ボス戦とスキル
ボス部屋はゲームであるような闘技場みたいな部屋だった
目の前には二本足で立つイヌ?オオカミ?
ゲームではコボルトって呼ばれる魔物が7体もいる。
こちらに気づいたコボルトが一斉に襲いかかってくる。
今まで戦っていたスライムやホーンラビット、ゴブリンやゴブリンの上位種に比べてとても素早い
しかも手?前足?みたいなのに鋭い爪があって引っかかられると致命傷になりかねない。
今回のボス戦は劣勢になるまではスキルで【自分の存在の隠蔽】を使わずに戦ってみる
理由はもし、【自分の存在の隠蔽】が効かない相手がいた時に自分の存在の隠蔽を使わず別の物を隠蔽して普通に戦えるようにしないといけないと思ったからだ。
スキル《世界の隠蔽》で持っていた短剣(包丁)をコボルトから隠蔽して見えなくすると1番先頭襲いかかってくるコボルトに短剣を投げた
見事に短剣はコボルトの肩に刺さり体勢が崩れて倒れてしまった。
投げた短剣はスキルによってコボルトにはみえないから、いきなり先頭のコボルトがなぜか倒れたことで後ろから襲いかかろうとしていたコボルト達はみな足をとめてしまった。
隙を逃さないために倒れたコボルトを仕留めに走る
動けないコボルトの頭をバットで潰す。
足が止まっていたコボルト達も一体倒されたことにより、また襲いかかる。
数が多いので1発で仕留めず、動きを鈍らせる為にコボルトの足を狙う。
少しずつダメージが溜まったコボルトは徐々に動きが鈍くなりバットによってどんどん潰されていく。
最後の一体を倒し終わった。
ハァーー、結構疲れたな。
バットだと打撃攻撃だから動きを鈍らせることが出来たけど、今後バットじゃダメージが入らないような硬いやつがいた時、刃物で傷つける方がやっぱりいいよなー
ちょっと高いけど剣を購入することを考えとかないとだな
それに複数体の魔物と戦う時、広範囲の攻撃ができるようになるか、もっと攻撃を避ける動きを素早く正確にできるようにならないとだな
反省をしながら京介は魔石を拾った。そして……
宝箱だ
10階層毎の【ボス戦】を倒すと必ず宝箱が出る
それはどこの国でも10階層のボス戦後に出ていることから言えるだろう。
さらに、ボス戦後に出る宝箱は普通に探索中に見つかる宝箱とは違い、高い確率でスキルスクロールが出るらしい
もちろんハズレ(ポーション)が出ることもあるそうだ。
そうなるとこの階層で周回してスキルスクロールを貯めようとするやつが出てくると思う
まぁ実際にどこかの国の探索者がそれをやったけど1度でもボス戦を倒したことがある人がいると、倒したことない人達に交じってボス戦に挑んでも宝箱は出てこないらしい
さらに、例えば5人パーティでボス戦を倒しても、10人パーティでボス戦を倒しても人数に関わらず宝箱の中は1つしかないらしい。
だからパーティで1つのスキルスクロールかポーションしか貰えない。
人数が多い所なら誰が使うかで争いが起こりそうだ。
ダンジョンの意地悪なところだね
結果、ボス戦は負けない最低限の人数で攻略して少しでも多くの人がスキルスクロールを貰えるようにする必要がある。
まぁ俺はソロだから関係ないけどねw
宝箱を開けてみる
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★4スキル《雷魔法》Lv,1
雷をつくり出し、操作することが出来る。
レベルアップにつき操作性と威力が上がる
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よっしゃぁ〜〜
念願の魔法だ!!!
さっそく《雷魔法》を使ってみる。
まず魔力を感じることらしいがそれはもうなんとなく分かる。
スキルスクロールを開いた時に《雷魔法》習得と同時に*モワッと*した何かが体の中に入ってくる違和感があった。
本当にギリギリ感じることができる程度の違和感
その*モワッと*した感覚を思い出しながら手のひらに集める
手のひらにモワモワしたものが集まった
それをボールのように形作る
モワモワを雷に変換するイメージで壁に向かって放出する。
『バキッ』
ダンジョンの壁はバットで殴っても壊れることはなかった壁が雷魔法を放った所が削れている。
その後も何回か練習したところで急に体が怠くなった。
いわゆる魔力切れだろう。
少しの間休憩をとって魔力が回復して怠さが無くなったところで11階層へと進む
10階層から階段を降りたところで京介は驚いた。
なんとダンジョンの中なのに草原が広がっている。
しかも、空もある。
草原の草は膝下まであり、所々に木があるがほとんど見渡す限り平原だった
草原を進むと遠くの方にウルフやコボルトがいた。
1~10階層までは迷路だったので、下への階段を探すのに苦労するし、曲がり角が多いせいで警戒し慎重に進む必要があった。(それでも普通以上のはやさで進んでいたのだか…)
この草原フロアは見晴らしがよく敵の位置もすぐに分かる。
しかし、下への階層へ向かう階段は草むらに隠れているのかすぐには見つからない。あとは、どの魔物も大体2~3体以上で行動しているので必然的に複数体の魔物を相手にする戦いが増えることだろう。
正直《雷魔法》を覚えてなかったらもっと1戦1戦に時間がかかるし疲労により探索は苦労することになっていたと思う。
《世界の隠蔽》を使えば確かに気付かれないで倒せるがそれでは強くなれない。
戦闘が面倒な時とやむを得ない時以外では使わないようにする。
それでも、《雷魔法》によって簡単に相手の行動を止めることができるのでとても楽に倒せている。
しばらくして11階層から下へ向かう階段も見つけることができた。
ただ、新しく買った容量の大きいリュックにドロップアイテムがもう入り切らなくなりそうなので探索を切り上げて地上に戻ることにした。
帰りは魔物を倒しすぎるとアイテムを持ちきれないのでそこそこ高いお金で魔石を売れる魔物だけ《世界の隠蔽》を使ってちゃっちゃと倒して、ザコはスルーしながら行きの4分の1程の時間で地上まで上がった。
帰還したことを報告しに受付によったあと、買取所が少し混んでいたので先に更衣室で有料シャワーを使い汗を流しゆっくり着替え買取所が空くのを待った。
「お疲れ様でした。アイテムをこちらのカゴにお入れ下さい。」
前回と同じようにリュックからカゴに流し込むように入れようとしたところ
「ちょっ、ちょっと待って下さい! あ、あの、そのリュックの中身、全部魔石やドロップアイテムなんですか?!」
「そうですけど?」
「申し訳ございませんが量が多いので個室をご用意致しますので、そちらで買取の査定をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
確かに周りの探索者を見ると同じくらいの容量のリュックを持ってる人はいるが全部がアイテムではなく探索に必要な食料や水、野営用のセットなども入っていて、リュックの容量の3分の1にも満たない位の量しか持っているようではなかった。
「分かりました」
そう言って買取所の受付の人が案内してくれるのでついて行く。