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【完結】書籍化決定 愛されなかった社畜令嬢は、第二王子(もふもふ)に癒され中  作者: かのん


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27話

 私は魔法陣を展開させていく。


「第五魔法陣展開!」


 次の瞬間、魔法陣が発動すると同時に青白い光が吹き抜けていく。それにアルデヒド様は驚いたように身構えるが、何も起こらなかったことに笑い声をあげた。


「なんだ、魔力切れか!? はははは!」


 私はその声を無視して言葉を続ける。


「停止した第一、第二、第三、第四魔法陣、再度魔力注入、展開開始!」


「は?」


 アルデヒド様の声を無視して、私は先ほどすべての魔力線を打ち消した魔法陣によって自らの打ち消された魔法陣を再度展開開始させていく。


 恐らくだけれど、アルデヒド様の魔法陣には最初の発動時にかなりの魔力と時間を消費するはずである。


 それはそうだ。あれは古代魔法陣であって、今の現代魔法陣とは似て非なる物。


 あれほど綿密な魔法陣がすぐに発動できるはずがない。


「発動までに数分はかかるはずです! オスカー様今です!」


「了解だ!」


「待て! 王国を守護する古代魔法陣に魔力を注入しなくてはならない、私を、攻撃するというのですか!?」


「信じてください! いいです! オスカー様!」


「あぁ!」


 オスカー様はアルデヒド様のことを思い切り殴りつけると、アルデヒド様は地面へと叩きつけられた。


「ぐはっ!」


 その瞬間に白目をむき、泡を吹いたのが見える。


 魔法使いは魔力を持っている為に自分を過剰に思っている節がある。だけれども、それを立たれた時の対処まで持っていなければ、魔力が仕えなくなった途端に、終わるのである。


 私は、全神経を使っていたので、その場にしりもちをつく。


「メリル嬢! 大丈夫か?」


「す、すみません。少し力が抜けただけです」


 私はオスカー様に手を借りて、立ち上がった時であった。


 ぐらりと大きく地面が揺れた。私はその異変に慌てて、王城を守るための古代魔法陣を見ると、そこには大きな亀裂が走っていた。


「いけないっ! オスカー様、魔法陣を修復します!」


「了解した……どこから湧いてきたのか、俺はこいつらを片付けよう」


 青白い古代魔法陣が浮かび上がると、その場に、数人の息の荒い古代魔法信者達が現れた。


「え!?」


 オスカー様は剣を構える。一体どうやってここまで来たのだろうかと思っていると、息を切らしたロドリゴ様が信者達の間から現れた。


「ほ、ほら言っただろう! 俺こそが古代魔法信者達を率いていく男なのだ! 仮面は割れたが、ほら、古代魔法陣を使ってここまで、はぁはぁはぁ……ここまでこれた、だろう!?」


「ど、どういうことだよ。ここは……城の上じゃないか」


「逃げられるって言ったじゃねぇか!」


「あ、あ、あ、アルデヒド様! 我れらが古代魔法信者総長様!」


「アルデヒド様を守れ!」


 現れた数名の古代魔法信者達はそう声をあげる。


 私を見つけたロドリゴ様はこちらへと視線を向けると手を伸ばし声をあげた。


「ロドリゴ様」


「め、メリル嬢……はぁはぁ……俺は、俺だって古代魔法陣を使えるのだ! 見ろ! この体に刻んだ古代魔法陣を! 願った場所へと移動できる、緊急用のもの……ぐふ」


 両手で口を押えるロドリゴ様は、明らかに魔力欠乏症の症状が出ている。元々体の中に少量の魔力しかない人間が、無理やり魔力を使おうとした結果、欠乏症を引き起こしているのだ。


 あんな古代魔法陣を体に刻まれれば、いつ死んでもおかしくはない。


 アルデヒド様程の魔力があれば大丈夫だろうが、ロドリゴ様ではまず魔力量が足りない。おそらく足りない分は、生命力を根こそぎ奪われているはずだ。


「ロドリゴ様……」


「だ、だまれだまれだぁまぁれえぇぇぇぇ! お前はただの使えない俺の部下だ! 偉そうに言うな! お前なんて、俺がいなけりゃぁ、他の貴族に潰されるただの女なんだぞ! 俺がお前を俺の部下として扱っていたから王城で働けたんだろうが!」


 私はその言葉に、ぐっと唇を噛む。


 確かに、ロドリゴ様は働くこと事態を反対したことなどなかった。


 女だから仕事をやめろなんてことも、他の人から言われた言葉をロドリゴ様から聞くことはなかった。


 だけれども。


「お言葉ですが、私は試験に合格し、自らの力で魔法陣射影師になったのです」


「なっ! 生意気な! お前なんて、俺がいなけりゃぁ早々に追い出されていたはずだ!」


 私は、早く古代魔法陣を修復しなけばと思い、最後にはっきりちロドリゴ様に言った。


 オスカー様のように、人前であろうと、自分の意見を言える堂々とした人になる一歩だ。


「私はロドリゴ様がいなくても、魔法陣射影師としての仕事を私は何があってもやめていないと思います。それほどこの仕事が好きなんです!」


「なっ!? なんだと! ふざけ……ぐへぇぇぇぇえ」


 ロドリゴ様は膝をつき、嗚咽をこぼす。髪の毛は真っ白に変わり、ぜぇぜぇと肩で呼吸を繰り返している。


 古代魔法陣を無理に使おうとしたから体が限界を迎えているのだ。


 オスカー様と他の騎士達が即座に古代魔法信者達をとらえていく。最後まで抗おうとするが、オスカー様が剣をブンっと勢いよく振り睨みつけると、皆が一様に体をすくめ、後ずさった。


 私は、一度ロドリゴ様のことを頭から消すと、集中をする。


 暗い空間に、私だけがいる世界。


 古代魔法陣を見つめれば、どこに修復が必要なのかが分かる。


「王城守護古代魔法陣修復開始」


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