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【完結】書籍化決定 愛されなかった社畜令嬢は、第二王子(もふもふ)に癒され中  作者: かのん


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21話

 私とオスカー様はその後上層部へと、今回の一件を報告。さらに大きな部隊が編成されて私達は今回の事件を中心となって解決に向けて動くこととなった。


 全体の顔合わせの紹介の際、オスカー様が私を紹介した時のことであった。


 魔法陣射影師の私なんて、他の方々からしてみたらなんでこいつがここにいるんだ? と思われるのだろうなと思っていたのだけれど、周りの反応は違った。


「あの方が、この前の事件を、防いだというメリル嬢か」


「メイフィールド家の落ちこぼれと言われていたと聞くが、やはりただものではなかったのだな」


「魔法陣射影師なんて、初めて聞いたぞ。すごいな。古代魔法陣を描けるなんてな」


 肯定的な雰囲気に驚いた。私は何故こんなところに女がなんて、言われるのではないかと思っていたのだ。


「もし、怪しい魔法陣を見つけた場合は、すぐにメリル嬢に知らせるように。これから街を調査していく。地上部隊と地下部隊に分かれるぞ」


 オスカー様は全体を指揮しており、私は堂々とする姿にすごいなぁと思ったのであった。


 その後、騎士達は街の捜索にあたることとなった。


 私とオスカー様は部屋に残り、魔法具にて緊急連絡が入らないか待機している。もし連絡があった時にはオスカー様と共にその地へと向かう予定となっている。


 オスカー様は地図の前で他の部隊と連絡を取り、話を聞いている。


 その間、私は見つかった三つの魔法陣と、神殿の文様を見つめながら微かな違和感の正体は何なのだろうかと目を細めていた。


 この魔法陣が見つかってから、何か違和感があるのだ。


「なんだろう……」


 指で魔法陣をなぞると、私の体の中にある魔力に反応して青く薄く輝く。


「始まりの日……見せつける……魔法陣……」


 何かが気になるのだ。


「魔法陣……魔法……建国……」


 


 これまで様々な歴史的な魔法陣を射影し修復してきたけれど、古代魔法陣というものはその中でも、最も難解なものである。


 地図には三つの魔法陣の見つかった位置も記入されており、はっきり言って、それはこの王城を中心にして三点描かれている。


 狙われているのが王城なのは間違いないだろう。


 だけれども、気になるのは“古代魔法こそが神の意思だと皆が気づくだろう”という言葉である。


 古代魔法という物を現在皆が知っているかと言えば、知らないだろう。


 私は仕事柄古代魔法陣に触れる機会はある。勉強もしてきている。しかし、一般の人が古代魔法について知っているかと聞かれれば否と答える。


「どうやって、知らしめるの?」


 私の呟きにオスカー様もうなずく。


「おそらく王城を狙ったものなのは理解できる。だが、古代魔法を知らしめると言うのは、ただ、事件を起こして知らしめるということなのだろうか。事件を起こしたからといって古代魔法を知らしめる方法にはならないと私も考えるのだ」


「はい。私もそう思います」


 描かれていた古代魔法陣を解析を進め、その結論としては、魔力を数十人で流しておき発動条件がそろえば発動するように仕組まれていたと分かった。


魔力は事前に流し込んでおくことで、発動条件がそろった時に爆発する。恐ろしい物である。


ただ、あの古代魔法陣は完璧なものではなかった。おそらくは本来は別の理由で作られた魔法陣が、それを修復する過程で爆発するということが分かり、それを使ったのであろう。


 私から見てみればあれは粗悪品の偽物の古代魔法陣である。


「偽物……」


 そこで私は動きを止める。


 こんな杜撰な魔法陣しか作れず、そしてそれを利用するような組織が、本当の古代魔法陣を作ることが出来るのか。


 出来ないからこんなことになっているのだ。


 ならどうするのだ。あの不完全な古代魔法陣を使ったところでそれは……


 ガタッと私は椅子を倒して立ち上がる。そして口元に手を当てそれから地図へと視線を向け、それから息を呑む。


「これは、大変……です」


「メリル嬢? どうしたのだ?」


「少しだけ、待ってください。確認します」


「あぁ」


 机の上で、私は王城の地図を並べ、そしてそれを照らし合わせてゆっくりと息を吸い、吐いた。


「オスカー様は、王城に備え付けられている王城を守るための魔法を仔存じですか?」


「あぁ。王城が外側から攻撃された時に備えて、結界のような魔法陣が……あると……まさか」


「その魔法陣は古代魔法陣を用いられています」


「だが、外側から攻撃したところで古代魔法陣を破壊しては元も子もないだろう?」


「えぇ。破壊するつもりはないのです」


「どういう意味だ」


「内側で巨大な爆発を起こしても、古代魔法陣がそれを押さえつけるので外側にはもれないのです」


「なっ……」


「証拠はありませんので、私の推測です。推測ですが……王城内で爆破、その衝撃を古代魔法陣が防げば外側には被害がなくその力は示されるでしょう。古代魔法がいかに強固かという……そして王国は混乱に陥るでしょう」


 王城が爆破されれば国は機能しなくなるであろう。


 そうなった時に、この古代魔法信者達がどのように立ち回ろうとしているのかは分からないけれど、国が混乱することだけは間違いない。


「発見された三か所の魔法陣を線で伸ばし、その重なる場所は、建国祭の日、我が国の魔法使いアルデヒド様が国を守護する魔法陣に魔力を注ぐ日です」


「建国祭は三日後か……これは、大変なことになりそうだ」


「はい」


 私とオスカー様は眉間にしわを寄せたまましばらくの間何も言うことが出来なかった。



最後まで読んでいただけたらとても嬉しいです(●´ω`●)

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