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余った時間の過ごし方

 生徒指導の教師と交渉決裂したわたしは、クラスの皆んなに力不足を謝罪した。

 ホスタイル氏はわたしの話など一切聞く気が無いわけで、例え議論して論破したところで撤回などするわけが無いのだ。

 権限を握ってる側は強い。



 結果的には自分の不用意な行動で指導が入ってしまったのだから、皆んなから責められてもぐうの音も出ない。


 でも担任の先生の教育の賜物か、クラスの子たちは皆んないい子ばっかで、仕方ないよと笑ってくれた。そもそも教室外で遊ぶとか出来る雰囲気でないし、今更感がある、という。



(そうは言っても……)


 何人かがクラブの上級生などから嫌味言われたらしい、とか聞いてしまっているのだ。それでも受け入れてくれてるクラスメイトたちには感謝しかない。




 そしてわたしは、空いた時間を持て余した。


 この学園での三年間を遊びまくるつもりでいたから、いずれのクラブにも入っていない。入るつもり一切無かった。

 遊びに行けなくなった今、本来部活動等に充てられる時間が、そのまま余った。


「だったら…」と、アンバーやエルサをはじめ、よく話しをする子たちからそれぞれのクラブに誘われた。色々プレゼンを受け、青春の1ページに友達との部活動もいいかも知んないなぁと思い始めた時に、ふと、考えつく事があった。



 この機会に、フィーユを鍛えてしまえ。




「ダンスレッスンを受けない?」


 とランチ時にフィーユを誘ったら、一も二もなく「やる!」と飛びついてきた。

 シャルマン家の血筋的にネックになっていたのだ。前に一度だけフィーユの学力を見ようとひととおり確認したら、礼儀作法やダンスや教養といった貴族の基礎素養が全般的に甘かった。


 シャルマン家は、彼女のお祖父様の代に地方自治体への貢献と多額の献金で貴族位を与えられた、いわゆる成り上がり貴族だ。


 なので、貴族のならわしを知らない。


 急遽マナー講師などを招いても、貴族間の慣習までは手が回らない。それは代々、家族が教え伝えていくものだからだ。




 学園でのダンスの講義はほぼ実家で一通り身につけてきている事が前提になっていて、テストと評価が基本になっていた。一から足の運びを教えてくれるものではない。



「そこをまず完璧に覚えなきゃね」

 とフィーユを横に並ばして、ステップをひとつひとつ一緒に確認していく。


「タントンターン、トン、トン」

 一区切りごとに脚に馴染ませ、次のステップも同じように覚えたら、頭から通して踊る。覚えるには、これの繰り返しが一番だ。

 とりあえずステップ全部覚えきらなきゃ、パートナーの足を踏むどころじゃないからね。




 フィーユは覚えもいいし、器用でもある。

 なによりリズム感がいい。


「ダンス得意?」

 訊くと、ワルツとかの社交ダンスはほとんど未経験だけど、お祖父様の田舎の町で踊られる祭りのダンスは好きで、毎年踊っていたらしい。

 町娘たちがズラッと並んで楽しく脚を振り上げ、手を叩き、クルクル回る。


「皆んなで好きに踊って歌うの。いつかサリーたちとも一緒に踊りに行きたいな」

 ニカッと満面に笑顔を浮かべ、振り上げた脚で練習用の巻きスカートの裾を、ブワッと美しく舞わしてた。


 リズミカルに楽しげに踊ってみる様は、なかなかと華やかだ。

 絶望的にリズム感が無いと自覚してるわたしよりかは、よっぽど上達するだろう。



(でもねぇ…)


 うん…、田舎臭い。

 決して悪くはないけど、この雑多さを優雅さに矯正するのはなかなかと骨が折れそうだなぁ、と思った。









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