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あまり良くない傾向だねぇ

「やっぱりクラスでも浮いてるみたいよ?」



 興味無いって言ったのに、噂話はあちこち巡って広まってくる。

 学園の一年生は内部2クラスと外部4クラス。

 その外部クラスのウチの隣りが、件の男爵令嬢が所属してる組なのだ。どうしたって、そちらの声も耳に入る事もある。



(けっこう煙たがられてるんだな……)


 わたしにとっては、まず彼女が実在してるってのが驚きであるはずなのに、妙に存在がしっくりきてる。夢で見知っただけの人間が、そら当然実際にも居るだろう、と自然に思うくらい受け入れてしまってる。

 不思議だけど、だからこそ余計に、夢との違和感があって首を捻った。



 良い話を聞かない。


 加えて、普段の暴走が内部生クラスどころか上級生クラスにまで知られ、そこからも隣りのクラスに苦情圧力が入ってるらしい。

(貴族社会は元々の家の上下関係も思いっきり持ち込んでくるからなぁ)

 たまたま男爵令嬢と同じクラスになった生徒たちは、実家からも『あいつを何とかしろ』と注意されてたりするそうだ。


 そら、誰も男爵令嬢と仲良くしようとは、ならないわね。



 それでもシャルマン男爵令嬢は、機会を伺ってはレグノ王太子殿下にアタックかけて自分の売り込みを怠ろうとはしない。

 あの面の皮の厚さ、少しだけ感心する。


(わたしには関係ない事だから、せいぜい頑張ってね)

 わたしはわたしで、お友達になった女の子たちといっぱい遊んで、将来性の見込みありそうな男子に唾つける方に忙しいから。





 …………なんて思ってたのに、



(うわぁ……)


 彼女が暗い物陰に隠れて、ぐしゅぐしゅと泣いてる後ろ姿を見つけてしまった。

 声を押し殺し肩を震わせ、周りに気づかれないよう小さくなって泣いている。


(イジメが酷くなってきたのかな?)

 嫌なもの見ちゃったなぁ…、とそそくさとその場から離れた。君子危うきに近寄らず、だ。


 

 かと思えば、それまでと全く変わらずの満面の笑顔でレグノ殿下にアタックし、邪険に扱われるのが分かっているのに健気に尊敬の心を伝え、自分も従者に加えて欲しいと売り込んでいたりする。

(そら王太子殿下の側近になれれば一発逆転でクラスメイトからのイジメとかも無くすこと出来るだろけど……)


 側近従者から恋仲になるってのは、ハードル高くね?「それは悪手だよ」とアドバイスしたくなってしまう。やらんけど。




 ……のに、今日は生徒たちが集まる中庭や裏庭じゃなく屋上庭園を憩いの場にしようと「~っ♪」と気分良く階段を上がっていたら、その傍の理科実験室から金切り声にも似た侮蔑語が聞こえてきてしまった。


「平民に毛が生えただけの成金男爵風情が、いいかげん身の程をわきまえなさいよ!」

 まさかな~、と見つからないようにして窓から覗き込むと、やっぱり男爵令嬢だわ…。4、5人の女生徒たちに取り囲まれてる。


「だいたいあんたら外部生は内部生に話しかける事すら無礼なのよ!ましてや殿下の御心を煩わせるなんてもってのほかよ!」

 外部生内部生の力関係はともかく、王太子に気安く話しかけるのは確かにどうか、とは思う。だけど…。



(学園内で身分がどうこう言うのも違うよなぁ…)


 王太子のお友達は内部生だけで事足りるって意味だろうか?それは随分と狭量になられあそばされましたね、殿下。と皮肉に笑ってしまう。というか、今の学園の空気感か。



 それにその男爵令嬢ちゃんは将来の王太子殿下の想い人だよ?いびるのはあまりオススメしないなぁ。








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