外伝「リーダー」
リーダー。
昔から自分には向いてないと思っている。
だって、周りと話すのは苦手だし、みんなをまとめるっていうのも得意じゃない。
高校生になっても、誰とも話さず、小説を書いていくと思っていた。
でも、
『どうも、名前はなんて言うんですか?』
一人の男の子が話しかけてくれたおかげで、私――
『渡辺 琴羽です』
渡辺 琴羽はその男の子の仲良くなれた。
『あなたはなんていうんですか?』
その男の子こそ、
『坂口 蒼空って言います』
私の好きな人。
高校2年生の夏休みが終わり、2学期が始まった。
放課後は部活に行き、小説を書く。
いつも通り蒼空と2人で……はなく、蒼空の隣には女の子がいる。
その女の子が蒼空に声をかける。
「兄は今何書いてんの?」
蒼空のことを『兄』というその女の子――坂口 美穂は蒼空の妹である。
「今はファンタジー小説。たまにはいつもと違うジャンルで挑戦してみようと思って」
蒼空は真面目である。
会った当初は物凄くネガティブだったけど、なんとなく、あの文化祭用の脚本を作ろうとなった時ぐらいから、蒼空の小説とかもポジティブになってた。
1年生の冬の小説コンクールでは金賞を取ってたし。
遂に、私を超えた様だ。
少し妬ましかったけど、蒼空が成長したことが嬉しかった。
そんなことを考えていると、顧問の先生が前に立って、話始めた。
「今日は、新しい部長を決めます」
この高校では、夏休みの間に3年生で次の部長・副部長に相応しい2年生の候補をいくつか絞って、2学期に新しい部長・副部長を決めるようだ。
今年度の候補者は、
「坂口 蒼空。
長谷川 太一」
そして、
「渡辺 琴羽」
私。
私が候補者の中に入っていた。
驚きと同時に、頭の中にある言葉が思い浮かんだ。
リーダー。自分には向いていない。




