プロローグ 信じていたのに
初めて書いた作品です。
今まで読専だったのに、唐突に思いついたので書きなぐりました。
良ければ読んでいってください。
「何か、最後に言い残すことはあるか?」
私は処刑台に登らされていた。
身体は拷問でボロボロ、自慢だった白銀の髪も無残に切られていた。
元婚約者である、クズにそう聞かれた。
が、悔しいので顔を上げないでいると、執行人に無理やり顔を上げさせられた。
その先には元婚約者とその側近たち。
そして、皆に守られるように立つ憎いあの女がいた。
「皇太子殿下にさっさとお答えしろ」
「...何も、御座いません。ですが、心残りが一つだけ。私は無罪でした。冤罪が立証されなかったことだけが無念です。」
「ここに来て、まだそんな戯言を....!!愛しいリネアに謝罪こそすれ、自分は何もしていないだと?ふざけるな、リネアはこんなに怯えているというのに。もういい、執行しろ!!」
あなたは最期まで気づかなかったのね、その女の本性に。いまだって怯えているふりをしながら、私をみて笑っているというのに。私はこの女に嵌められた。気づいたときはもう手の施しようがなかった。
ルナード...
確かにあなたの事は好きだったわ。国のこと第一に考えるあなたを尊敬していた。でも、あなたは変わってしまった...。
女に籠絡されたあなたには昔の面影などどこにもなかった。
昔のあなたに戻ってほしかった。だからといって、リネアという女が言うように虐めていたわけではない。高位貴族の男に誰彼構わず近づいていたリネア嬢に侯爵令嬢として多少の注意はしたがそれだけだ。あなたは私の言うことなど何一つとして信じず、リネアのことだけ信じた。婚約者として10年近く一緒にいたのに...
家族でさえも私のことを信じようとしなかった。まあ、もとから両親は弟と妹しか可愛がっていなかったし、弟、妹も私のことを見下していた。
何故か私だけ愛されなかった、理由は今も分からない。
愛されたかった、褒められたかった、だから頑張ったのに・・・!!
私のしたことはすべて無駄だったのね・・・
最期にルナードたちを見た。
愛情と憎しみは紙一重なのだと知った。
愛情・親愛・友情すべてが憎しみに変わった。
もしまたあなたに会っても、もう二度と好きになったりしない。
絶対に許さないわ・・・!!
復讐はしたいけれど、これから死ぬ私に復讐などできようはずがない。
せめて、これから進む道が困難であるように、不幸せであるように願うしかない。
呪いの力が欲しい。そしたら、最後に一泡吹かせられるというのに・・・
悔しい、悔しい、悔しい・・・!!!!
目の前が憎しみに染まり、その場にいる全員を睨みつける。
執行人が気圧されたように一歩下がった。
「何をしている!?さっさとその罪人の首を落とせ!!」
執行人が剣を振り下ろし、首が落とされた。
視界が暗転し、そして・・・
.....ループ1000回目
.....条件達成、????起動
無機質な機械音声が聞こえた気がした。
ここは...いったい...
一面、白い世界にふわふわ浮いているようだ。
私は処刑されて死んだはず...うっ
「あー、もしもーし、聞こえるー?」
「は...?」
「聞こえてるかなー?君のことだよ、アリーネット·グロスウェル」
幻聴かしら?そもそも私、死んだはずなのだけれど...
手を首に当てようとして、まったく体が動かないことに気づいた。
いや、ほんとどういう状況よ、これ...
「幻聴じゃないよ、僕はこの世界を作った神だ。君にお願いがあるんだ。と、その前に謝罪しなくてはね。」
突然、目の前に人が現れた。どうでもいいけど、超絶美形だった。思わず見惚れていると...
その自称神が突然土下座した。
「は?えっ?」
「ほんっとうに申し訳ない!!!不可抗力とはいえ、1000回もループさせてしまった上、1000回すべて無惨な死を...!!1000回目のループでようやく干渉できた...!!本当に申し訳ない...」
そう言ったきり、頭を下げたまま顔を上げようとしない。
「え、あっ、ちょっと!?頭上げてください!!」
「いや、しかし...」
「1000回ループとか、何言ってるのか分かりませんし、状況の説明をお願いします。」
「...分かった、それもそうだね。」
そう言うと、やっと顔を上げたその人は憮然とした表情をしており、思わず笑ってしまった。
それを見て、ホッとしたように微笑まれ、首を傾げる。
「あの...?」
「君は...、いや、なんでもない。とりあえず先に説明をしようかな。」
「君に記憶はないようだが、実はこの世界は1000回ほどループしてしまっている。記憶を戻した方が早いかな。身体も戻してあげる。今の君は魂だけの存在だからね。」
なるほど、道理で、全く身体が動かないわけね。
魂だけになっているのなら、そりゃ動かせるわけないわ。
「待って、待って、気になるとこ、そこ?記憶の方じゃなくて?」
「だって、1000回ループしたって言われても、記憶がないからよく分からないのです。まあ、確かに既視感はあったけれどそれだけで、違和感を持ったことはなかったのですわ」
「あー、なるほどね、そうか・・・。あいつら、僕が身動きできないことをいいことに好き勝手やりやがって・・・」
後半、何を言っているのか聞き取れなかった。
「?何か言いまして?」
「いや、なんでもないよ。とりあえず、身体を先に戻そうか」
神様が私に向かって手をかざす。すると、一気に重くなった。
見ると、身体が戻っていた。
拷問によってつけられた傷もない。
「身体は傷のない状態に戻しておいた。実は、ループで魂も傷がついてしまっているのだけど、定着してしまっているから完全には治せない。薄くはできるのだけど・・・ごめんね。」
「いいえ・・・。ありがとうございます。治そうとしてくださっただけで嬉しいですわ。」
「記憶も戻してしまいたいところだけど、やっぱりに先に頼みたいことを話すよ。君にもとっても好都合のはずだ。」
「どういうことです?」
「僕の頼みを聞いてくれるなら、あいつらに復讐できるよ?僕の頼みは復讐のついででいい。」
・・・!!!
復讐ができる・・・!?
それは願ったり叶ったりだけど・・・
私はしっかりと目の前の神様の目を見据えた。
「聞かせてください」
「はは、そうこなくてはね。」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
どうでしたでしょうか、感想などお待ちしています。