昼休み
「加藤くーん、起きてー。昼休みだよー」
声を掛けても加藤はピクともしない。
少し揺さぶってみたらムクリと起きて「あ?」と不細工な顔で言われた。寝起き悪すぎ無いか…。
「昼休み…、だよ。加藤、バイトもしてるのな、そりゃ寝不足にもなるよなぁ…。ホラ、コンビニで会ったのも結構遅い時間だったしなぁ~」
加藤の目が半開きの侭こちらを見ている。
「…あぁ、昨日はまさか会うと思わなかったな。寝たい。バイト辞めたい。昼休みか、腹減ったな」俺の話した内容を全て逆から返事をしてきた。何かの潜在意識か。
そうすると、鞄からパンを取り出し、勢い良く食らいついていた。
俺も負けじとコンビニ弁当を無言で取り出し食らいついた。
「あ、そういえば加藤って帰宅部だよな?俺、軽音部なんだけど、メンバー1人減っちゃってさ、まぁ、ヘッチャラなんだけどね。減っちゃっただけに。…一応、ギター出来る奴探しててさ…」
「でふぃるふぉ」加藤が咀嚼しながら返事をした。少し間を置いて飲み込んだのか「ギター、出来るよ」
何だろう、加藤が天使に見えてきた。
放課後に軽音部へ顔を出してくれると言う話にまで進展したので、午後からの授業はウキウキしながら受けていた。