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説明回

 それにしたって王太子殿下は、フィーユのアプローチに対してつれなさすぎだったと思う。




 おそらくフェアネス家とは破談している。あそこの娘が逃げた時点で、王弟がその繋がりを王太子に残させるわけがない。

 となると、代わりが必要になるわけで、


「殿下のお立場的にも、シャルマン家とは仲良くしときたかったんじゃないのかなぁ?」

 不安定な王権の強化には、シャルマン男爵家の方から接近してきたのは都合が良かったはずだ。それをにべも無く蹴ってしまった。


 なんでだろ?



 午後のティータイム、皆んなと食堂で軽食をつつきながら不思議がってたら、当のフィーユが首を傾げた。

「ウチ、そんな有力貴族とかじゃないよ?むしろなんとかして王室からの御用達を貰えないかな?って思ってるくらいだし」

 ケーキを口にしてはむはむしてる。



 今でこそわたしたちの介入で方針変えて吹っ切れたみたいだけど、彼女自身の淡い恋心とは別に、入学当初から父親の強い指示で王太子派に擦り寄ろうとしてたくらいだ。今でも父親からの手紙では、結果を出すようしつこく急かされてるらしい。

 当然、王太子側から求められるなんて思いもよらない。



「そうなんだけどね…」


 実際シャルマン家やそのシンパたちは、わたしの思ってたほどには勢力を伸ばせてない。

 商売で成功してはいても、政界に発言力がないのだ。だからこそ王太子に近づき、その権威を拝借しようとしてたきらいがある。


 王太子が王権強化のために後ろ盾とするには、彼らではまだちょっと規模が小さく、頼りない。



 それでも王太子派を取り巻く現状からすれば、経済に影響力を持つ彼らは、後ろ盾にはなれずとも味方に引き込んでおいて損にならないはずだ。




 王と王太子を中心とする王統派は有力貴族の5分の1ほどで、大半が王権を制限する主流の議会派だ。残りはどっちつかずの中立派といいつつ、色んな思惑の派閥が牽制し合っている。


 それを打開するのにうってつけなのが、成り上がりの新興勢力財閥派になる。


 それなのに、あの徹底した拒絶っぷり。



(夢の中で殿下がアッチに乗り換えたのは最終学齢の時だったし、こっからあと二年で状況も変わるかも知んないけど……)

 うん、とてもじゃないけど、わたしだって待っていらんないわ。




 わたしが夢で見たのと現実とは違うって分かった上で、あの王太子殿下やその側近たちの厳しさは異常だと思う。

 権力基盤が脆弱な分、自分たちを律して対抗勢力に立ち向かおうとしているのか、むしろ他に頼る事を許さない、みたいな生き方をしてる。


 フィーユに言わせれば「そこがカッコいいんだよ」とストイックな精悍さに惚れ直してたりするけど、わたしからしたら違和感しかない。



 なんであんなに頑ななんだ??


 夢の時の殿下は、明るく爽やかで腹立つくらい誰にでも如才なく笑顔を向ける、素敵な好青年だった。

 それが現実では、自他共に厳格さを求め怠惰を許さない求道者もどきになっちゃってる。

 子供の時の印象から見ても、前者の方がよっぽど自然だと思う。


 王国の後継者としては申し分なく立派なんだろうけど、あまりにも堅苦しい。おかげで学園の今の惨状なわけだし。



 王族とはいえ、学生の身分でそこまでしなくてもいいでしょうにね。もっと青春を謳歌しなよ、もったいない。










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