーだからもっと後なのだけど、もう緊張し始めてる。
呼吸を整えて……。
よし。
これが、
「位置についてー」
僕の、
「よーい」
いや、僕らの、
「どん!」
体育祭だ!!
「おぉっと!2組が先頭に立ちました!」
「その後ろには3組!」
「1組は遅れています!ただ、まだ追い越せるぐらいの僅差です!頑張ってください!」
1組は最下位。
ただ、まだ追い越せる。
「今、バトンが渡されました!次はアンカーです!」
次は僕のターンか。
行くぞ!
「蒼空!はい!」
僕はバトンを受け取った。
そして全速力で走った。
少しずつ前のランナーに近づいていき、3位にまで到達した。
「え?あの人速くない?」
「すごい!めっちゃ速い!」
「1組!頑張れ!」
「いや蒼空速すぎだろ……」
あともう少しで、1位の2組を追い越せる……!
あと、もう少し!
「さぁ!最終コーナーに差し掛かりました!優勝はどのクラスでしょう!」
駄目だ……間に合わない……。
これは……負ける……。
やっぱり、陸上部は速すぎる……。
『ど根性をかませ!!』
「蒼空ああああああ!!!」
湊大の叫びが聞こえた。
まだだ。
まだ、試合は終わってない!
「最後のストレート!優勝は2組か!?1組か!?」
駆け抜けろ!
蒼空!!
「ゴール!!勝者はどちらなのでしょうか!今からビデオ判定が入るので少々お待ち下さい!」
「お前すげぇな……」
2組のアンカーである、陸上部の人がそう言ってきた。
「俺は森川 走希。一応、陸上部のキャプテンを狙ってる。そっちは?」
「僕は坂口 蒼空。文芸部だよ」
「……文芸部……?」
僕が文芸部であることに相当驚いたらしい。
本気で目を見開いている。
「ただいま、ビデオ判定が終了したため、順位を発表します。選手の皆さんは自分のクラスのテントに戻ってください」
走希と話しているとアナウンスが流れてきた。
「おっと、じゃぁ、また後で話すか。じゃぁな!」
「またね!」
「お前すげぇな……」
なんかデジャブが起こった。
テントに帰った途端、湊大にそう言われた。
「では、順位を発表します」
クラスのみんなが手を組んで祈りながら耳を傾けている。
「下の順位から発表します。最下位は……」
順々に発表されていき、
「3位、3組!」
3組で歓声が巻き起こる。
「次は、1位の方を発表いたします」
みんなが祈る中、発表される。
みんなの努力の結晶。
そのみんなの中には走った人だけじゃなくて応援していた人も入るだろう。
僕は、湊大の応援に助けられたのだから。
これが、
「1年クラス対抗リレー」
僕らの、
「1位は……」
1年1組の、
「1年1組です!!!」
体育祭だなんだ!!!
ということで、蒼空の新たな能力が出てきましたね(笑)
6.8は早すぎです……。
と、蒼空のおかしい足の速さは置いておいて、ついに学園祭が始まりました。
次は文化祭です!
蒼空の脚本がどう活きるのか、注目ですね!
それでは次の話で!
え?琴羽はどこに行ったって??
まぁまぁ、それは……ね?