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個人別の総合成績で、フィーユが外部生クラスで一位になってた。
(おいおいおいおい、出来すぎでしょ……)
彼女の努力はしっかりと認めるものの、愚鈍愚昧愚劣と言われつづけたわたしとは根本的な頭の出来が違ってるみたいだ。
総合一位のレグノ王太子殿下、二位のドリアーヌ・リヴァル侯爵令嬢、三位のケイトリン・ラドゥジエム伯爵令嬢に次ぐ四位に、フィーユ・シャルマン男爵令嬢は入ったのだ。
そこから五位ヴィル・トゥオーゾ侯爵令息、六位ベロニカ・オポジション伯爵令嬢……と王太子殿下の側近たちが並ぶ。
外部生の二位はウチのクラスの男子で、総合十二位。そこからずらっとウチのクラスの子たちの名前が並ぶけど、フィーユがひとり外部生の中で傑出してたのはよく分かった。
わたしが記憶から引っ張り出してきてカバーした出題範囲だけだと、八割弱。彼女はそこから自力で、ウチのクラスの子達に差を見せつけるくらいの点を追加で積み上げたわけだ。
と言う事を、お昼時ランチを食堂でいただきながらフィーユ凄いと言っていたら、侯爵令嬢からもお褒めをいただいたと言う。
「頑張ってらっしゃるようですね。このまま精進を重ねていかれることを、私どもも期待しておりますよ」
たまたま移動教室で内部生クラスとすれ違った時に、わたしたちから教わっていた『目下の者が端に寄り一礼をしてお待ちする』という作法を実践してみてたところ、その一団にいたリヴァル侯爵令嬢が立ち止まり、優しくふわっと微笑みかけてくれたらしい。
(なになになに!?やっぱりめちゃくちゃいい子じゃん!)
昔の印象そのまんまの高貴な所作。問題児を切り捨てるばかりではなく、反省と成長を促し導く、上に立つ者として当たり前の矜持。
これで無茶な学業励行思想してなきゃ完璧なのに…。
(王太子攻略は絶対の目標ね!)
わたしの私欲だけじゃなく、昔のお友達たちのためにも頑張らなくちゃ!
逆にフィーユのクラスメイト達からは、わたしたちみたいにカンニングを疑われたんだと。どこのどいつだその愚か者どもは?成敗してやろうか、まったく。
「よーし、お勉強は継続しつつ、次からは実技も教えていくよ!」
それこそ、フィーユの苦手な貴族知識の分野だ。毎日手取り足取り細かく教えてきた賜物で、手順通りの食事マナーはよどみなく出来るようになっている。この調子で貴族令嬢に相応しい淑女に磨き上げてみせましょう。
わたしたちの…、わたしの昔取った杵柄が、轟音立てて唸りを上げるぜ!
「結局、ガリ勉信仰と同じになっちゃったね」
エルサがコロコロと笑った。サボりたい遊びたいと言いまくってるわたしが、一番熱心にフィーユを鍛えようとしてるんだから、まったくおかしな話だよ。
「キーッ!王太子をぎゃふんと言わせるまでの辛抱よ!学園生活謳歌するためには何だってやってやるんだから!」
不敬極まりない宣言で、決意を新たにした。




