おまけ「妹の成長?日記」
「お兄ちゃん!でけたよー」
と自分のパソコンを指差す美穂。
つまり見ろということだ。
自分は親じゃないのだが。
と思いつつも、妹のパソコンに移動。
小学三年生にしては上出来な文章をすらすら読んでいく。
表現がいまいちなところがあるが、物語自体は面白い。
本当にこの妹が書いたのかを疑うぐらいには。
だがしかし、アドバイスと称して、難癖をつけることはできる。
悪い笑みを浮かべる。
まぁ、んなことしないけどな。
そんなしょーもないことを考えていたせいで、妹の視線に気づいていなかった。
感想が欲しいらしい。
「あー、登場人物をもう少し増やしてみてもいいんじゃないかな。それと……」
と、僕が思うアドバイスを端的に言う。
妹はそれで納得したようで、「うん。美穂がんばる」と言って作業に戻った。
「兄ちゃん!出来た」
丁寧にタブレットを持って来て僕に渡す美穂。
もう恒例になってきている。
自分は親じゃないのだが。
とは思うが、正直美穂の物語は面白い。
自分の物語への参考にもなる。
いつも通りアドバイスを送ると、「はーい。美穂……じゃなくて私頑張る」と言って去った。
「兄ー!出来たから見ろー!」
「なんか最近僕の扱いがぞんざいな気がするっていうか見ろはないだろ見ろは」
ドタバタと走ってきて僕を無理やりリビングから事務室へ連れていく美穂。
最近の美穂は力もついてきて怖いことありゃしない。
渋々美穂の物語を読んでいく。
読んでいく。
ん?
更に読んでいく。
あれ?
そこで気がついた。
これ……僕の物語よりも面白くないか?
妹に追い抜かされて兄であった。