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内外抗争

 冬休みを終え、わたしたちは学齢がひとつ上がった。



 クラス替えの結果、わたしは皆んなとバラバラになった。


 フィーユとアンバーが同じクラスになり、エルサとも離れた。

 そしてコーニー嬢が、改めてわたしのクラスメイトになった。


「ふたりが仲直りしてくれたら嬉しい!」

 とフィーユが期待した声で喜んでたけど、曖昧に笑っておいた。



 以前の件以降、個人的な事情によりコーニー嬢とは距離を取っている。

 あくまでわたし個人の話だから、皆んなには気にしないで欲しい、と説明はしておいた。


 ただ、出来ればフィーユ自身を彼女から引き離したい。けれどもわたしの感情のみでやるべき事ではないから、何ともはがゆい。

 もう監視の必要はなく友情のみの関係だ、というコーニー側の言い訳も、筋が通ってる。ふたりが仲良くするのを止める権利は、わたしには無い。



 だからわたしたちがフィーユと遊ぶ時はコーニー嬢は呼ばないし、フィーユがコーニーと遊びに行く時は、わたしは絶対近づかないようにした。

 フィーユの気分を害するかもしれないのだけは正直ツラいけど、こればっかりはわたしの事情なので仕方ないのだ。

(王太子側に情報筒抜けなんて勘弁してよ……)

 王家側にも覚えが良くないラフネスとしては、極力接触を減らしたい。





 気がつけばフィーユとアンバーが、新一年生たちから外部生の星のような扱いになっていた。



 アンバーはすっかりマニッシュな雰囲気が板につき、今やおしゃれな立ち居振る舞いで女生徒たち憧れの王子様だ。

 フィーユは成績で内部生たちに食い込む才女として、こちらも洗練された所作が憧憬の眼差しで見られてる。


 ふたりして歩けば、一年生だけじゃなく同級生や三年生の先輩方までが、黄色い歓声を上げた。


 その分、内部生からの反感が以前より強くなり、本物の王子様に対して偽物の王子と姫だと、内外対立の象徴になってしまっていた。



(これってマズくね……?)

 なんて心配してると、

「大丈夫だよ、殿下はそんな事気になさるような器の小さいお方ではないから」

 と、フィーユの方に気にするようなそぶりが全くない。

 恋は盲目なんてレベルじゃなく、殿下への確固たる信頼感に裏打ちされたみたいな断言だ。


「お、おぅ……」

 なんだか雰囲気に違和感あるなぁ。恋する乙女が憧れの人に向ける感情として、それで合ってる…?恋愛音痴のわたしが言える話じゃないけども……。




 一方でエルサが、アンバーをフィーユに取られた、なんて可愛く嫉妬して拗ねてみせる。


 両手に花なアンバーがデヘヘッとにやけてると、それを複雑な顔で見送る男子たちがちょっと可哀想に見えてきて、笑ってしまった。

 特にフレンくんは、なんとも言えない表情で女の子たちの麗しの友情を眺めている。


 これまでアタックを頑張ってきたおかげで、他の男子たちよりは頭ひとつ抜きん出てエルサと仲良くなれてる。でも、アンバーが相手じゃあ、さすがに分が悪い。

 それでもチラッとエルサと目が合ったなら、はにかんだような微笑みを返してもらえてる。だからまだ脈はあるさ。諦めず気長にいきなよ(笑)




 そんな感じで、わたしたちは二年生になってからもクラスの枠を越えて、男女となくよく集まっていた。


 それぞれが新しいクラスで新しく仲良くなった子を連れてきては、互いに紹介しあったりもする。そこからまた、新しい交友関係が派生したりした。



 中には部活動での知り合いから、数人の内部生の子たちまでがこの自然発生した超党派の外部生派閥に参加するようになった。

 わたしたちをお茶会に招いてくださる奥様方の妹君もいたりして、その筋でもある種の庇護下に置かれたような形になる。



 そりゃあこんな事してたら、内部生クラスからは脅威と見做されるよね……。




 去年よりはるかに内外のいがみ合いが激しくなり、学園行事がある毎に、わたしたちは雌雄を決しようと競い合った。


 で、当然のように、わたしが全員を鍛える強化部長を期待された。毎度毎度、傾向と対策を練らさせられる。


 なんじゃそりゃ。



「勝ちたいんだ!頼む!」なんて皆んなから言われたら、ついつい断りきれないわたしが悪いんだけども……。


 やる以上は徹底的にしごくから、あんたら全員死ぬ気でやりなさいよ!





 フィーユと王太子殿下のロマンスのために内外融和を目指してたはずなのに、なんだかコレ、より一層分断進んじゃってないかい……?








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