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夢を叶えるもの +  作者: 山本 2k
第四部「恋の春」
22/30

「再開」

彼女は、記憶が朧げである。




「はぁはぁ」

走る。

「はぁはぁ……」

まだ、走る。

目的地は水川みずがわ病院。

「405室……4階か」

部屋を見つけ、扉を開ける。

そこにいるのは、女性。

その女性は、ベッドに座って窓から外の景色を見ていた。

僕が部屋に入ってくると、ゆっくり、僕の方を向いた。

そして柔らかい声で聞いてきた。

蒼空そら?」

少し、頭を傾げて、自信なさげに聞いてくる、その姿を見て、心が痛くなるのを感じた。



彼女は、記憶が曖昧である。

理由は交通事故。

車にはねられた。

相手の車が赤信号にも関わらず突っ込んできたらしい。

今までは意識がなく、これからも意識は戻らないだろう、と思ってた。

でも、急に意識が戻った、って花火が終わった時に知らされた。



「うん、蒼空だよ」

そう言って、僕は彼女の元へ寄る。

そして抱き着く。

彼女――坂口さかぐち 永舞えまは、僕の、

「母さん」

「ごめんね。心配させちゃったね」

母さんが僕の頭を撫でながら言ってきた。

「母さんは悪くないよ。大丈夫」

涙を堪えて、言った。

「ごめんね」

そう言う母さんの頬には涙が流れていた。


その後から、美穂と父さんも来て、みんなで、再会を分かち合った。


その夜は、家族で静かに泣いた。



みんなでの花火は楽しかった。

今は、幸せだ。

家族全員での日常が、『再開』した。

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