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療養へ

 翌朝、凄い頭痛と凄い腹痛と凄い吐き気と凄い咳で、わたしはこの世の終わりとばかりに早く医者を呼んで!と大騒ぎした。


 うんざりしたような侯爵家の面々に、わたしはこの国の王太子妃筆頭候補よ!わたしの健康の管理は侯爵家の責任よ!と当たり散らす。そうやって嫌な顔をする執事に、お雇いの医者を呼ぶ事を了承させた。



 やってきた主治医に、動悸息切れが酷い、空気の綺麗なとこで休みたいとしつこく訴えて、朝っぱらから呼び出されて不機嫌な医者から、侯爵領に療養行くべきという診断書を書かせる事に成功した。

 侯爵は長兄に丸投げしていったので、長兄にそれを突きつけて侯爵領行きをとりつける。長兄はわたしが王太子妃になるのに消極的だったから、これ幸いだと思ってくれた事だろう。


 長兄に領邸への紹介状を書かせたら即、「ではご機嫌よう」と退出した。長居して気が変わられたら困るからね。

 すぐさま約束を取り付けていた出入りの商人に連絡をとり、キャラバンに混ぜてもらう。と、


「なんでこんなに行動が早いのよ!」

 アビゲイルが文句言いながら、自分の荷物カバンを持ってバタバタ走ってきた。



「何してんの?あんたの席なんて無いわよ?」

 意味が分からず吐き捨てると、「あるわよ!」と乱暴に荷馬車に乗り込んでくる。

 ビックリした事に、彼女は彼女で別口から商人に渡りをつけていたらしい。


「あたしはあんたの侍女なんだから、療養に行くってんなら付いていくに決まってるでしょ!」

 そんな事言われても迷惑だ。だがこの侍女自身も侯爵家の問題児だったし、わたしの侍女って立場から、別の部署に行ったら居心地がよほど悪いのかもしれない。


 しゃーない、商人の方でもOK出してんならいいか。



 商人キャラバンは道中で買い付けやらなにやらしながら、日にちをかけて侯爵領に向かった。

 元々王国をぐるりと周って交易している隊商に、わたしたちがついででの同行をさしてもらっているだけだ。フェアネス侯爵領は目的地でもなんでもないので、ずいぶんと遠回りのルートになった。おかげで、各地珍しいあれこれを見れてとても楽しい。



 わたしはお客様だけど余計な客でもあるので、旅路の手伝いを色々とやった。

 水仕事とか食事の手伝いとか、格好を動きやすくしてたから隊商の大旦那の商人以外はわたしが貴族令嬢とは知らないみたいだった。なので気兼ねなく雑務を片付けれた。

 そんなわたしに侍女は目を丸くするが、彼女自身は「自分は腐っても王都男爵令嬢だ」と、平民の手伝いになる隊商の仕事を断固拒否する態度を取る。馬車の運賃を払ってんだから、お客様なのは確かだからね。


 なので好きにすればいいと放置したけど、やっぱり罪悪感が多少あるのか、その分やけにわたしの身の回りの世話を甲斐甲斐しく務める。いや、寝る時の支度くらい自分でやるから…。

 働かざる者で居心地悪いなら雑用の手伝いすりゃいいのに、素直じゃないなぁ。



 そうしてずいぶんな日数かけて、わたしたちはフェアネス侯爵領近くまで無事についたのだった。





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