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契約成立同盟締結

「……と、いう事で、わたし…わたしたちが?全面協力、しようかなって思うんだ」

「もう関わらないようにして下さいって、言いましたよね?」



 お互いに正式に名乗りあってからのわたしの提案を、シャルマン嬢は即座に拒否した。自分に関わると面倒なことになるから、と。


「そんなもん、もう皆んなとっくに迷惑かけられてんのよ」

「あ…、そうですね、ごめんなさい…」

 ビクッとして小さく謝る。oh…、そんな、責めるつもりは無かったんだよゴメンよ…。エルサちゃんから肘で突かれてしまった。うぅ…。



「えっとね、なにをそんなに急いでるのかは分かんないけどさ、今のやり方で上手くいくなんて思えないんだよ。だからわたしたちと、別のやり方を考えない?と思ってね」

「……方法なんて無いですよ。外部生が内部生の、それも王太子殿下にお近づきになる機会なんて、普通に学園に通っててそうそうあり得ないもん。私には、直接声をおかけするしか…」

 唇を噛んでる。やっぱ無謀なのは十二分に知ってるんだ。誰かにやらされてる線、濃厚だな。

 でもね、あなたはわたしの夢の中では、上手いこと王太子殿下に取り入れれてるのよ?時間はかけたみたいだけど。


「学園にはいくつか行事や催事があるよね?その中には内外共同でやるのもいくつもある。そういうのをちゃんとやる事で、仕事を通じて殿下やその周りの人たちに認めていってもらうってのはどうかな?」

 夢でシャルマン嬢がやったと思われる方法だ。ただこのやり方は時間がかかるだろう。わたしの楽しい学園生活のためにも、もっと巻きで仲を深めていって欲しい。



 だからこその、わたしだ。


「わたしこう見えて伯爵家令嬢なの。地方の、だけどね。アンバー嬢とエルサ嬢も同じく子爵令嬢。だから一通り礼儀作法は身につけてるつもり。当然、上の人との社交での挨拶とか暗黙のマナーとか」

 あくまで“知識としては”知ってる。


「今よりは効率的に、殿下たちにアピール出来るんじゃないかな」

 というわたしの提案に、シャルマン嬢はその大きな瞳を更に見開いて、わたしたちをマジマジと見つめてきた。



「それ、あなたたちに何の得があるの?」


 言葉にトゲがあるなぁ…。いやそうじゃなく、言葉選び間違えただけかな?



「自分ばっかにメリットがあって美味い話すぎる、これは騙そうとしてるんじゃないか、って思ってる?」

 少し沈黙し、シャルマン嬢はコクリと頷いた。


「えーっ、サリーにそんな気はないよ!私たちがやめた方がいいって言ったのに助けたいんだって聞かなかったくらいなんだから!」

 アンバーが熱く弁護してくれたけど、そこ言われるの小っ恥ずかしい。



「もしわたしたちが貴女の味方のふりして騙そうとしてたとして、現状何も変わらないんじゃない?」

 今現在、彼女には味方がいそうにない。全員が敵ではないだろけど、消極的に遠巻きにしてる人がほとんどだ。

「あなたを騙して仲間ヅラしてたわたしたちが後から“バーンっ!実は敵でした~!”ってやっても、今の状態に戻るだけ。なら、毒を毒だって思いながら皿まで喰らってたんなら、あなたに実質的な損は無いわ」

「…………」

 ぐっと言葉を飲み込んで思案してる。当面利用出来るならわたしたちを利用したらどう?という提案なのだ。が、


「サリー、一回友達だと思った後に裏切られたら十分にマイナスだって……」

 と、アンバーがため息ついて額をおさえてた。ありゃ、わたしの言い方だと不味かった?

 代わりにエルサが引き受けてくれた。



「サリーが言ってるみたいに、最初は騙されたつもりででもこの手を取ってくれるなら、まず私たちがあなたのお友達になるわ。

 クラスでいじめられたり無視されても、私たちのとこに来ればいい。息をするとこは、どこにあったっていいんだから。ね?」


 優しく諭すように言葉をかける。これがもし騙すつもりの言葉なら、確かにコロっと騙されちゃうなぁ。


「そうだよ。そうやってお互いのことを知り合って信じれると思えるようになったら、サリーの言ってた提案にも乗ってくれたらいいさ」

 アンバーもシャルマン嬢を気遣った言葉をかける。普通に良い子たちじゃね?わたしの意図を汲み取って、親身になってくれてる。さすが王国貴族だ。

「これがサリーの考え方だもんね」

 アンバーがわたしにウインクしてくれた。なんだなんだ、惚れちゃうゾ。



「どうして私にそんな親切を?」

 嫌われてる自覚があるんだろう。シャルマン嬢はまだ半信半疑だ。


「あなたなら王太子を変えてくれると確信してるから。だけど今のやり方では上手くいくと思えない。……ので、手伝わせて欲しい」

 実にシンプルでしょう?


「無謀だからやめろ、とは言わないの……?」

 今までさんざんそういう罵声を浴びせられてきたんだろう。だったら妙に自分の背中を押してくる人間なんて、急に信じれるわけがないよね。


「なんで?いけるって知ってるもん。やれって言うよ。あなたが王太子殿下の御心を得られれば、わたしたちにメリット有り有りなんだからさ」

 とっととひっついて学園中にラブラブ光線振り撒いて、アホみたいな綱紀粛正や厳正厳粛厳格化なんて撤廃して欲しい。わたしは王都学園生活を楽しみたいんだ。


「思いっきりわたしたちの私欲で介入するだけよ。いわば王太子殿下攻略の同盟ね」

 言って、わたしから手を差し出す。



「私が殿下の御心を得られると、信じてる……?」


 あぁ、自分自身で可能だとは思えてないのか。そらそうだ、まだ彼女は成功体験を知らない。

「現状、王太子殿下にお近づきになろうとしてるのはシャルマン嬢だけでしょ?わたしたちはそれを全力でサポートしたい。それだけで、理由は十分じゃない?」

 夢でのパターンと違って殿下がシャルマン嬢を避けたとしても、他の候補がいるわけではない。なら、わたしがやるべきは彼女に全額ベッドする以外無いもんね。



 シャルマン嬢は少しだけ視線を落とし、それから意を決したように差し伸べたわたしの手を握り返した。

「分かった。私も全力であなたたちを利用する」

(可愛い子だ)

 わたしもニコッと笑い、握手の力を強くした。


「わたしはサリー。ヨロシクね、フィーユ」

 契約成立♪







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