「文化祭の脚本……と、蒼空の姉??」
「頼むっ!お前しかいないんだっ!」
脚本なんて僕には書ける気がしない。
僕にはそんなことできると思えない……
それでもっ……!
『でもさ、花音ちゃんと約束したんでしょ?絶対に世界一の小説家になるって』
『じゃぁ、世界一の小説家になってよね。絶対だよ!』
2人は支えてくれたんだから。
それ以外にも僕を支えてくれて、信じてくれた人がいるから。
少しでも、みんなが笑顔になれるように、僕は小説を、脚本を書く。
「分かった。書くよ。みんなを笑顔にできるような脚本を」
そう答えたら、湊大は「まじでありがとう!」と感謝してくれた。
これもチャンスだ。
この経験があとに活きるようなものにしなくちゃ。
「けど、何を書くか……」
アニメに合うようなものを書くなら、
どちらかというとファンタジーがいいのかな?
でも、自分の得意なのはラブコメだし……。
うーん……。
「ということで、僕は何を書いたらいいと思う?姉ちゃん」
「なぜそれを私に聞くんだ……」
姉ちゃんこと、澤田 明莉。
彼女は既に成人しており、本物の小説家だ。
しかも、売れっ子である。
僕が彼女を姉ちゃんと呼んでいるが、そこに血の繋がりは全くない。
「蒼空も変わってないねぇ。私も可愛らしい弟を持ったもんだ。で、文化祭の脚本?そんなのを引き受けたのか?」
「友達に頼まれて。僕は少しでもいい文化祭にしたいし。本気で考えようと思う」
「……へぇー。少しは大人らしくなったんじゃない?」
姉ちゃんは僕と一緒に暮らしてたことがあるぐらいだから、僕の性格をほぼ理解してる。
その分、僕の能力も理解してて、姉ちゃんのアドバイスは的確である。
そのアドバイスを聞きながら脚本を作っていき、ついに完成した。
ジャンルは、僕の得意なラブコメ。
姉ちゃんによると、「変に新しいのとか作るより、自分ができるものを作った方が良い。これ社会を生きてきた上での知識ね」
だそうだ。
「多分、最初にしては上出来かな」
姉ちゃんの力も借りて、文化祭で使う脚本ができた。
文化祭は学園祭の二日目だ。
その頃までに湊大たちはアニメーションを作らないといけない。
早く湊大に渡すか。
『あいつ、病気で休みらしくてな』
湊大がそう言ってたのを思い出す。
少し、琴羽が学園祭に出れるかが不安だけど……。
「すげぇ……。蒼空これすけぇぞ!」
湊大に渡して説明したら、物凄く感動された。
「こりゃ、いい文化祭にできるなっ!お前のおかげだ!」
湊大らしい笑い声を上げながら、僕の肩をポンポンと叩いた。
この年から3年間。
その3年間の文化祭は、伝説の文化祭だったと、この学校では語り継がれることになるが、それはまた別の話である。