ダンジョン守り抜いたぞー!(それはそうとお説教ね!)
☆どこぞの冒険者
…夢から…覚めたのか。
まだ少し頭がぼーっとするが、扉の先で戦っている仲間を見て、直ぐにスイッチをいれボス部屋にはいる。
体は重くなく、むしろ軽く感じる。きっと、夢のでAランク冒険者として体を動かしていたから、その感覚を脳がなんとなく覚えているのだろう。
「よぉ…どうやら遅すぎたようだな…。だがギリ間に合ったか?」
マルトとゴトが、重症をおっているがギリギリセーフなんじゃなかろうか。
いや、パーティリーダーの俺が最後に起きている時点で、リーダー失格なんだろうな。
「大遅刻です。リーダー、指示を。」
「セルランはゴトとマルトを連れて転移結晶で撤退、悪いが美味しいところは俺がいただかせてもらう。」
「了解!そこまで言ったんです!ちゃんと倒してくださいよ!」
「ああ、二人を頼んだ。」
「クハハッ、回収させると思うか?」
「ああ、俺が相手になるからな。」
「リーダー、油断しないでください。」
「わかってる」
そう言い残し、[魔技:身体超強化][魔技:剣神降ろし][無魔法:エンチャントシャープネル][無魔法:エンチャントディルビルティ]を使う。セルランも強化魔法をかけてくれた。
魔力を大量に消耗し体に負荷がかかるのでで永くは戦えねぇが、マルトとゴトが生きて帰れるために最善を尽くしたい。
床を思いっきり踏み全速力で悪魔に接近し、[パワースラッシュ]を打ち込む。
GAGIIIN!!
俺と悪魔の剣がぶつかる。セルランの強化と俺のできる限りの強化でようやく悪魔と同等、いや俺の方が少し強い程度か。
こりゃぁ、持久戦に持ち込まれたら勝ち目がねぇぞ。
PAAANN!!
悪魔の右肩に矢が突き刺さる。
ナイスアシストだリリィ!畳み掛けるぞ!
一度下がって体制を立て直そうとする悪魔を追撃する。
[ソニックスラッシュ][パワースラッシュ][一刀両断]!
ちっ!これでも駄目か!ならこれはどうだ!
[天地割り]!
だがこれも、左手の2本の剣で防がれてしまう、右手の剣が俺に向かって振り下ろされる。最小限の動きでソレを躱し、左手で[スキル:豪腕快手]を発動し悪魔に打撃を打ち込む。振り下ろしていた右腕で防がれたが、悪魔にすきができたので更に剣で追撃する。
悪魔が飛ばされた影響を利用し、後ろに下がって追撃を避けようとするが、壁に阻まれたかの如く動きを止める。
きっと、セルランが最後の援護をしてくれたのだろう。この好機を逃すわけにはいかない!
[スキル:無間貫通]
俺の剣が悪魔の胸の宝玉に突き刺さり、更にリリィの矢が頭に突き刺さった。
「グッア゛ア゛ア゛ああぁ」
悪魔が悲鳴をあげる。だがコイツはこの程度じゃ死なない。
そんな予感を信じ悲鳴をあげる体を酷使して、更に追撃をする。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ゛ぁ!!!!!」
何度も何度も悪魔を切り裂く。切った先から回復されているのが分かる。
クソが!お願いだから早く死んでくれ!俺は魔力総量も多くねぇし、魔人族みたいに体も強くねぇんだよ!
必死に攻撃するが、だんだんと体に力がはいらなくなり、攻撃を止めてしまう。
ああマジかよ、まだ殺せてねぇのに…なんで動かねぇんだよ
「リーダー!下がってください!」
足はまだ動かせるので、その声に反応して悪魔から離れる。今度はリリィが矢で射抜いていく。俺は何もできずただ見ていた。
何本、何十本の矢が悪魔のいたる所を貫き、風魔法でも悪魔の体を刻むが、リリィの手持ちの矢がなくなる。すぐにマジックバッグから新しい矢を用意をしたが、その一瞬をつき動けるようになるまで回復した悪魔が、すんでのところで次のリリィの矢を防いだ。
「クソが…ここまでやっても勝てねぇーのかよ!」
「リーダー、後どれくらい動けますか?」
「死ぬ気で行けば10秒」
「話し合いとは悠長だな!!」
悪魔に魔法をうたれたが、対処できなかった。一瞬で炎に包まれる。
が、リリィのおかげで死なずに済んだ。
礼を言おうとリリィの方を見ると、体が焼け焦げたリリィが倒れていた。
「なっ…リリィ!どうして俺にだけ障壁をはった!」
「あそこまで…回復されたら…私一人じゃ…太刀打ちできません…し…私じゃ…距離の離れた二人を守れるほど…強い障壁は…はれませんから………後は…頼みました……」
そう言い残し姿が消える。転移結晶を使ったのだろう
「残るは貴様だけになったな」
「後は任せるって……もうほとんど戦えねぇっての……」
「なんだ?諦めるのか?」
「はっ!んな訳ねぇだろ。テメェなんざ5秒で十分だ。」
「最後の威勢は認めてやる!が」
Paaaaannn!!
破裂音の様な音とともに、左腕に痛みが走る。
左腕とマジックバッグがやられた。
やはり、奴の攻撃に対応できなかった。こんな俺にアイツを殺せるのか?
いや!弱気になるな!今までのことを思い出せ!
こんな窮地も脱せない様じゃAランク冒険者になんかなれねぇぞ!
「これも避けられんのか…それに、これでもう貴様は逃げられまい?死ぬ覚悟はできたか?」
「………」
悪魔に問いかけられる。
死ぬ覚悟…か。確かに、どれだけ自分を奮い立たせようとしても、俺の死は揺るがいって事は理解している。
でもな、
この先に待つのが死だとしても
てめぇを殺せる確率が0に等しくとも
俺の勝利を祈ってくれている味方がいる限りは
諦めるわけにゃ行かねぇんだよ!
「なんだ?死ぬのが怖いか?」
「ククク……ああ、こえぇさ!これから死ぬんだと考えたら恐怖心が湧いてきやがる!でもな!
たとえ、刺し違えてでもテメェだけは殺す!」
「それは叶わん!貴様一人で孤独にしねぇ!」
お互いに地を蹴り接近する。
俺が斬りつける剣に合わせるように悪魔も右手の剣をふる。
このまま衝突したら俺のほうが負けんのはわかっている、俺はぶつかる瞬間剣から手を離す。
そして悪魔の剣が当たらないよう身をかがめ、魔力の剣を作り出し最期の全力で悪魔の腹を裂いた。
「見事っ!」
そんな声が聞こえた。
まさか、悪魔に褒められるとは思はなかったよ。
悪魔が剣を振りあげようとする。
走馬灯と言うやつだろうか。
時間がゆっくり過ぎ、やつの剣をしっかり見ることができる。
みんな…わりぃ…おれ、しくじっちまったみたいだわ。
なぁ神様よぉもし見てんだったら。どうか俺のなけなしの友を、助けてやってくれねぇか?
みんな良いやつなんだけど、ちぃと問題がある奴らなんだよ。特にリリィとかな。
おらぁここまでだけどよ。
どうか、どうかアイツらだけは幸せな暮らしをさせてほしい。
『ふん。儂の分はこいつでいいか。
おい人の子よ。願うだけでは夢は叶わぬ。願える夢があるのなら、自分で叶えてみせよ。叶えられるだけの力はくれてやる』
そんな声が聞こえたと同時に、悪魔の剣が俺を切り裂いた。
「なっっ!!」
俺もそう口に出そうだった。何せ、奴の剣が俺の体に触れた瞬間に霧散したのだ。
ハハッ。幻聴じゃなくてマジで神様の声だったんすか。
体に力が湧いてくるし、すでに痛みはない。魔力も回復していく。
悪いな悪魔、どうやら勝利の神様は俺の味方をしてくれたらしい。
もう一度魔力の剣を作り出し、悪魔の左腕に向かって振るう。ありえない速度で振るわれた俺の剣に、なすすべもなく左腕が切り裂かれる。
腕を再生するために集まった、悪魔の魔力が霧散していくのがわかる。
それだけではない、無際限に溢れ出る[力]が更に俺を加速させる。
とどめだ。
そんな事を思いつつ俺は悪魔を、いや、世界を斬った。
·········
「ここ…は……」
ああ、そうだ。魔力で満ちた空間から出たんだ。…夢から目覚めた直後のように頭がぼーっとする。
「お目覚めか?」
聞き覚えの無い声が響いた。どうやらぼーっとしている暇はないらしい。
前を向くと黒い服に身を包んだ目付きの鋭い青年が、無骨な椅子に腰掛けて頬杖をついていた。
悪魔には見えないが悪魔なのだろうと本能的に理解する。
そう認識した瞬間、体のそこから恐怖心が湧く。死を覚悟した時以上のものだ。
決定的に何かが違う、俺では到底至ることのできない領域、この世の頂点にして、終焉の体現者。
そう、心の底から理解する。
「そう固くなるな、まだ殺し合いはしない」
「まだ…ですか…」
「ああ、一応このダンジョンは"不殺"を掲げているからな。お前の返答次第では殺さんさ。
それで、今お前の身に何が起きているか分かるか?」
俺の身に何が起きているか、なんとなくは分かる。
「神に、なった…?」
「半分正解で半分不正解だ。正解は半神半人、要は半分が神で半分が人間なんだよ、今のお前は」
「半神半人…」
復唱するように呟く。
どうして俺が半神半人に?
「まぁ、何故あのタイミングでお前がそうなったのかは知らんがな。
…勝手に説明させてもらうが、お前が新しく使うことができるようになった力があるだろう?それが[神性]という力だ。俺は詳しく知らんのだが、魔力とは違う不可視のエネルギーがもたらす奇跡のようなものだ。ただし、予め何ができるかがある程度決められているらしい。
例えばだが、
魔力を消す神性を持っているのなら、使用者の発動範囲内に魔力が存在することが許されず。生命を作り出す神性をもつなら、使用者は新たな星を作り生物を生み出すことができる、髪の毛一本あれば死んだ人間を生き返らせることもできるだろう。
本当はもっと違うものなんだろうが、あまり神性に興味がなくてな、私はこれくらいの解釈しかしてないのだよ。」
「俺の神性ってやつがどんなものなのかは分かるんですか?」
「しらんな。おおよそ、ありとあらゆる魔力を絶対的な支配下におく、とかそんなものだろう。消せるし取り込める、便利な力じゃないか。私としては不愉快極まりないがな。」
それが本当なら魔法を無視して戦えるな。いや、そんな簡単なことじゃないのかもしれないが。
「他に何か知りたいことはあるか?因みにお前の仲間は生きてるぞ。」
「貴方が、ダンジョンマスターなのですか?」
「いいや?俺は如月。このダンジョンのボスだ」
「さっき倒したのがダンジョンボスじゃないのですか…えっと、では何故俺が半神半人化したのかわかりますか?」
「それは知らん。神が考えてることなぞ俺が知るわけないだろう、自らを神格化させた神にコンタクトをとることもできんのか?」
「多分、できません」
普通ならコンタクトを取ることができるのか?
まぁ、今はとりあえず他の質問を考えた方がいいよな。
……でもやっぱ咄嗟には思いつかねぇ、今後暮らしてくうちには思いつくんだろうが…
「……後は、今は特に思いつきません。」
「そうか。
…あぁそうだ、まだ言ってなかったな。
第5の試練[英雄へと至る道]クリアだ。おめでとう。
そして、次が最後の試練[終わりを告げる万魔の音色]。
試練内容は今から私が言う2つから1つを選べ。
一つ目が、"人として[不殺の悪魔城]のダンジョンボスに挑む"で。
二つ目が、"神として[悪魔:如月]を殺す"だ。
どちらを選ぶのもお前の自由、よく考えて好きに選べ。」
人としてか、神としてか、か……
神様が俺に何を思い神格をくれたのかわわかんねぇ、もしかしたらこの悪魔を殺してほしいのかもしれねぇ。
でも、一度拾った命を態々自分から捨てたくはねぇな…。
「神として……と言ったほうがいいのは分かってんだが、俺は…人としてアンタに挑みてぇ。」
「…そうか、正直そっちを選んでくれて助かったよ。
直ぐに試練を受けたいかもしれんが、一つ賭けの様なことをしないか?」
「賭けですか?」
「ああ、俺が勝ったらお前の記憶を少し改変させてくれ。勿論内容については先に言う。まぁ、お前が信じなければそれまでなのだが。
そして、お前が勝ったら俺がお前の言うことを1つ聞いてやる。叶えられる範囲でどうにかしてやる。」
これ、本当に俺に選択の余地があるのか…?
こいつなら俺を倒したあとで好きにできるだろうに。
「記憶の改変内容はどんなもので?」
「お前が第5の試練の悪魔を殺したあとの記憶を消し、悪魔を倒した後、ダンジョンマスターとの戦闘で敗北したが、その時の記憶はない。というものにさせてもらう。ただし、俺との会話はお前の脳に知識として入れておく。
そしてもう一つ、このダンジョンにて人が死ぬことはない。ということを脳に植え付けさせてもらう。
そしてお前の記憶を改変するときには俺はお前に必要最低限の万魔を使う。
万魔というのは、悪魔だけが使用できる神性の上位互換のようなものだ
神性はいくつも重複してもてるから、一概に上位互換とはいえんがな。」
たったそれだけか?戦闘で見せたくないものがあるのか?それとも、この会話自体がだめなのか?いや、バンマとやらがやばいものなのかもしれない。
わからない…が、それくらいならばいいのか?
「それだけ、ですか?」
「ああ、これだけだ。同意するのならば、"始祖の神に誓う"と言ってくれ。」
「わかりました、始祖の神に誓います」
「俺も始祖の神に誓う、では早速やるか?」
スゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……フゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……。
深呼吸をして気を落ち着かせる。
半神半人になり、知らない感覚や知識がいくつかある。正直気持ち悪いが、今は目の前の悪魔を倒すためにこの力を全力で使おう。
「❛我が覇は天魔に轟く!❜
いくぞ!はぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
いつもの如く、[魔技:身体超強化][魔技:剣神降ろし][無魔法:エンチャントシャープネル][無魔法:エンチャントディルビルティ]を発動させ、思いっきり地面を踏み一瞬で接近し上段から切りつける__
…………………筈だった。
気づいたら壁まで吹っ飛んでいた。剣は刃が10㌢程になり人中·喉·鳩尾に強烈な痛みがはしる。
意識が朦朧とする…
「我が覇は天魔に轟く。そう口にするのならまず技を学べ。魔力操作技術に剣術に神性もな。今のお前はまだスタートラインにすら立てていないぞ?」
何か返事をすることもできず、俺は意識を手放した。
☆どこぞの悪魔
目の前に痛みで顔を歪ませた男が横たわっている。
さっさと記憶を書き換えてダンジョンの外に放り出したいが…
❛我が覇は天魔に轟く❜とは、神の中でも上位の武力を持つ者が使う開戦の合図のようなもの。
つまり、この星に深く関わっている神の中に上から2·3番目に高い位を持つ神がいる可能性があるということ。
甘く見積もって上から3番目だとしても、神全体の3~5%にはいる実力をもつやべーやつ。
大抵がアホである武神が問答無用で俺を消しに来ないことを考えると、俺と敵対はしていないはず。
この星の管理者に敵を作りたくないので、対話はできるだけ下からでないとな。
「見ていらっしゃいますよね?一応断っておきますが、俺とこの者の誓いの下に今から万魔を使わせていただきます」
『……好きにせい。ぱぱっと倒しおって、おぬしならコヤツにもっと様々なことを教えられたろう?知識も、武力もな』
「ご冗談を、生まれて2000年そこらの新参に何を期待しているので?」
『どの口がほざきよる。おぬしがただの悪魔でないことなど、とうに知れ渡っておるわい。それに、最近じゃ2千年いきれず死ぬ者もすくなくないはずだぞ』
「ははは。やはり知っていましたか。誤魔化そうとしたこと、お詫びします。ですが、私もヤツから全てをもらったわけではないのですよ。2千年うんぬんの話も知りませんしね」
『ふん、まぁいい。おぬしがぐうたら悪魔なのはわかったが、一つ忠告してやる。[神魔戦争]が近々おきる、今までと違い多少強引にでも貴様を消しに来るものが現れるぞ。神にも悪魔にも、な』
[神魔戦争]神と悪魔の世界の支配権をかけた争奪戦。
これを行うという事は、神々は魔力以外の万能エネルギーを作り出したということか……。噂に上がるのは呪術やら闘気やら気功やら神気やら霊気やらなんやら色々あるが、なんにせよ魔力が無くなることは考えにくいからあまり関わりたくないな。
それにしても、近々と言っているがどのくらいだろうか。悪魔の常識すら不完全な俺はそれすらもわからない。
100年先だろうか?それとも200年?いや、1000年は先かもしれないな。
「ご忠告、痛みいります。神族と悪魔相手の戦闘でなら万魔をつかえるので、その時は気軽に使っていいという許可をだしていただけr__」
『それは断る。おぬしがこの星にいるのは100歩譲ってまだ許せるが、おぬしがこれ以上この星で自由を手にするのは避けたい』
「作用にございますか」
『ではの』
「ええ、また合う機会がありましたら、そのときは」
…いなくなったか。
にしてもケチなやっちゃな。
お前さんが神格を与えた奴を殺せる場面で殺さんかったんだから、万魔の使用許可くらいだせや。
…まぁいいや、とりま冒険者を処理するか。
はぁ、やっぱやりたくないなぁ。まったく、こいつが面倒くさい神性を持っていなければ魔法でどうとでもできたのに。
§万魔:夢想ス我ト反転セシ世界§
これが俺の持つ切り札で、自分の好きなように現実を改変する力だ。
これを使いダンから神性を剥奪し、普通に魔力で記憶を改変する。そして改変がおわったら神性をもとに戻す。
これでよし。
久しぶりの万魔の使用で顔に脂汗が浮かぶ。
いや、それだけではない。悪魔の中で唯一俺だけは万魔の使用に制限がある。記憶違いで制限を無視して万魔を使っていたらすぐに消されてしまう……が、今だに消されていないということは、セーフだったのだろう。
よかったぁ。
「マスター、これにて初防衛終了です」
『そう…色々ききたいことがあるけど、一つだけ答えて』
「わかりました」
『…私に嘘ついたの?』
嘘…うそか…
「そうですね…途中からというか、第3の試練からマスターと冒険者が見ている夢を別々にしました。それも、割とひどい部類の夢を見せた自覚があります(やべー語彙がいつも以上に変になった)」
『…どんな夢をみせたの?』
「(声でわかる…怒こっていらっしゃる…何故だろう、怖い!)あー、冒険者の心の弱さを鍛えるための夢で…過去のトラウマとかを掘り返したりしました。この後、冒険者が起きた後の表情とかでわかると思いますが、皆更にトラウマになったとかはないとわかると思いますし、もともと普通の夢の様に記憶が薄れやすいように魔法を作りましたから。大丈夫だと思いますよ?」
思わず"心の弱さを鍛える"とかいう嘘をついてしまった。
弁明でまた嘘つくとか、つくづつ俺はクズなんじゃないだろうかと思う。
『へぇ。でも、私に見せなかったってことは最悪の事態もあったんでしょ?』
「それは冒険者も覚悟の上でここに来てると思いますよ?」
『このダンジョンはそういうの禁止なのって何回言えばいいの?』
「ごめんなさい」
『っもう!次から許さないからね!』
「はい、もうしません」
『…そりゃーさ。キサラギは悪魔だし、私と違う価値観持ってたり違うやりたい事があるのはわかるよ?でも…寂しいよ、キサラギは私の初めてのげぼくだしここには2人しかいないんだから、もっとこう…なんて言えばいいのかわかんないけど…』
マスターの声がくらくなる。
寂しい、か。マスターが何を言いたいかわかるような気がするのは、俺に人の心が少しでも宿っているということだろうか。
「伝わりましたよ、何を言いたいのか。
その上でわざとマスターが悲しむようなことをしないことを誓います」
また俺はテキトーなことを……いや、これから誓いにそむくような事をしてかさなければいいのか。…やー、無理なような気がするな。
『そっか、わかった信じる。
でさ!冒険者がいっぱい魔力を使ってくれたおかげで、すごいいっぱいダンジョンポイントが貯まったの!だから、今回頑張った冒険者にご褒美上げたいなって思ったの!』
挑戦者が魔力を使うとDPが貯まるのか?つかそんなにアイツら魔力使ってたか?
「どのくらい貯まったんですか?」
『ざっと12000!』
「1万2千もですか!なら、この冒険者達の脳みそいじくって後100回くらいこのダンジョンに挑戦してもらいましょう!そうすれば知恵の実も買えますよ!」
『だめに決まってるでしょ!!アンタ本当に反省してるの?!
いいから、この1万ポイントでなんかあげたいの!
流石に、ダンジョンに来て何もなしで帰るのは可哀相だし、ダンジョンの評判も悪くなりそうだから』
ダンジョンの評判か…確かにそうだな。
でも冒険者なんぞのためにDPを使うのはもったいないな。
「でも、報酬にDPを使うくらいなら俺が作りますよ、報酬」
『えぇーアンタ失敗作みたいなのしか作れないじゃん!』
「失敬な!主に魔物の体内に生成される魔核くらいならつくれますよ!ちゃんとしたやつ!」
『ほんとに~?怪しぃー』
ハッハッハ!声からマスターが眉をひそめているのが容易に想像できるぜ!…俺への信頼少なすぎやろ。
「魔物はもとより悪魔が創り出したものですし、魔物を作るのは失敗する可能性があっても、魔核くらいなら作れますよ?魔核は脳に深い関わりがありまして、俺の魔法の専門もそっちなんで」
『ふーん…それを信じるとして、問題はどれくらいいっぱいあげるか、だね』
「いくつの試練を突破できたかで、クラスレベルの高い魔核をあげるのはどうでしょう」
『くらすレベル?…キサラギの古臭い言葉じゃなくて、この星にあった言葉で言ってよ。知識は貰ったんでしょ?』
古臭いって…なんだそのちょっぴり心にくる言葉は。
「いやすんません、つい。
んで、クラスレベルってのはランクのことですよ。AからGまであるアレです。」
『あーね。どのランクまで作れるの?』
「どのランクでも作れますよ?なんなら、この星に無いめちゃくちゃでかくて、高密度な魔核だって作れます」
『へぇー。それじゃー…そういえば、本当は第何の試練までクリアしたの?』
「5ですね、後でそこら辺は詳しく説明しますよ」
『ん、わかった。でもやっぱり、そういうお金とかが絡んでくるのは私が判断しないほうがいいと思うから、キサラギが決めて』
あー。マスターはそういうのほとんどしたこと無いだろうからな。といっても、俺もそういう経験ゼロに近いけどね。
「じゃぁ、第5の試練突破でAランク、4でB、3でC、2でD、1でEそれぞれ1つずつというのはどうでしょう?Aランクの魔核1個で、このダンジョンがある国の男性の生涯年収より少し高い程度なので、死ぬ可能性が無く報酬そこそこ、その代わり絶対にクリアできない。みたいな感じで」
『んー………いいんじゃない?』
「んじゃぁ、冒険者の身ぐるみはいでAランク魔核あげて、とっとと帰ってもらいますか」
『全部とっちゃ駄目だからね!』
「分かってますよ」
まったくマスターは心配性なんだから。
『あ、それと。夢みたいにすぐ全部忘れちゃうのは、ダンジョンが印象に残りにくいからなしでお願い』
「あー確かにすぐ忘れちゃ、客足がとうのきそうですね。わかりました」
···············
あれから冒険者のマジックバッグの中身をほとんど貰って、ダンジョンの外に放り出し、今はコア部屋に来ていた。
ダンのマジックバッグは使用者登録があったが、所詮は人間が作り出した魔力識別制限、悪魔の俺にかかればチョチョイのチョイだった。
そして、冒険者を外に放り出している間に一ついいことを思いついた。
「マスター」
「なに?」
「打ち上げやりませんか?」
「打ち上げ…」
「ええそうです。何か大きな事が終わったあとにパーッとやるアレです」
「いやまぁ、知って入るけど…キサラギそういう無駄遣い嫌いそうだから、なんか裏があるんだろうなって思って」
「ないですよ!こーゆー息抜きみたいなのは人には必要だろうと思っただけですよ。それに、何も楽しみがないのはつまんないでしょう?そんな怪訝な顔で見ないでくださいよ、俺が変みたいじゃないですか。」
「…まぁ、キサラギがそこまで言うならやってもいいかな」
「んじゃぁパーッとやりながら、今日のこと色々話しましょう!」
「おっけー。それじゃーヘルプさん、何かいい感じの用意して」
『かしこまりました』
ふっふっふー。裏がない?んなわけ無いだろう。打ち上げで美味しい物いっぱい食べてもらって気分を良くしてもらえば、あんま怒られないだろうと考えたのすよ。
「あ、ヘルプさん。主である私の言うことを聞かないだめ悪魔には、美味しい物じゃなくて、人の心を理解するための本でも出してあげて。どうせコイツろくなこと考えてないから」
『かしこまりました』
…………………???なぜバレた?
俺の点になった目をみて、マスターは呆れた顔をするのであった。
☆どこぞの神
「聞いているの?!この耄碌爺!」
悪魔の元から帰って来た儂に創造神がギャーギャーと騒ぎ立ててくる。
まったく、うるさくない分まだあの悪魔の方がマシじゃわい。
「聞いておるよ、小娘」
「なら説明しなさい!どうしてあんな雑魚に神格を与えたの?!しかも神性も一つしかあげてないじゃない!
いくら特例であの悪魔を倒すためなら、私達が一人づつ神格を与えることが許されているとはいえ!あんなゴミに神格を与えた考えを!この小娘に教えてみなさいよ!」
何故か、か。正直どうでも良かったからのぉ。適当にくれてやったわ。だが、この小娘にそう言うのも何か癪じゃしな…
「ふん、おぬしが心身共に大きくなれば分かるときがくるわい。まぁ、その貧相な乳と色気しかもたん限り無理じゃろぅがな」
「なっ…!それとこれとは関係ないでしょう!この変態爺!てゆうか私はcカップありますから!」
「C!(笑)」
たかがCで粋りよるか!たかがCで!
おうおう、どんどん顔が赤くなりよる。もう真紅と言っても差し支えないかもしれんな!カッハッハッハー!
「もういいです!貴方がどれだけ使えない方なのかはよーく理解しましたから!前から碌に仕事をしていなかったので、変わらないと思いますがどうぞご自由にお過ごしください!何なら星核の部屋から出ていってもらって結構です!人間の女でも抱いて余生を過ごせ!このっクソ爺!」
まったく口が悪いやつじゃのう…まぁ神なんて自分が絶対の奴らが多いからな、特に最近は。
しかし、創造神から直々に好きなことをして良いと許可が出たのだし、人界で好きにするのも良いかもしれぬな。人と神の外見的な違いなぞないのだし。
ふむ…そう考えると人間の原型を創った悪魔はいい仕事をしたな。そして、無駄に外見を変えなかった神々もな。
よし、人界に行こう!どうせ技能の大部分に封印が施されるんのじゃ、気にすることはないの。
「まぁまぁフランカ、少し落ち着きましょう。マルード様も火に油を注がないでください」
「ふむ、目測Hカップがそこまで言うのなら大人しくしてやろう」
「(ムカッ!)いいえ結構です!さっさと消えてください!」
「フランカ耐えて!貴女にはスルースキルというものが必要です。そこで争っては同程度の存在ということですよ。」
「何を言っておるのじゃマリアーナ。どう考えても、小娘より儂の方が格上じゃろうて」
「マルード様は黙っていてください!」
「………はぁぁぁ、分かりました。さっきの言葉は撤回します。ですが、これからは軽率な行動は謹んでください」
「仕方ないのぉ、ここは儂が大人になってやる」
「………。(ムッカァァァァァァー!!!)」
「一言余計ですよ…」
なんじゃ、堪えるのか、つまんないのぉ。まぁ良い、どうせこの小娘の精神は成長せん。これからもからかって反応を楽しんでやろう。
「そういえば、おぬしらは神魔戦争に参加するのか?特に小娘は、目の敵にしておる如月とかいう悪魔を規則に則って殺すチャンスじゃろう?」
「ヤツが神魔戦争に参加する確証があるのですか?」
「確証というほどでもないが、万魔をもつアヤツがほおって置かれる方がおかしいじゃろう」
「………どちらにしても、仕事をしないあなたに教える義理はありません」
「ふん、そうか。じゃが一つ忠告じゃ。殺したいほどヤツのことを嫌っているわけではないのは知っているが、絶対にヤツに殺意を向けるな。多分じゃがそれが制限の内容じゃ。あと、万魔の発動に関係する誓いをたてるな。するバカはいないと思うがな。」
「わかりました。その忠告だけは素直に受け取っておきます」
儂も参加しなければならんのだろうが、正直気乗りはしないのぉ。
☆どこぞの冒険者
ダンジョンから帰ってきた俺達は、冒険者ギルドにて報告を終えた。
話を全て聞き終わったスキンヘッドのギルドマスターが、今まで発していなかった低い声をあげる。
「なるほど…それが本当のことなのだとしたら、いや、お前たちが破れたのなら、何にせよ第2次調査隊を送らないといけないな。」
「はい。あの難易度でもし本当に誰も死ぬことがなく、何度でもAランク魔石を入手できるのなら、この街を大いに発展させることができるかと。しかしアイテム類は持っていかれるようですから、注意が必要です。それとギルドマスター…」
いやまて、俺が半神半人になったことは言っていいのか?昔の勇者は神様から神格を貰ったと言い伝えられているが、それ以外の事例は知らねぇ。
これを言ってなにかまずいことにならないか?
「どうした?」
「…いえ、何でもありません」
「そうか、何か気づいた事があったら報告してくれ」
「了解しました」
言えなかった。正直、平々凡々な性格の俺に、神格なんてものをえたことの責任はおもすぎる。良くしてもらっている分際で不義理だとは思うが、ここは黙らせてもらう。
すいません、ギルドマスター。
にしても、パーティの共有財産まで持っていかれたのは痛いな。パーティメンバー全員のアイテム全て買い直すだけで結構すんだよなぁ。
☆どこぞのギルドマスター
ダン達ウルフファングの面々、そしてギルド職員が全員退室した。
ダンが何かを隠しているようだったが、何故だか聞くことができなかった。
「ウルフファングの面々にさぐりを入れろ。特にダンはなにか隠している可能性がある、それが冒険者に不利に働くのであればダンであっても放置はできない」
誰もいない部屋で一人そうはっする。
さて、信頼しているダンの隠し事に。常識外れの新ダンジョン。俺のギルドが属しているブリギッド王国と最近移動してきた浮遊帝国ディバースの日照問題。そして神殿の巫女がうけた新たな神託と、問題は山積み。
それらがもたらす書類仕事も正直やりたくないなぁ。
はぁぁぁぁ。とりあえずいっぷく吸ってくるか。
次回 「マスター、[言霊]使えるかもしれませんよ!」




