「走希・青春」
「女子50mリレー、優勝です」
と、アナウンスが流れ「わー!」と歓声が上がる。
今日は陸上部の大会があり、その結果が速報として学校の放送で流れた。
今回は1年生のある女の子が活躍したらしい。
陸上部のエースらしいが、あんまり僕――坂口 蒼空には関わりがないのでよく知らない。
ただ、陸上部といえば、僕が1年生の時に出たリレーで、2組のアンカーをしていた、森川 走希を思い出す。
キャプテンを狙ってるって言ってたけど、どうなったんだろ。
まぁ、別のクラスだし、あんまり会う機会もないけれど。
「恋愛相談を受けて欲しい」
と、何故か走希の恋愛相談を受けることになった。
いやどうしてこうなった。
まぁ、湊大経由で、僕に相談することになったらしいけど……。
ちなみに、走希はキャプテンになれたらしい。
そして、キャプテンになったことによって、また恋心が加速したらしい。
あまり、恋愛ということ自体得意じゃないけど、とりあえず内容を聞いてみることにした。
走希は部活の後輩を好きになったらしく、その子が副部長で、よく話している内に更に好きになって、どうしようかと悩み始めた、ということらしい。
だから僕に「どうすれば良い?」と聞いてきた訳だが、
「いや、どうすれば良いかって聞かれても……」
選択肢としては、『告白するか』『告白しないか』である。
当たり前だけど、告白するってことには勇気がいる、その勇気があまり出ない時、『どうしたら良い?』って、悩んでしまう。
正直、僕も同じ感じで悩んでた。
いや、今も悩んでる。
彼女と離れてしまった今、どうするべきか。
――あの時、中学生の時に想いを伝えてたらな。
なんて、そんな後悔もある。
だからこそ、走希に言えることは、
「告白せずに後悔するより、告白して後悔する方が良いと思うよ」
僕が感じたこと。
もじもじしてるより、大胆に行ったほうが良い。
それは妹の美穂を見ていて感じたこと。
それらを伝えて、走希との恋愛相談は終わった。
――と、思っていました。はい。
あの日から走希は何があったのか、どれだけ話せたかとか、毎日のように報告にしにきている。
ちなみに、バレンタインはもらってたらしい。
僕なんて最近もらったこと無いよ……。
まぁ、妹にもらってるんだけどね。
優しい美穂は兄にチョコを作ります。
感謝しかない。
そんな話は置いておいて、走希の恋愛事情だけど、最近は自分から行くようになって、いい感じらしい。
「脈アリかは不明だけどな……」
走希が言う。
「まぁ、まだナシとも決まってないし、告白してみたら?このままだとなんにも起こんないし」
と僕は返す。
「まぁ、そうだよなぁ……」
走希は少し項垂れた。
「ちなみに、関係ないけどさ、走希の好きな人ってどんな人?」
興味本位で聞いてみた。
「あぁ、この前の女子50mリレーで活躍した、『エース』って呼ばれてる1年生」
あの大会で活躍した子か……。
会ったことないけど、とにかく凄いとは聞いたことある。
「なんて言う人?」
特に意味もないし、名前も知らない人なはずなのに、聞いていた。
そう、知らないはずだった。
けど、
「渡辺 結月って言う人」
「へぇ〜……ん?結月?ん!?結月!?」
めっちゃ知ってた。




