「1年・冬の小説コンクール」
学園祭:6月
そんな話が過去の話となった今。
僕ーー坂口 蒼空はある大きな目標へと進む。
現在:12月
「ねぇ、姉ちゃん。何が足りないと思う?」
僕は、姉ちゃんーー澤田 明莉に相談した。
「何が足りないかねぇ〜。ん〜。1回、別のジャンルを書いてみたらどうだ?ほら、ファンタジーとか」
「いや、でも今まで書いたことがないから、それは危ない気がするんだよ……」
「危ないねぇ〜。1年に一度のコンクールだっけ?確かに、『冬の小説コンクール』とか言う」
そう。
僕は文芸部の最終地点。
冬の小説コンクールでの特賞を狙ってる。
冬の小説コンクールは、それぞれ、
特賞1名
金賞各市1名
銀賞各校1名
となっていて、絶対に全てあるという訳ではない。
つまり、いい作品がなければ、特賞が誰にも授与されない。
そんなこともあるそうだ。
「それに、姉ちゃんだって言ってただろ?『変に新しいのとか作るより、自分ができるものを作った方が良い』って」
と、僕が言ったら、姉ちゃんに「ふっ」と鼻笑いで返された。
「確かに蒼空にとってラブコメが一番得意なのは事実だけどな。でも得意なものをやれば良いって訳じゃない。別のジャンルの小説を書いてみれば、新しい気付きがあるかもしれないだろ?」
やっぱり、姉ちゃんの言うことは心にいい意味で刺さる。
なるほどって納得できる。
とりあえず、ファンタジーの路線で行くのもありだな。
「しっかし、やっぱり兄妹だな。美穂のやつも同じこと聞いて、同じこと言ってたしな」
「ん?」
「いや、なんでもない」
姉ちゃんは物凄く楽しそうな鼻笑いをしていた。
そっとしておくか……。
「とりあえず、最後まで諦めだけはするなよ」
姉ちゃんは、そう最後に言った。
「蒼空がファンタジー小説書くの……?」
琴羽に物凄く不思議そうというか不安そうに見つめられた。
別にファンタジー小説苦手って訳じゃないのにな……。
「まぁ、私でよければ教えるぐらいはするよ」
やっぱりいい人……!
なんか、花音を思い出してしまうな……。
僕の夢をおしてくれた人。
まぁ、なんやかんやあって、結局完成した。
時間が余ったので、気になるところに修正を入れつつ、やっぱり陽翔や花音のことを頭に思い浮かべた。
「冬の小説コンクールってこんな感じなんだな……」
「うん。僕も全然知らなくてびっくりした」
湊大が驚いたというより呆れたような感じで周りを見渡す。
そこは、ある会場だった。
つまり、僕らの小説の結果発表はここで行われる訳だ。
この大勢の中で……。
否応なしに緊張してきた……!
いや、っていうかなんでこんなに人数いるんだよ……。
まぁ、なにせ一大イベントだから。
保護者以外にも、町の関係者などが集ってるんだろう。
「今から、冬の小説コンクール、授与式を始めます」
ついに始まる授与式。
鼓動が速くなる。
「銀賞の方々の名前をお呼びします」
「〜〜高等学校、〇〇〇〇」
「△△高等学校、✕✕✕✕」
「水川高等学校、渡辺 琴羽」
「次は金賞の方々の名前をお呼びします」
結局、銀賞に僕は呼ばれなかった。
琴羽は銀賞だったが。
僕はまず、選ばれなかったのかもしれない。
金賞なんてことすらなかったのだから。
自信がない。
多分、選ばれないだろうなって思ってる。
期待しなければ、そこまで悲しくならないだろうし、期待なんてしない。と思ってる自分がいる。
そうかもしれないな。
それが合ってるのかも。
僕は……
『じゃぁ、世界一の小説家になってよね。絶対だよ!』
『でもさ、花音ちゃんと約束したんでしょ?絶対に世界一の小説家になるって』
『ど根性をかませ!!』
『蒼空ああああああ!!!』
『とりあえず、最後まで諦めだけはするなよ』
『蒼空の書く小説、表現が可愛くて好きだよ!』
ふっ……。
みんなバカだね。
こんなバカな僕を支えるんだから。
だから、僕はできる限り期待に応える。
「金賞、」
最高の小説を見たい。
「水川高等学校、」
そうだろ?
「坂口 蒼空」
みんな!




