調査開始
学園運営部は、勝手知ったる内部棟教職員階の中だ。
夢の時のわたしは学園のサロンに所属してたものの、王家の公務に追われて運営に関わった事は無い。それでも嗜みとして、組織関係の事は頭に入っていた。
迷いなく、その運営部の管理課へと直談判に行く。
「止めた論文の検証はもう終わったでしょう?早く白か黒か結論出してもらえませんこと?」
「部外者に開示する事は何もない」
即座に、受け付けの男性職員に却下された。
(コイツ……)
学生と話し合うつもりは無いってか。
それかわたしをラフネスだと馬鹿にしてか、上からこの件に取り合わさせるなと指示されてか、はたまた単にわたしを女だと侮ってか。
「部外者ではなく、商売相手としてですわ。
本草薬学クラブがわたくしどものお店に発注してきた素材を購入する時になって、予算を停止されて買えなくなったと言ってこられましたの。
どうして?と尋ねたらコチラが論文不正を理由に予算を停止してしまってる、と。ならばさっさと論文の検証をしろ、と思うのは、取り引き相手として当然でございましょう?」
まぁそのお店はフレンくんとこのドシップ商会その他なんだけどね。今だけ名前を借りよう。
本草学部は学園のクラブで、そこが不渡り出すのであれば学園全体の不名誉になるよ?と暗に脅してやる。
「いやそれは学園側の預かり知らぬ事だ。そもそも論文不正を疑われるような本草学部が悪いのだろう?」
「だから白でも黒でもいいから、その論文の検証をさっさとしてくれ、と言っているのです。不正を指摘する投書から予算凍結まで即刻で、内部で検討した様子も無いのでしょう?ならその素早さで調査もしなさいよ。
その結果が黒だっていうなら、お店が集めた素材は他へ流します。生鮮品もありますからね。でも見切りでそれをやってしまった後に“白でした”と彼女らに予算が戻された時、約束してた素材を売り払ってしまっていたら商売の信用が無くなるでしょうが。
今はまだ学園内での取り引きのつもりでいるかも知れませんが、そうなると対外の取り引きに影響しますよ?全ての商取引から敬遠されますよ?天下の、王立学園が」
そこんとこ理解してる?と突きつけてやったら、そいつは全く怯みもせずに鼻で笑いやがった。
「キミら外部生クラスの取り引き先ごときが束になろうが、学園には何ら影響を及ぼさんよ」
内部棟らしい傲慢さで吐き捨て、ついで、
「そもそもここで論文の検証など専門外の事をするはずが無かろう。相応しい研究機関に送ってるはずだ。遅いという文句なら、そっちへ言え」
普通に考えれば常識だろ?とわたしを馬鹿にしたように言った。
(確かに…)
エルサへの嫌がらせだとしたらここで止めているのだろう、と思ってたけど、ちゃんと検証する気があるなら専門部署に送ってしかるべきではある。
「ならどちらの研究室へ送られたのかお教えいただけますか?」




