1日の終わり!(ダンジョン登録!)
俺がダンジョンコアで何かできないかと、四苦八苦していると。後ろから声をかけられた。
どうやら、マスターが起きてきたらしい。
「なにやってんの?」
「ダンジョンコアでなにか出来ないかと試してるんですけど、全く反応がないんすよねぇ。」
「そりゃ権限も何もあげてないもん。…私どのくらい寝てた?」
「えーっと、大体2時間ってところですね。あ、2時間って分かります?ダンジョンマスターは脳みそで勝手にわかる言葉に変換されるはずだから大丈夫だと思いますけど。」
「2時間か……ダンジョンパネルオープン。
(んー17時か…お腹すいたけどちょっと早いかな?……え?)」
お、ダンジョンの操作ができるダンジョンパネルだ、久しぶりにみたな。
「ねぇキサラギ。」
おぉ、初めて名前でよばれた。
「何ですか?」
「私とアンタとの契約が不完全って書いてあるんだけど。」
「あぁ、俺一応悪魔なんで誰かから勝手に契約押し付けられたりするのに抵抗があるんですよ。くそみたいな取引を強要されないように。」
「じゃぁアンタ今、私のこと襲えるし……外出て逃げることも出来るの……?」
俯き、不安そうな声でマスターが聞いてくる。
「どっちもできますけど、マスターに死なれると俺も困ることがあるんで。全身全霊で守りますよ?」
マスターに死なれるとこの星からも追い出されちゃう。
それはなんとしてでも避けたい。
「そ、そう。じゃぁ改めて契約をむすぼう?」
顔上げ涙目でそう言ってくる。おいおい、泣くな泣くな。
そんな顔で頼まれて断れるわけがないだろ。わけがないのだが、、、
「それができないんですよね。」
「なんで?」
今にも涙が溢れそうだ!たえろ!マスターはえらい子!いい子だから!
「悪魔との契約は、必ず代償が必要になるんですよ。でも、今のマスターじゃそれを支払うことはできないでしょう?
幸い、不完全ってだけでマスターとの繋がりがあるので、この星に滞在は出来るようになっていますから、契約は出来ませんが協力はしますよ?」
「そう、、、なら今はそれでいいや。じゃぁキサラギの部屋の使用者登録をしよ。それが終わったらご飯ね!」
元気なマスターが戻りつつある。よかった。
まったく、この程度で心配するアイツの性格にも困ったものだ。
それに、涙を見るとヤツの感情が主張するようになるっぽいな。
はぁー。それにしてもやっぱり、心配の感情は気持ち悪いな。
・・・・・・・・・・・・
それから、部屋の登録と飯を終えた。
まぁDp勿体ないから飯を食わなくても、魔素と呼ばれる大気中に存在する、なににも属していない純粋な魔力を吸収すれば生きていける俺は、眺めたり、話をしていただけなのだが。
夕飯が少し大きめのパン一つなのは、どうにかしてやりたいな。栄養失調で倒れられても困る。
「マスター、風呂に入り終わったら話したいことがあるので、そのつもりでいてください。さっき寝ていたから大丈夫だと思いますけど。」
「ん、わかった。」
話をしたいとは言ったけど風呂からあがってくる頃には確実に18時回っているよな……
ダンジョンマスターっていっても13才の子供だし、ずっとダンジョンの話ばかりしていては気が滅入るだろうか……
んーどうしよう。とりま風呂にはいりながら考えるか。
風呂上がり、コア部屋だと立ち話になるので俺の私室に来てもらった。
八畳位の広さだろうか、家具はベッドと椅子と机が一つずつしかない。
「そこのイスに座ってください、ベッドでもいいですよ?」
そういい終わる前にはベッドに飛び込んでいた。
「で、話って何?」
「あーその前に、ダンジョンの話ばかりで気が滅入ったりしないですか?」
「別に?元人間っていっても、今の私はダンジョンマスターだから、多分普通の人間とはちょっと違うんだと思う。転生前と同じだったら、キサラギがくる前にもうはっきょーしてるとおもう。(それに、キサラギと話してると気が楽になる気がするし)」
なんともまぁ。それを自覚している事がもう辛いのでは無いのだろうか。
俺が使う魔法の関係上、自分が自分でない感覚を自覚して狂ったやつを何人も見てきた。 というか俺が狂わせてきた。
もしマスターが狂ったらできる限りなおしてあげよう。悪化するかもしれんが。
「そうですか。じゃぁ、どうやって探索者をおびき寄せるか話しましょう。」
「そういえばさ、探索者じゃなくて、冒険者だと思うよ?探索者なんてヘルプさん言ってなかったもん。」
へ?ダンジョンといったら。
探索者と冒険者と開拓者の三つの職じゃないの?
「今、この世界に探索者と開拓者って職があるか調べられます?」
「出来るけど………やっぱり探索者なんて職ないよ。開拓者はあるっぽいけど、ダンジョンとはあんまり関わりがないみたい。」
「マジですか。」
こりゃ俺の知識宛てに出来んかもしれないなぁ。
なんせ俺の知ってダンジョンといえば。
冒険者が発見し→開拓者がダンジョンに行くまでの道を整備し村を作り→探索者がダンジョンを攻略し→攻略が遅ければ国の連中に手を回され王族貴族がダンジョンの所有権を主張する
って言われていたからな。
「それに。キサラギのことは勝手にダンジョンボスって登録したし、ダンジョンの名前とダンジョンクリア報酬を決めてダンジョンパネルに入力すれば、その内登録の受理が完了されて。
あとは勝手に冒険者協会の魔道具に情報が行って。あっちから、冒険者がおくられて来るから何も考える必要ないと思うよ。」
なにそれ。世の中はいつから、そんなつまらないダンジョン攻略になったんだ。
「ってことで、ダンジョンの名前をきめよ!それと攻略報酬も!」
「いやいや、その前になんで勝手にボスの任命ができるんですか?」
「不完全だけど繋がりはあるからじゃない?。」
「なるほど…(さっぱりわからん)…んで、ダンジョンの名前なんですけど、《悪魔の神殿》とかどうです?」
「却下、悪魔一人しかいないしなんか違う。
それより《完璧ダンジョンマスター37564の最強すぎるダンジョン》ってのはどう!?」
「37564って名前なんすか?」
「さぁ?しらない」
知らないのかよ!
「多分37564って名前じゃないと思うんで、この際マスターの個体名も決めましょうよ。」
「じゃぁ私がダンジョンの名前決めるから、キサラギが私の名前きめて!」
「えぇマジっすか、俺多分ネーミングセンス無いですよ?」
「元から期待してないから大丈夫!」
グハァ、自虐と他人に言われんのは全然違うって知らんのか!
こうなったら、いい感じの名前を考えて驚かせてやるわ!
「それと、次の発表の名前で決定にするから。精々ちゃんとした名前を考えてね」
まじっすか………
―それから、マスターも俺もあれやこれやと考えぬき―
「それじゃぁ発表!まずは私が考えたダンジョンネーム!」
ゴクリ、と唾液を飲み込む音すらうるさく聞こえるほど集中して発表をまつ。
なんせ、もう待ったをかけることすら許されないルールにされたのだ。どんな突拍子もない名前でも受け入れなければならない。
「それは〜《不殺の悪魔城!
(お?思ったよりいいのでは無いか?不殺は、マスターが決めたルール、悪魔は俺、城はダンジョン。安直かと思わなくもないが無難だしわるくない。)
~ミステリアスダンジョンマスターと集いし最強の下僕達~》です!」
マスターが敬語をつかっただと?
いやそんなどうでもいいことよりも。…聞き間違い…だよな?
「…もう一度言ってもらっていいですか?」
「仕方ないなーちゃんと聞いてなさいよ!
ん゛ッん゛ん、えーでは改めまして
ダンジョンネームは~~
《不殺の悪魔城~ミステリアスダンジョンマスターと集いし最強の下僕達~》
です!」
何故そんなに意気揚々と言えるのだろうか。いや、だが俺のセンスがおかしいだけでこの世界じゃこう言う名前が一般的なのかもしれないし……
「……………なぜ……そうなったかお聞きしても?」
「もちろん!まず他のダンジョンの名前を見てみたんだけど、どれもキサラギが考えそうなつまんない名前だったの。それで、アンタのつまんない名前も考慮してあげよーかなって思って、不殺の悪魔城になって。それだけじゃパンチが弱いから、私がさらにいい感に付け足したってわけ!どう!?」
どうって言われても、、[ヒドイ]としか言い様がない。
が、確かに俺がつけるような名前じゃパンチがないか……
それにこのドヤ顔と仁王立ちからなる自信満々な態度。1周まわってこの名前、実は凄くいいんじゃないかと思えてきた。
「良いと…思います…凄く…そこはかとなく…はい…」
「ふふん!そうでしょう!じゃ、次にキサラギの番!」
あーダメだダンジョンネームのインパクトに負けて、考えてた名前が吹っ飛んだ。
自分の脳いじって思い出すのは気が引けるしな……。
適当でいいような気がしてきた、そうだ優斗が好きだった菓子の名前…何だったか…あーそうだエクレアだ。
そのまんまは名前思い返す度後悔しそうだから、1文字とって。
「《クレア》!マスターの名前は今からクレアです!
どうです?優雅さが溢れでんばかりの名前では無いでしょうか。」
後はマスターと同じ手を使う。そう[作戦名:自信過剰]だ。
俺も腕と脚をくみ、凄い自信満々な態度をとる。
「ふ~ん。キサラギにしては悪くない名前じゃん。」
反応を、みるにまずまずの評価と言ったところか。
何だか悪い気がしてきた。ごめんなさいマスター。マスターはちゃんと考えて名前を決めてくれたのに、、、
俺といったら、、くっ生きてきた中で一番力不足を、実感しているぞ今。
「じゃー次に、ダンジョンクリア報酬だけど。なんかいい案ある?」
「下級ポーションとかじゃダメなんですか?」
「それだと、舐められそうだからダメ!もっと凄いのじゃないと!」
「んー…あ、なら[若返りの秘薬]とかはどうですか?
むかし悪さするために研究したので作れると思いますよ。」
「えっ!アンタそんなことできるって言ってなかったじゃん!」
「いや今思い出したんで、言ってないというか言えなかったというか、、、とりあえず、瓶をポイントで買ってくれればそこに秘薬を入れますよ?」
マスターは何かを考え込んでいる。また、パンチがない、か?
「ねぇ、アンタさっき悪さするために作ったって言ってたけど。なんか副作用あるとかじゃないでしょうね?」
「おぉ!流石マスター!
体にあわない者が飲むと、全身溶けて死にます!」
「バカじゃないの!?却下に決まってるじゃん!」
「クリアさせなきゃいいだけじゃないですか?どうせクリアされたらマスター死んじゃうでしょうし。」
「違くて!私が殺されないためのクリア報酬なの!万が一ダンジョンボスが突破されたとしても、クリア報酬を渡してコアを壊さずかえってもえるの!」
「へぇー、ダンジョン報酬ってそういう……」
「それに、ダンジョンボスは、高いDP支払って復活させられるから。アンタも大丈夫なの。」
「でも他に思いつきませんよ?
それに大丈夫ですよ!
何人たりともコア部屋に行かせはしませんから!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁー、じゃぁそれでいいや。どうせ他のものも思いつかないと思うし。
それじゃぁ…はい、瓶。これに入れて。その間にこっちも色々と入力しとくから。」
渡されたのは、20センチくらいの瓶。多分本当はポーションを入れるための瓶なのではないかと思う。
ほかの星でもよく見た形状で、デザインも豪華じゃない。
まぁ瓶なんて何でもいいか。
「んじゃ風呂の中行ってきます。」
「?(お風呂?…あぁ、瓶に入れる時に溢れてもいいようにかな?そういえばどうやって作るんだろう。。。まぁいっか。)
いってら。」
風呂の中に入った俺は自分の指先を切った。
そう、霊薬は俺の魔力のこもった血液である。
こめる魔力の量も絶妙な加減が必要なので、完成させるのになかなか時間がかかった記憶がある。
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っと、こんなんでいいか。
入れ終わったら傷を治して血で汚れた場所をシャワーで洗い流す。
「マスター、できまぁ……。」
部屋に戻ると俺のベットの上で安らかに眠るマスターがいた。
今日は泣いたり驚いたり疲れただろうからね。
起こすのも悪いか……。
マスターの寝顔をみるに、きっといい夢を見れているだろう。
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●ダンジョン名
不殺の悪魔城~ミステリアスダンジョンマスターと集いし最強の下僕達~
●攻略難易度:不明
●ダンジョンボス:[夢幻の悪魔]如月
●ダンジョンクリア報酬:若返りの劇薬
○追加報酬
○ダンジョンボスである夢幻の悪魔如月の終了
↓報酬
創造神による神格化の付与
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