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夢を叶えるもの +  作者: 山本 2k
第四部「恋の春」
25/30

「指導者:僕には向いていない」

リーダー。

みんなをまとめる存在。

そこには、周りを見たり、周りから信頼されたりする能力がいる。

その能力が自分にあるかと聞かれたら、僕――坂口さかぐち 蒼空そらは否定する。


もっと簡単に言えば、僕はリーダーに向いていない。

っていう、ネガティブな考えは止めた。

向いてはいない。

でも、だからって、やらない理由にはならない。

貴重な経験になるかもしれない。

誰か、良い人に会えるかもしれない。

苦手を克服できるかもしれない。

色々な利点がある。

ただ、進んで立候補するつもりはなかった。

自分の苦手なことだし、正直、誰かに推薦されるとも思わなかった。



ある日の放課後。

僕はいつも通り、部活で小説を書く。

僕の対面には琴羽ことはが、

右隣には、

「兄は今何書いてんの?」

妹の坂口さかぐち 美穂みほがいる。

正直、妹と同じ学校で、同じ部活をするなんて思ってなかった。

家でのあのバタバタ加減は学校ではマシかなと思ってたけど、あんまり変わらなかった。

まぁ、元気なことは良いことだ。

「今はファンタジー小説。たまにはいつもと違うジャンルで挑戦してみようと思って」

先程の美穂に対する答え。

その場で求められるのが自分の得意なものとは限らない。

当たり前だけど、だからこそ、全部得意にする必要はないけど、出来るだけ良いものが作れるように、練習する。

それに、最近はファンタジー小説にもハマってきたし。

新しい世界が広がったとも思う。

「私もいつもと違うジャンルで書いてみようかなー」

美穂がつぶやく。


と、いつも通りのほのぼのとした時間だな、なんて思っていると、

「今日は、新しい部長を決めます」

顧問の先生が前に立って、そんなことを言った。

そして、顧問の先生は3年生のみんなが、夏休みの間に考えた次期部長の候補者を挙げた。

「坂口 蒼空。長谷川はせがわ 太一たいち渡辺わたなべ 琴羽ことは

僕の名前が入っていた。

そのことにもびっくりだし、それに僕にリーダーは……。

いや、そんなことは良い。

ただ、他の二人がどうかを聞かなきゃ。


その後、3人で話したが、誰もやりたいとは言わず、結局、部員全員で決めることになった。

推薦式。

誰が相応しいと思うかを、1人に絞って選ぶ。

「部員全員での推薦の結果、」

つまり、部員たちの信頼がある人物が選ばれる。

「次期部長は、」

僕は、それに選ばれたとしても、

リーダーという役職が苦手でも、

皆に選ばれたのだから、

「坂口 蒼空さんです」

やり切ると、決めている。

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