対策会議
真っ先に考えられるのは、王太子やその近くに侍る側近の方々を納得させる事だ。今はアプローチかけようと近づくだけで排除される。
これは何も、フィーユだけじゃない。
あのグループが明らかに、他の生徒たちに対し一線を引いているのだ。線を越えるためには、まず彼らに認められる必要がある。
その材料作りを頑張ろう。
まずはフィーユに話し方、喋り方を教える。
彼女のご実家は土木事業かを請け負って財を成した商家だったと思う。自分たちの経済圏を拡大する事で、新興ながら勢力を伸ばした。
そして先代だったかの時に、献金により男爵位を与えられたという。だからフィーユは、格式ある教育を全て受けてこれたとは言い難い。
それが、言葉使いに出ている。
悪いわけではないが貴族らしくなく、少し乱暴だ。平民としてなら普通だけれど、淑女でいるには相応しくない。
「で、エルサにお願いしたいんだ」
わたしのお友達の中で、一番お嬢様らしい佇まいをしている女の子だ。調べの整った言葉使いに気を配っていて、お手本にするに相応しい。
すぐに直るものじゃないだろう。皆んなでフィーユとおしゃべりしながら、少しずつ悪いところを矯正していけばいい。
次に一朝一夕では無理なものは、テーブルマナーだ。
「明日からお昼はわたしたちと食堂強制ね!」
問答無用で決めてしまう。
アンバーが大丈夫かと心配したけど、実施研修で身につけていってもらうのが手っ取り早い。
「いや、毎日ポワソン、ヴィアンドなんて食べれないって…。お金も続かないしさ……」
ん?まぁ、言われてみれば確かに、メインの連発は重過ぎるか……。
ランチはランチで、軽い練習だけにしておこう。
フィーユのための当面の目標は、御目見する貴族が身につけるべき最低限の礼儀作法を覚える事だ。習慣化させて、身体に馴染ませなきゃならない。
持ち味の天真爛漫さと健気さは、王太子殿下にお近づきになれるようになるまで封印だ。親しくなってからなら、素のフィーユは凄く魅力的に映るだろう。
だからこそ、魅せる場面は吟味する必要がある。
そんな感じで、ランチでは食事会、放課後は女子会をするようになった。形としては、わたしたちがフィーユを連れ回してるみたいだろう。口さがない生徒たちも気になってかチラチラと見てきてた。
必然、フィーユが王太子殿下に突撃する時間が減る。
だから会いに行かなくなる前に、フィーユは最後の挨拶に行った。
「殿下、必ず貴方の側に居るのに相応しい人間になってみせます。そしたらまた来ます。待ってて下さい」
キラキラとした意志の強い瞳で宣言した。




