邂逅
「聞いてるの?!何とか言いなさいよ!?今後は身を弁えて殿下や内部生には近づかないと約そ…っ!」
ガラガラガラッ!
「あら、こちらお使いになられてる方がいらっしゃいましたの?大変失礼をいたしました~」
ちょっとはしたないくらいの勢いで教室のドアを開け、わたしはあっけらかんと中の人たちに挨拶した。
(あぁ、この子達内部生かぁ…)
胸元に徽章がキラリと光ってる。
「そうよ使ってるのっ、用がないなら出てってちょうだい!」
「ええ、ええ、用が済めば出ていきますよ。忘れ物を探しておりまして、みなさんも見つけるの手伝ってくださいません?」
「なんで私たちが…っ!」
「これくらいの小さいヘアピンでキラキラのお花とお星の宝石飾りが付いてて…」
苦情言うご令嬢たちを無視して適当並べた話を進める。ちょっと大袈裟なくらいに身振り手振りして、机の下を覗き込んだり椅子をどかしたりしてみせた。
さっきまで大声上げてたご令嬢たちは、かなり居心地悪そう。なので、「どのへんで失くしたの!?ホントにここにあるの?!」と、わたしをさっさと追い出そうと、探し物を手伝ってくれだした。
「もう無いんじゃないの?あきらめなさいよ」
言いながら、数人でしゃがみ込んで床を見てくれている。
「えっとぉ、席は真ん中らへんだったかなぁ?でも落とした後に誰かに蹴り飛ばされてたら、どっちいったか分からないしぃ~」
あるかどうかも分からないような応えをしたら、「チ…ッ!」とご令嬢にあるまじき舌打ちをしてた。
あらあら、いいところのお嬢さん方が、お下品ですわよ。
「……っ!」
「あっ、待ちなさいよっ!!」
わたしたちが架空のヘアピン探して実験室をうろうろしてるスキに、詰められていたシャルマン男爵令嬢は部屋を飛び出して逃げてしまった。
「あぁもう!アイツっ!!」
ご令嬢たちは追いかけようとしたが、部外者のわたしがのほほんと居る場所で品位に欠ける真似は出来ないらしく、地団駄踏んで諦めたようだ。
「あんた、後はひとりで好きなだけ探してなさいよ」
ありゃ、ヘアピン探すわたしを見捨てて、全員連れ立って出て行っちゃった。酷いわ。
ま、わたしも屋上に行こうかな?あれ、もう次の時間になっちゃう?oh…
その日の放課後、倶楽部活動に入ってないわたしは、ルンルン♪で帰宅の途についてた。伯爵領からの仕送りの手形を現金化してお買い物にでも行こうかな?
「あの、ちょっと待ってください」
声をかけられる。?と振り向くと、
「……あら、どうされました?『フィーユ・シャルマン』嬢?」
脳の奥にこびりついた仇敵の顔が、わたしを見つめていた。




