いざダンジョンへ
探索者許可試験から1週間、めでたく3人とも試験に合格した。正直運動は3人とも得意だった。
こないだニュースで政府が、4月1日から一般の探索者はダンジョンに入ることができると発表した。また、ダンジョンに入る時武器を持つことを推奨され、武器をレンタルすることができるそうだ。まぁ剣とか槍とかはレンタルできる数が少なくとても高いからみんな安い金属バットみたいに打撃系の武器をレンタルするか、自分でどこかの店で買うと思う。
合格通知と一緒に全体的に黒く表面に探索者ID番号と所属国、ランクの表記がある電子機器対応のカードが送られてきた。
京介は4月1日までの間探索のための訓練とダンジョンに関する情報を調べていた。
現在、日本の自衛隊は東京の16階層まで進んでいるらしい。
他の国ではアメリカと中国が19階層、ロシアとオーストラリア、フランスが15階層、イギリスとスペイン、メキシコが13階層まで進んでいると分かった。
日本は結構進んでいる方だった。
まだ詳しい情報は出てないけどハッキリわかっているのは宝箱か倒した魔物のドロップアイテムに稀にスキルスクロールが出てくること。スキルは特に取得限界数などは無さそうなので手に入ればいくらでもスキルを所持できること。スキルスクロールは本当に稀にしか出ないので現状では1人が何個も獲得している人は少ないらしい。また、スキルスクロールは最初に開いた人が取得するので繰り返し取得はできないが開けなければ他人に渡しても大丈夫なようだ。
そんな情報を調べつつ京介はこれからについて考える。
やっぱりスキルは欲しい。
聞いた話だと探索者を本業として活動しようとする人は多いらしく、自分も高校卒業後探索者として食っていける程強くなれるならわざわざ就活せずに探索者を本業としてお金を稼ぎたい。
まー実際いいスキルが手に入るか分からないし、そもそもあんまり問題になってないけど自衛隊の中にはダンジョンに入って亡くなってしまった人もいるっていう情報もあるから慎重にいきたいし。
悩んで今はとりあえず探索に必要な道具の購入と動画で体術や棒術、剣術などいくつか動き方の動画を参考にしつつ訓練をした。
スポーツブランドが探索者用の動きやすい服を、キャンピング用品を売っている店は探索に必要そうな道具を、金属加工をしている工場では探索者用の打撃系の金属棒を…
多くの企業がダンジョンブームに乗っかり新しく探索者用の商品を売り始めた。
健斗と凛華はとりあえずはじめの頃一緒にパーティを組むそうだ。慣れてソロでも戦えると判断したら途中でソロに切り替えるらしい。
俺は元からソロのつもりなので関係ないが、ネットではパーティ募集している奴もいる。
『パーティメンバー募集中、できたら前衛出来そうなやつ大歓迎』
『パーティメンバー募集中、仲良くやれるパーティをつくりたい』
『パーティメンバー募集中、可愛い子限定。ハーレムの為に!!!』
なんていうツイートがめちゃくちゃ多い。
探索者協会のホームページには探索者カードのIDでログインすると今後協会が探索者から提供された重要な情報や魔物の種類や特徴、スキル名とその効果が調べられるようになるらしい。
スキルは報告の義務はないのであくまで任意で情報提供されたスキルなのでそんなに期待していない。
まーつまり、ありふれたスキルなんかは調べられるかもしれないけど希少なスキルなんかはやっぱり晒したくないからスキルを秘匿する人多そうだから仕方ないけどね。
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「日本探索者協会代表取締役 坂田慎介です。
ダンジョンの封鎖解除に伴いいくつか説明がございます。現在ダンジョン内にいる魔物と呼ばれる生物を倒すとドロップアイテムが出て死体が消滅します。ドロップアイテムには魔石と呼ばれるエネルギー資源の他魔物の皮や爪、牙などが一緒にドロップします。それらは今後のエネルギーや武器など大切な資源となるので探索者協会の施設にて常時買い取りを行っています。
また、新しいダンジョンに関する情報なども未発見情報に限り褒賞金も出る予定です。
探索者はダンジョン内での魔物による死亡には一切責任を負いません。ですのでしっかりと判断した上でダンジョンに入ってください。」
「それでは、ダンジョンを解禁いたします。」
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テレビでお偉いさんの注意と封鎖解除宣言によってついにダンジョンが開かれた。
俺は試験合格後準備していた道具をもって家を出た。
ダンジョンへ向かう電車では何人もの人が同じく武器らしきものをもっていたり大きなリュックを背負っていた。
ダンジョンの最寄駅につくとそこは探索者で混み合っていた。
探索者協会の施設はなんとビルだった。
多分、元々あったビルを国が買い取って内装だけ変えて施設として利用してるんじゃないかな。
協会の施設は、
地下1F、 探索者の更衣室でロッカーやシャワー室完備
1F、 探索者のダンジョン出入りなどの確認をする受付
2F、3F、 ダンジョンから帰ってきた探索者のドロップアイテムなどを買い取る為の買取カウンター
4F、 新情報の報告などをを精査するカウンター
5F、 機密情報などあまり人に聞かれたくない話がある時に使用する防音の個室及び会議室
6F以上は協会の事務所
だそうだ。
他の人はみんな試験の合格通知と一緒に入っていた探索者カードを提示し、協会の中に入りロッカーで着替え受付を終えた人からダンジョンに入って行った。
自分だけではない。みんなが待ちに待っていたダンジョン。
ワクワク顔で入っていく探索者、緊張している探索者、テレビの取材を受けている探索者…
など様々だ。
そんな人たちがいる中で自分もワクワクしながら着替えを終えて受付を終えてついにダンジョンへ足を踏み入れた。