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【完結】書籍化決定 愛されなかった社畜令嬢は、第二王子(もふもふ)に癒され中  作者: かのん


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19話

私はこれまで自分の世界が狭かったのかもしれないと思った。


 人間関係も、家族間とそして職場間しかなかったけれど、これからはもっと色々な人と関わり意見を聞くのも大事かもしれない、そう思った。


「私は今のメリル嬢も十分素敵な女性だと思うし、無理する必要はないさ」


「へ?」


 そう思っている時に、オスカー様のその言葉が聞こえて、私は身を強張らせた。


 さらりと平気で、なんていうことを言うのであろうか。


「あ、食事が来たぞ」


 オスカー様の先ほどの言葉に戸惑っている間に料理が机の上に並べられていく。


 先ほどの言葉を微塵もどぎまぎすることもなく言うその姿に、かっこいい人はこういう言葉もいい慣れているのかなと、ちょっとだけ思った。


 湯気が立ち上る料理はどれもおいしそうで、私はごくりと喉を鳴らした。


料理は結構なボリュームのあるもので、香りが鼻孔をくすぐる。


「いただこう」


「はい」


 先ほどのオスカー様の言葉が胸の中をくすぐる。そんな心地の良い中で食べる料理は格別であり、私はこれほど柔らかくて美味しいお肉はオスカー様に作ってもらったサンドイッチ以来に食べたなぁと頬が緩む。


「おいひぃれす……」


「この店は本当にうまいんだ」


 私達はしばし穏やかな雰囲気で料理を食べ進めて行く。


 オスカー様と一緒にご飯を食べると、ごはんがとても美味しく感じられる。どうしてこうも違うのだろうか。


 この前のサンドイッチを一緒に食べた時もそうであった。


 オスカー様と視線が合うと、オスカー様はいっこりと優しく微笑みを返してくれる。


 不思議とその笑顔がどこか安心するようで、私は笑みを返した。


「う……」


 その瞬間に、オスカー様が少しむせたように咳をした。


「げほっげほっ! げほっ……っ」


一気に水を飲み干すとオスカー様は両手で顔を覆った。


「大丈夫ですか!? その、どうかしましたか?」

 

「……大丈夫……少し、むせただけだ」


 私は大丈夫だろうかと思いながら、ふと、咳き込んだその姿を見てもふちゃんが頭をよぎっていく。


 なんだかオスカー様が可愛く見えて、私は不思議な感覚を覚えたのであった。


 二人での食事は本当に楽しくて、こうやってまた一緒に食事を出来る間柄になりたいなと不遜かなと考えながらそう思ったのであった。


 その後、私とオスカー様は食事を済ませるとルロート神殿へと向かった。


 神殿についた私は、少し気持ちに気合を入れる。ここからは真剣に神殿で本を探して確認したい。


「あの、少しこの神殿で調べたいことがあるのです」


「調べたいこと?」


「はい。この神殿に保管されている古代魔法の本なのです。奥にあるので行ってもいいですか?」


「もちろん。では行こう」


「はい」


 私達は神殿に許可を取り、奥にある神殿の書庫へと入る。


 神殿の中は基本的に白色でとういつしているので、清潔感がある。だけれども、本の匂いは神殿であろうが図書館であろうが変わらなくて、どこか埃っぽくて古い香り。


 私は戸棚の中から一冊の本を持ってくると、それを机の上で広げた。


 机の上で広げた本からは少し埃が舞いあがる。


「これを見たかったのか?」


 オスカー様の言葉に私はうなずく。ページをめくっていきながら文字を目で追っていく。


 一つ一つを見つめながら、どんどんとページは進み、そして、ある一ページで私は手を止めた。


「これです。なるほど……」


「どうした? というか、本をそのスピードで見て行けるのか……君はすごいな」


「いえそんなことは……オスカー様、ここを見てもらえますか?」


「あぁ」


 そこに描かれているのは、神殿の文様と古代の神官文字であった。私はそれを見つめながら言った。


「古代の魔法というのは、大量に魔力を消費します。その為、古代魔法を使える者は一握りでした。ですがそれを魔法陣にすることで、数名で同時に魔力を流し、魔法を発動することが出来たのです。ですから古代では魔法陣が多用されました」


「あぁ。歴史でも習ったことがある。現代魔法は古代魔法よりも遥かに効率よく魔法が使えるようになった。だがそれでも魔力は人一倍使う。だからこそ、我が国でも魔法使いは一握りだ。だが、魔法具のように魔法石を使えば魔力のないものでも魔法が使えることが分かった。その為、今は魔法具が流通しているな」


「はい。その通りです。現代では魔法具と魔法が成長を遂げ、魔法陣は衰退しています。現代でも魔法陣は残ってはいますが、やはり大量に魔力を消費するので、実用的ではなく。ただ、王宮や我が国を守る守護の魔法陣は機能しています」


「毎年魔法使いが魔力を循環させているものだな。魔法使いはかなりの魔力を消費するとか。建国祭の日は、魔法使いが王城に掛けられている古代魔法陣に魔力を流し、その光景を民も楽しみにしている」


「はい。そうです。そして私は古代魔法信者は、古代魔法陣を使っていると思っていました」


「ん? どういうことだ?」


「魔法陣とは一つ一つの形や文様に意味があります。それが繋ぎ合わされ紡がれ魔法陣は発動するのです。ですから、私は魔法陣を解読するにあたり、魔法陣だと思いこんでいたから解けなかったのです」


 首をかしげるオスカー様に、私は古代の神官文字を見せる。


「これはただの古代魔法陣ではありません。古代魔法陣に神官文字が用いられているものです。そしてその神官文字の羅列は、魔法陣には直接関係がない」


「つまり、魔法陣の中に神官文字が隠されているということか」


「はい。建国当時は神官文字も使われていたというので、古代魔法信者はそれを意識して神官文字を入れたのかもしれません。そしてそれを並べると」


 私はカバンからノートとペンを取り出すと、転写していた魔法陣を見つめ神官文字だけを抜き出して書き出していく。


 本に乗っている文字と照らし合わせて解読していく。


「神の名の元に、古代魔法が蘇る時が来た」


 私の言葉にオスカー様は眉間にしわを寄せる。


「これは……ちょっとまってくれ。これは以前入手したものだな……あと二つ、魔法陣が確認されている場所がある」


「……早急に確認をしたほうがいいかもしれません」


「あぁ。そうだな」


温泉のもとをいれてお風呂に入ると、良い香りに癒されます(*´▽`*)

皆様も疲れた時には、良い香りに包まれましょ(^^♪


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