スキルを使おう!(私頑張る!)
☆どこぞの悪魔
「日の光が気持ちいいですねぇ」
「そだねぇー」
初防衛完遂翌日、朝ごはんを食べながら日光浴をしていた。
平原に咲く花を愛でながら日の光に照らされぼーっとするのは、思っていた以上に心地よいものだった。
目をつむり陽に顔を向ける。
あぁ…暖かい……
…酒飲みたくなってきたなぁ。肝臓動くかわかんねぇけど。
「マスター。お酒出してくださいよ」
「自分で作れば?どうせ毒物になるんだろうけど」
「ハッハッハァ………はぁぁ」
確かに毒物になる自信があるな。白血球とか魔力とか壊していきそう。
やめよ、悲しくなってくる。
「マスターもこの日の光の様に俺に暖かく接してくれていいんですよ?」
「えっ…何かキモいんだけど……てか、私がさそんな態度取れないって知ってるでしょ?」
「知ってましたけど、キモいは余計ですよ?」
「いやいや、今日どうしたの?いつもは『人間の脳を弄って遊びたいぜぇ。げへへ』みたいな感じなのに」
声真似のつもりか?そんな潰れたカエルみたいな声してねぇだろ俺、あとそのクネクネとした指の動きはなんだ。えっ?俺そんなことしてないよな…?
セリフもセリフで言ったおぼえがねぇんだが。
「ひどいなぁ、そんなこと言ってないでしょう?俺」
「そうだっけ?」
「冗談じゃなかったら、マスターの脳みそいじくらないといけないなぁ。げへへ」
「ふぁぁ…お腹いっぱい。なんだか眠くなってきちゃった」
大きなあくびをしながら眠そうに呟く。
スルーかよ!相変わらずなんだろう、悪魔の俺よりいい性格してんな。
「今日は寝ても大丈夫だと思いますけど、第二次調査隊がすぐに来るそうですよ?」
「え、そうなの?昨日もらった冒険者の知識?」
「イエス。昨日いっぱいポイントゲットしましたし、ダンジョンの拡張でもしてみては?」
1万ポイントあれば、そこそこいいものができるのでは?
「ダーメ。お城の構造とかその他のダンジョンの構造とかも、ちゃんと設計してからやらないと変になっちゃう。改修にかかるポイントは高いからテキトーに作りたくない」
「さいでっか」
ちゃんとよく考えているようで。
マスターほんとにしっかりしてんなぁ。人殺せるようになったら、悪魔になるのもいいかもね。
でも魔法使えないから殺せないか。いや、ギフトが…
「あ!そういえば!」
「なに大声だして、眠いんだから静かにしてよ…」
「そりゃぁすいませんでした。二度寝の邪魔ほど苛つくものはありませんよね。
優斗の二度寝を邪魔したときにすごい怒られたんで、わざわざ脳みそ作り変えてまで試してみたんですけど、あれはなかなか…」
「ZZZ…」
うん、聞いてないねぇ。
それにしても気持ち良さそうに眠っていらっしゃる。
「くぁぁぁあ」 俺も寝たくなっちゃった。
……………………………
パチンッ!!
「いったぁぁぁ!アンタのほっぺた硬すぎでしょ!!」
「……ん?……くはぁぁぁぁ…おはようございます」
どうやらマスターのビンタで起きたようだ。
太陽の位置的に10時か11時くらいだろうか。
「おはようじゃないんだけど?!魔物に襲われたらどうするつもり?!」
「安心してください。結構強めの結界はったんで入ってこれませんよ、これで入ってこられたら流石に気づきますし。多分」
「万が一があるかもしれないでしょう?!」
万が一?……あるな、俺を殺したら神格与えるっていう報酬出すくらいには俺のことが嫌いな神様がいたな。
ふむ、10:0で俺が悪そうだから話題そらすか。
「まぁ、結果オーライってやつでさぁ」
「バカなんじゃないの?!」
「そんなことより!マスターのギフトって[魔法]や[生物としての格]とかじゃなくて、[スキル]だったんですよね?!」
「な、なに急に…そうだけど」
「もしかしたらそのギフト使えるかもしれません!」
「…………うっそ!本当に?!!」
「ええ。俺、スキルって魔法の一種だと思っていたんですけど、どうやら冒険者の知識によると、大気中の魔素を操作して行っているようなんですよ!つまり!魔力の無いマスターでも使えちゃうかも!一応魔力操作に必要な器官や脳の部位はそろっているんで!
前ヘルプさんに教えてもらったのは、魔法が使えるようになる方法であってスキルが使えるようになる方法じゃなかったですからね!」
マスターは顎に手を当ててじっくり考える動作をしている。
なんだ?また俺に裏があるのではないかと疑っているのか?それとも、話題そらした俺をどうしてくれようか考えてんのか?
「魔力が使えないのに、魔素ってどうやって使うの?」
「え?こう、そいっとする感じで」
「…はぁぁ、まぁ使える可能性があるぶんましかぁ」
「えぇぇ。あんま嬉しそうじゃないですね」
「まぁ、キサラギがそんな説明しかできないんじゃね。それに、期待すればするほど、裏切られたときの絶望が深いってこの前知ったから」
そんな真顔でいいなさんな。まったく、どうして13年しか生きてないのにそんな言葉がでてしまうんだ。
「期待したほうが人生楽しいですよ?絶望も人生の一部、逃げてばかりでは成長しませんよ?」
「人はキサラギみたいに何でも受け入れられる精神してないの、逃げないと壊れちゃうよ」
「確かに、たくさんの人を壊してきましたから、言われてみれば理解できますわ」
おっと、睨まないでくださいよ。
両手を前にだして、まぁまぁ、のポーズで牽制する。
「あほぉー。人の脳は勝手にいじらないの、可哀相でしょ!」
「マスターが生きてるうちはしませんよ」
「私が死んだらするの?」
「それは………どうなんでしょうね」
どうするのだろう。俺が悪魔として成熟して人を弄ぶのか、人に歩み寄り共に過ごすのか。
わからない。俺が何になろうとしているのか、自分でもよく分かっていない。悪魔として成熟したいのなら余計な記憶や感性は消し去るべきだし、俺にとっては人は容姿がにているだけの劣等生物、とてもじゃないが寄添おうと思えるものではない。
それに、マスターとの関係も結局は優斗の性格に先導されたものなのでは無いだろうか。いや、人は育った環境や育てた人間に似ると聞くし、悪魔もやっぱり最初の契約者の性格こそ自分の性格なのではないか?
わからない。俺を作ったやつは、俺が俺たる人格のようなものをいれていない。結局俺は、ナニモノなんだろう……。
「はぁぁ。何辛気臭顔してんの」
「いや少し考え事を」
「ふーん。
……たかが数日の付き合いの人間が何言ってんだって思われるかもだけど、キサラギは今まで酷い人や酷い悪魔と一緒に過ごしてきたんでしょ?
だから真っ先に酷い考えが浮かぶと思うんだけど、でも根本にあるのは優斗って人の性格なんでしょ?
どうして、その人から受け継いだ性格の大部分が押し殺されてるのかは、わかんないけど。悪魔っていうのはやっぱり最初の契約者に大きく影響され続けるらしいよ。
だからさ、私の知らないキサラギの過去にどんなことがあったのかは知らないけど。キサラギなら大丈夫だと思うよ。
的外れかもしれないけど。キサラギは私と同じで成長途中で、何にでもなれるんじゃないかな。
まぁなんていうか、要は気持ちの持ち用だよ。深く考えすぎるとかえって空回りしちゃうかもよ」
………よく見て、調べて、考えているなぁ。
俺より俺に詳しいんじゃないか?『たった数日の付き合いの人の考え』といっていたけど、何百年も敵対しているクソババア悪魔よりためになる話でしたよ。
「……敵いませんなぁ。マスター実は1億年くらい生きてるんじゃないですか?」
「んなわけ無いでしょう。ま、何となくそう思っただけだから、あんま気にしなくていいよ」
「気にさせてもらいます。すくなくとも、優柔不断のどっちつかずの悪魔より、よっぽど素晴らしい考えをしていましたよ」
「そう。何でもいいけど、帰って魔素操作の特訓しよう!」
「ええ。使えるようになるまで付き合いますよ」
……………………………
「手を上げなさい!」
マスターが真剣な表情で大きな声を上げる。
が、俺にはなんの影響もない。
「違いますよマスター。こう、そーい!って感じですよ!」
「(イラッ)わかるか!もっといいアドバイスないの?ヘルプさんでもいいよ?」
『私にはお答えできかねます』
「なんでわかんないんですか!こう、周りにある魔素をふいっ!っやって、そーい!ってやるんですよ?!」
「そんな訳のわからない説明でわかるわけないじゃん!『ふいっ!』とか『そーい!』ってなに?!頭おかしいんじゃないの?!」
「失礼な!真面目に教えているのに!」
「それが真面目なら一生スキル使えないじゃん!まだふざけてるって言われたほうがマシなんだけど?!」
そう言われてもな……いやそもそも、俺は魔力を使って魔素をかき集めているからちょいと難しぃなぁ。
…魔力が使えない…んーー……あそうだ。
「なら、大きく息を吸って魔素を体に入れる方法を使いましょう」
「なにそれ、まともそうじゃん」
「これがですね。魔素をあんま集められないんですよ。こんな方法じゃ、冒険者みたいに連続同時使用できなくなっちゃうんですよ。だからあんまりオススメはしません」
「でも、冒険者ってそれでスキル使ってるんでしょ?」
「パーティリーダーのダンは少なくともこの方法でしたね。まったく、これだから人は脆弱なんでしょうね」
「悪魔基準で考えないでよ」
「他の星でも、呼吸だけで集めている人はいませんでしたよ?」
「へー、そこら辺はどうでもいいから早く教えてよ」
「そっすか。それじゃぁまず魔力を感じることからしましょう」
「どうやって?」
「俺の魔力に低音の熱をもたせて、マスターの深呼吸とともに流し込みます。そうすれば魔力の動きとかがわかるのです。多分」
「えっ、この一時間どうしてそれをやらなかったの?」
「えっ?忘れてたからですよ?魔力を体感させることなんて1900年はやってませんから」
「はぁぁ。もういいや、ガヤガヤ言う私が馬鹿みたい」
申し訳ねぇです。何分魔力を持たない人なんて久々にあったものでしたから。
「んじゃ、すぐやりますか?」
「やる」
「はい、じゃあいきますよー。吸ってぇー。吐いてぇー。吸ってぇー。吐いてぇー。どうです?感じられましたか?」
「なんか寒くなってきた。もっと魔力の温度上げて」
「わかりましたぁ。んで、感じられましたか?」
「冷たい空気が体全体に広がった感じだった。まだよく分かんない」
「わかりました。もう一度行きましょう」
「ん」
「はい、吸ってぇー。吐いてぇー。吸ってぇー。吐いてぇー。吸ってぇー。吐いてぇー。吸ってぇー。吐いてぇー。まだまだ行きますよぉ」
さて、俺は俺でもう少し分かりやすい説明でも考えておくか。
………………………………………
「良く頑張りましたぁー。そろそろ休憩にしましょう」
「ふぁぁぁ。なんか疲れた。甘いもの食べたい」
「ヘルプさんに出してもらいましょう。あんまりいっぱい食べるのは太るからだめですよ?」
「んー」
「でも、大分上達しましたね。そろそろ大気中の魔素を集める練習をしてもいいかもしれません」
「ヘルプさんおかわり!」
聞けや!てか今の一瞬でプリン5個も食ったのかよ!食い過ぎだよ!
「マスター食べ過ぎですよ」
「そう?…じゃーあと一個だけ」
「あ、それでも食べるのね」
まぁ、マスターが幸せそうだからいいか。俺の記憶にあるものしか買えないみたいだからなぁ。他のお菓子も思い出しておこう。ご機嫌取りにちょうど良さそうだ。
「あー美味しかった。さっ続きやろっ?」
「休憩しなくていいんですか?」
「へーきへーき。で、次は何するの?」
マスターがそう言うならいいか
「次は大気中の魔素を呼吸で集める訓練ですね。
さっきの深呼吸とは違って肩や肺を動かすんじゃなくて、腹を膨らませるイメージで呼吸してください」
「ん…お腹見せなきゃだめなの?」
「いや、魔力と体の動きは感知で確認するんで大丈夫です」
「おっけー。スーーー…ハーーー…スーーー…ハーーー…どう?」
確かに少しは吸えてるけど、ほんの少しだしすぐ体外に出てるし…
「うん!全然ダメですね!」
「えーー。まぁ、そんな気がしてたけどさぁ。もっと言い方なかったの?」
「ないっすね、気を使うとか俺にそういうのないんで、多分。
んなことより。さっき魔力をしっかり感じたんですから、マスターの脳は魔力というものを記憶しているはずなんです。だから、もっと魔素を…いや、魔力をかき集めるイメージをもって呼吸してください。後、吸えた魔素も肺に行ってるので、腹にためるイメージでお願いします」
「わかったぁー。
スーーー…ハーーー…スーーー…ハーーー…。あ、ちょっと魔素を感じられたかも!」
「さっきよりはいい感じですね。でも、すぐ感じられなくなったでしょう?それは、体外にすぐでちゃってるって事ですから、慣れてきたら留めるイメージもしてください。さっき俺の魔力を少し操作したみたいに。
ただ、俺はマスターが操作しやすいように魔力を調整してたんで、魔素はもっと扱うのが難しいと思います」
「マジか。でも、魔法使えるかもしれないから頑張る」
「ええ、飲み込みは早いと思わなくもないのできっとすぐできるようになりますよ」
スーハースーハーと熱心に呼吸していらっしゃる。
でもまだ時間かかりそうだな。
……………………………………………
「魔力をある程度体にためれるようになったので、次は体内循環ですね」
…………
「次は腹以外の場所に___」
…………
「次は放出___」
…………
「次はコントロール___」
…………
「次は相手の体に作用させる___」
…………
「次は_____」
……………………………………………
「見ててねキサラギ!」
「なんスカ急に。スキルの練習はいいんですか?」
「ふっふっふー。まぁ見ていなさい」
特訓を始めてからはや2週間ちょい。順調に魔素の扱いがうまくなってきているので、後1週間、早くて4日ほどでスキルを扱えるようになるんじゃないだろうか。
先日軽くあしらった第二次調査隊の持ち物の中に、簡単に使える魔道具があったから、スキルが使えるようになったらそっちを使う練習をするのもいいかもな。
「ヘルプさん!ゴブリンを召喚して!」
『了解しました』
ゴブリン?何をする気だ?
「寝っ転がりなさい、ゴブリン!そして寝たまま何を言われても立ち上がらないで!」
「何をする気で?」
「いいから見てなさい!」
んー、いつになく真剣な表情だ。ここは黙って見守っておくか。
「ん”っん”ん……スーーーーーーーー」
お?昨日とは段違いの魔素吸収量。それに、魔素のコントロールも粗雑な印象は受けるけどしっかりできていて、魔素がのどに集まっている。
これはもしや…
「〘立ち上がりなさい!〙」
マスターの言葉とともにゴブリンが起き上がる。
おお!しっかり[言霊]が使えている!
「凄いですよマスター!ちゃんとスキルが扱えていました!
でも、昨日までまだまだって感じだったのに。急にどうしたんですか?」
「ふっふっふー。実は夜とかにヘルプさんと秘密の練習をしていたの!昨日までまだだったのはキサラギを驚かすためにわざと苦手だったり、細かい操作だったりを集中してやってたからなの!」
かぁーー!そりゃー気づかんかった!俺を騙すとはマスターもなかなかやりますなぁ!
「マジっすかぁ。全然気づきませんでしたよ。そっちの才能もあるんじゃないですか?」
「あっても、キサラギを騙すためだけにしか使えないじゃん」
「それだけでも結構有用では?」
「確かに?まぁ、なんにせよ!凄いでしょ!」
「ええ!魔力を持たないのによく頑張りましたね!流石マスター!世界一!」
「そうでしょうそうでしょう。
それと、キサラギもありがとう!キサラギのおかげでスキル使えるようになったよ!」
満面の笑みでそんなことを言われては、如何にこの私としても腑抜けた顔になってしまいます…。
…なぜだ。こんな感情千年以上は感じたことがない…。やはりマスター、恐ろしい子。
「ええ!どういたしまして」
やっぱあれだな。人も捨てたもんじゃないかもしれん。
って、えぇーい!正気を取り戻せ俺!さっさと気持ち悪い顔をなおさんか!まったく、いつから俺はそんなにチョロクなったんだ。
「あ、ヘルプさんそのゴブリンかえしといて」
「あれ、召喚したゴブリンって返せるんですか?つか、返したらポイントもったいなくないですか?」
「これは貸し出し用のゴブリンで、戦闘力が普通のゴブリンより低いかわりに、生きた状態で返すとポイントがもどって来るの」
はぇー。貸し出しなんてあるんかぁー。
星にある全ダンジョンで一斉に貸し出し用の魔物を出したり返したりすれば、ダンジョンシステムに不具合おきんじゃね?
「それじゃぁ、今度はレジストされないようにする特訓でもしますか」
「え?あれって魔力の量が多くないと破れないんでしょ?まず、多く魔素を集められる練習の方がいいんじゃない?」
「いんやぁ?そんなことはありませんよ。ちょいと説明のために幻覚魔法をかけますね」
幻覚で泡で作られた分厚い壁を作る。そしてその奥に俺の像を作る。
「泡の壁がレジスト魔力、奥の像がレジスト使用者だとします。
この壁に、こんな感じにオレンジ色に可視化した魔力を放射します。すると魔力は泡に吸収されて、魔力を吸収した泡はオレンジ色になりまして、魔力を吸収できる限界になった泡は破裂して消えます。そして、泡一つ分穴の空いたところを他の泡が防ごうとします。
レジストってわかりやすくするとこんな感じなんですよ。
確かに、このままずっと魔力を放射し続ければいつか泡をすべて消して俺に攻撃できるかもしれません。
ですが、こんな感じに槍の形を作って、速度をつけて一点突破って感じに発射すれば」
今度はすごい勢いで泡が飽和状態になり破裂する。すると、さっきは泡一つ分空いた部分を他の泡が補おうとしていたが。今度は泡が補おうとする前に魔力の槍が前衛進み、その後も必要最低限の泡を消してオレンジ魔力が俺の像にあたる。
「っとこんな感じで、俺の像を攻撃することができました。とまぁこんな感じに、無駄に魔力を消耗しなくても相手には攻撃を当てられるんですよ。
ですが、空いた穴を防ぐ速度がめちゃくちゃ速い奴とか、壁が馬鹿みたいに分厚いやつとか相手は、結局それなりの魔力を使わないといけないんですけどね」
「なるほどぉ。なんとなく分かった。要は、言霊の魔力をもっと鋭く速くうてばキサラギも自由に操れるようになるってことでしょ?」
「そんな感じですかね。まぁ、俺には一生当てれないでしょうけど」
「はっ!何かと抜けてるキサラギなんか、すぐに追い超してやるんだから!」
すごい自信満々な顔をしていらっしゃる。マスターならもしかしたら俺を超えられるのか…?
もし越せたら悪魔界の頂点に君臨できるかもしれん、頑張れマスター!
「そうですか、期待して待っていますよ。もしできたら何でも願いを叶えてあげますよ」
「えぇーキサラギほとんど何もできないじゃん」
「それが、1回だけならどんな願いでも叶えられるんだなぁ実は」
ま、叶えた瞬間に始祖の神に消されるけど。万魔で始祖の神も消せるか試すのもいいかもな。
「へーー。じゃぁその時は、キサラギを完全に私のものにしてあげる」
…ぽかぁーん…。へ?
「なに間抜けな顔してんの?喜びなさいよ…」
「………フッ…ハハハハハッ!そうですか!俺を完全な下僕に!いやー、面白いこと考えますねマスター!光栄に思っときますよ!」
「え…なに怖いんだけど」
「いやー気にしないでください。欲のないお願いで気が動転しただけですよ」
「そう?まぁいいや。そんなことより、次のこと教えてよ。まさか私に超されないように話しそらしてるんじゃないでしょうね?」
「いやいやまさか。教えますとも。俺が知っていることならば何でもね」
もしそうなれば、たとえ始祖の神であってもこのマスターのことを無視できなくなるだろうな。
それはそれで、随分楽しそうじゃないか。
何百年、何千年ぶりになるだろうか。
俺は未来に思いを寄せて、マスターと特訓をするのであった。




