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「5位…、だとぅ……っ!?」




 フィーユは前回から、ひとつ順位を落とした。


 ひとつしか、順位を落とさなかった。



 同じ外部生たちだけじゃなく、内部生たちも、貼り出された成績一覧の上位に並ぶ名前にザワついている。




 前の試験の時、あり得ない点数だと一部から不正を疑われた。

 だから今回は、試験官からも特に要注意人物としてチェックされてたはずだ。


 それで、この成績。



 そもそもが、実技評価で不正もなにもあったものじゃない。

 実際にフィーユと実技試験で同じ組になった子たちからは、「だって凄く素敵だったもん。ダンスの時も飾り文字を書く姿勢も、私たちから見たって綺麗で素晴らしかったし」とキャッキャと騒がれてる。

 華やかに洗練されてて、見てるだけで美しい。あの順位は妥当だ、と口を揃えた。


 その子達からの評価が口伝えで広がり、フィーユを見る周りの目に、ちょっとした憧れと敬服の色が増える事になった。


 なにせ平民上がりの外部生が、内部生、それもこの国のトップクラスに高貴な方々の中へ食い込んでいるのだ。

 その事実は、入学当初の奇行による悪評を覆すのに十分なくらいの衝撃を、外部生クラスの生徒たちに与えていた。(その分、内部生たちからはより一層の厳しい目で睨みつけられていたけど)



 フィーユはわたしが育てた、と言いたいけど、全て彼女自身の努力の賜物だ。ここまで洗練された淑女の立ち居振る舞いを身につけるなんて、わたしでも想像出来なかった。


「ずっとアビゲイルさんの事をイメージしながら練習したんだ」

 なんて言って、ちょっと誇らしげに胸を張る。



「この調子だったら、もしかして年末のプレ晩餐会に招待してもらえたりするんじゃないの?」

 と、好成績に「えへへっ」と照れてるフィーユを、エルサが楽しそうに揶揄っていた。


 確かにちょっとだけ、その可能性を考えてみる。

 卒業パーティー前の、一番華やかなイベントだ。


 アレは基本的に、外部クラスの三年生から通算成績の良かった生徒が選ばれるものだ。それをなんとかして、二年生の年末にはフィーユをねじ込みたいと思ってる。

 普通に考えたら、さすがに一年目の今年は無理だからね。



 でも、王太子や公爵令息、侯爵令嬢たちの中に名前を連ねているのは、なかなかとインパクトがあった。


(ちょっとくらいは、晩餐会を主催する王太子派の子たちにも認識されたって期待していいかな?)

 今回フィーユを抜いて総合四位になったトゥオーゾ侯爵令息などは、わざわざフィーユを訪ねてきて、笑顔でお声がけした上で健闘を讃えてくれたそうな。


 あの子は確かに子供の頃から人当たり良かったもんね。柔和な物腰と整った容貌で、学園でも女子たちに好かれてる。もしかしたら偏屈に育った王太子よりも、今は彼の方が人気高いかもしれない。

 寡黙で愚直な王太子派の対外面を支えてて、如才ない対応で周囲の支持を集めてる。



 そんな侯爵令息から認められるような発言が出たのは、フィーユにとって大いにプラスだ。

 外部生のくせにわきまえなかったフィーユへの風当たりの強さも、王太子派の貴公子たちが許容するというなら何も言えない。


 彼女のこれからは、かなりポジティブになれたと思っていいかもしれない。







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