落ち着くとこに落ち着く順位
外部生クラスは結局、年間を通して内部生クラスに勝てる事は一度も無かった。試験でも大会でも、内部クラスが栄冠を手にした。
全般の指導管理を任されていたわたしの力及ばず、というところだ。
けれど、点数だけ見たら、例年よりもはるかに差は肉薄してる。ギリギリだった、って言っていい。
皆んな一所懸命頑張ったんだ。むしろ外部生クラスでは、歴代でも断トツの数字を叩き出してる。それを抑えきった内部生たちの方が凄いのだ。
さすが王太子殿下の世代だ、なんていって、どうやら学園関係者や国の役人たちにも評判になってるそうだ。
というのも、内部生の生徒たちが猛勉強に励んだためだ。
外部生クラスの生徒たちが、打倒内部生クラスをスローガンに勉強会などを開いたら、それと同等かそれ以上の努力で勉学に励み、外部生たちの猛追を振り切った。
以前の、学園内圧力による強迫観念から追い込まれてたのとは違い、彼らの自主的な努力が実を結んだ形だ。
なぜ王都のボンボンたちがそんな研鑽を積んだのか?
きっかけは、ハッキリしている。
学園全体の学力向上においても、常に定期テストや参加した大会で成績トップ5をキープしつづけ、各種イベント後の王太子殿下による講評で、外部生ながらもその名を言及までされた『フィーユ・シャルマン男爵令嬢』の存在が、内部生たちのプライドをいたく刺激したためだ。
いまや、外部生たちの希望の星となったフィーユの痛快な好成績に、結果が発表されるたび外部生たちがやんやとはしゃいで、内部生たちはぐぬぬ…っ、と歯噛みする。
しかも、レグノ殿下はあくまで行事間のみの接触にとどめているものの、近頃はリヴァル侯爵令嬢やトゥオーゾ侯爵令息といった、高位貴族子弟からの覚えも良いらしい。
となれば、内部生たちも見過ごせない。
目立つ外部生を大人しくさせるにはどうすればいいか?
簡単だ。その目立つ要因の成績を、下位にまで沈めてしまえばいい。
そうしてフィーユ男爵令嬢を成績上位から引き摺り落とすため、内部生クラスの有志たちがより一層の猛勉強に励んだ。
これまでの見えない圧力からの悲壮感ではなく、自分たちでやる気を出して自主的に努力しているのだ。その伸びは、当たり前のように、以前の比ではない。
外部生クラスが全体的に底上げした以上に、内部生クラスが点数を積み重ね、競争と対立は激化した。
その中であっても、トップを守り続けている王太子一派とフィーユ嬢。頭の出来が違いすぎる。
そんなフィーユに、「そろそろ王太子へのアタック再開してみる?」と聞いてみたら、「まだまだだよ」と笑いながら更なる向上心をみせた。
レグノ殿下からは直接何の接触もないが、侯爵令嬢や令息などからは都度、個別にお褒めの言葉をもらっているらしい。もはや入学当初とは違って、彼ら王太子殿下の取り巻きたちに認められているのだ。
わたしたちも台本作成に協力した弁論大会では、議論に詩作を絡め、その王太子派のラドゥジエム伯爵令嬢に競り勝って優勝までした。いまや押しも押されもせぬ、学園を代表する生徒のひとりだ。
学園トップクラスの知性に可憐な容姿、人懐っこく気さくな性格。
才色兼備なフィーユは、外部新一年生たちの憧れだ。
……で、対するわたしの成績の方といえば、案の定、やっぱりガクンと、見事に落ちてた。
一時は総合十数番台にまで食い込んでたものの、学年終わりには30位台後半の、夢の中で見た時とほぼ変わらないあたりに落ち着いた。
そりゃあ、元の出来の悪さはどうしようもないか。
こんな、内部生の優秀な生徒たちには全く歯が立たない程度のわたしが、どれだけテスト対策の指導したって、外部生たちの成績向上には繋がらないよね。
フィーユや数人の頭の良い子たちは、わたしが伝えた傾向と対策、身につけるコツなどを独自に咀嚼して、更なる高みに行ってみせた。
でもそれを知識として持ってるだけのわたしは、自分で実践してみせる能力が無いのだ。
口ばっかで、実際にはやってみせられない人間に教わっても、みんな???となるに決まってるもんね。せっかく内部生クラスに勝つぞ!と盛り上がってたのに、わたしの力及ばずで申し訳ない。
まぁ考えようによっちゃ、わたし個人では悪くはない位置だ。
夢で見た通り、王太子妃候補としてなら目も当てられない酷い成績でも、外部生としてなら全体で四十位内、外部生のみなら、十番以内だ。わたしの頭からしたらまぁまぁでしょ。
え、外部生たちの顔になったフィーユが、クラスの皆んなから生徒自治会の委員に推薦されたって?んで、わたしにも補佐として手伝って欲しい?
仕事は学園との折衝や内外部生同士の議論や運営管理、そして内部生最上位生徒たちのサロンとの交渉etc.ですか…。
王太子派と顔を突き合わせる事も多い、と……。
絶対嫌だっ!!!!!




