「ライバルであり、友であり」
この話は、僕ーー坂口 蒼空が、高校1年生を終え、春休みの間に起きたことである。
「たまには気分転換で外に行くのもどうだ?」
いつも通り、パソコンで小説を作っていた時のことだ。
お父さんにそう言われた。
確かに外に行くのは良いことだろうが……
「どこも行く場所がない」
正直、行きたい場所がない。
「じゃぁ、バスケの試合見に行きたい!」
とは美穂の言葉。
空気が読めないんだかなんだか……。
嫌な予感がする……。
「つまり、美穂の好きな人がこの試合に出ると」
「だから好きな人じゃないって」
美穂はちょっと不機嫌そうにこう言ってるが、まぁ、その絢斗とか言う人が好きなんだろう。
普通に分かりやすい。バレバレである。
……なんか自分の心にも刺さったな……。
そしてその試合当日。
「次の試合は、〇〇中学対、北青樹中学!」
ちなみに、この試合は今年度の中学の卒業生でやってるようだ。
道理で美穂が知ってる人が出るわけだな。
「ほら!あの一番端にいる人が絢斗くん!」
端にいる人……イケメンだなぁ……。
でも、なんか、どこかで見たような雰囲気が……。
気のせいか。
結局、結果がどうなったのかは全く分からないというか興味ないというか……。
とりあえず、終わったから帰ろうというところで……
「あれ?お前、蒼空か?」
聞いたことある声に呼び止められた。
パッと振り返るとそこには懐かしの人が……。
茶色の髪の毛をしたイケメン少年。
「久しぶりだな。蒼空」
「こっちこそ久しぶり。陽翔」
そこには前田 陽翔がいた。
中学の時は、なにかと連絡するたろうなって思ってたけど、意外と疎遠になってた。
こうやってまた会えて物凄く嬉しい。
「そういえば、陽翔はなんでこんなとこにいるの?」
つい、不思議で聞いてみた。
「あぁ。俺、バスケ部に入ったんだよ」
陽翔は運動もできるし、バスケ部に入っててもおかしくはないのだが、
「文芸部には入らなかったの?」
あれだけ小説が好きなら入ってそうなものなのだが……
「うちの高校、文芸部が無かったんだよ……」
トホホと項垂れる陽翔。
なんかデジャブ。
「まぁ、それでも小説書くのは続けてるけどな」
今は陽翔の苦手なラブコメを練習してるらしい。
「まぁ、蒼空に協力ぐらないならできる。なんかあったらまた連絡してくれよ」
「もちろん」
やっぱり、相変わらず陽翔は優しい。
陽翔は僕の味方。
友達である。
だけど、
「一応言っとくが、蒼空は俺のライバルだからな」
競争相手でもある。
「でも、陽翔とは友達でもあるでしょ?」
「そうだな」
陽翔は笑いながら返した。
僕は陽翔に負けるつもりはない。
そして、お互いに良いライバルでありたい。
つまり、この2人の関係は……
「ライバルであり、」
陽翔の言ったことに、僕が続ける。
「友であり」




