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「TSする必要性」の必要性について

※このエッセイは、【TS】(トランスセクシャル=性転換、主に少年が少女に変化・変身するお話)作品に関しての内容がメインです。

 興味の無い方・苦手な方はお互いの為にもブラウザバックを推奨いたします。


▼1.序論


なろうで人気のあるTS物のストーリーラインとしては、以下のような物が主流じゃないでしょうか。

「ゲーム好きの少年が何の因果かゲームの美少女アバター姿で異世界転移!」

「女顔の主人公がVRMMOを始めたら機械の誤認識で女性キャラに!」

「異世界転移してみたら何故かエルフの幼女だった件!」

「「「この連載小説は未完結のまま約3ヶ月以上更新されていません!!!」」」


それで、このようなストーリーの小説には(特にランキング上位に顔を出して読者さんが増えれば)かなりの頻度でこのような感想がつく訳です。


「主人公、TSする意味(または必要性、必然性)無くない?」



でも、その手の感想を見る度に私はこうも思うのです。


「『TSする必要性』って、要るの?」



そんな訳で、ディープなTS界在住の方には今更過ぎて物足りないかとは思いますが、この命題についてちょっと考えてみました。




▼2.主張


まずは、「主人公、TSする意味・必要性・必然性無くない?」という感想の根底にあるものから探っていきましょうか。

上記の感想は1行だけで書き込まれるとすごく表面的で、何が言いたいのか、本音はどこなのか、作者さんにどうして欲しいのか、といった部分が見えてきづらいです。


その本音を考察してみたところ、大きく分けて以下の3パターンに分類できると思います。



▽2a.ストーリーの「深み」重視派


簡単に言うと、「ストーリー上不要なTS設定が作品の完成度を落としていて勿体無い」というベクトルの意見です。

良い作品とは設定や伏線がきちんとしていて無駄な説明が無く、最後まで読めばあらゆる描写や展開に意味がある。という考え方に近いのではと思います。


そのような理想や努力目標を持つ方々の目には、「TSしたけど主人公の外見が変わった以上の意味が無い」ように見える(・・・・・・)小説は、主人公のTSというストーリー上重要な要素になるはずの設定が仕事していないように見えて、いわゆるオッカムの剃刀で削ぎ落としたくなるということではないでしょうか。


また、TSジャンル特有の事情として、「TS物とはこうあるべき」という理想(初期は慣れない異性の体に戸惑ったり着替えやお風呂やその他様々なイベントをこなしたり段々体に心が引っ張られて考え方や好みが変わっていったり)があってそういう要素の薄い作品にこの手の感想がついたりもしやすい傾向にあります。


どちらにしても「TSさせるならTS要素を物語の前面にもっと押し出すべき」という方向性の主張でしょうか。



▽2b.読者層考慮派


TSはフェチ度の高い特殊性癖です。なので好き嫌いも激しいですし駄目な人は生理的に受け付けないです。

つまりTS物を書く時点で、TSが苦手な読者さんを最初から門前払いにしていることになります。


なので、それによって得られる読者数よりも失う読者数の方が多くて勿体無い、つまりはTSせずに普通に男主人公でチーレムやってれば良いじゃん、という考え方からの意見がこちらになると思います。

実際、「話は面白そうなのにTSが駄目で読めませんでした」という感想がついた作品も以前に目にした事があります。


こちらは纏めると▽2a.の真逆で、「この程度のTS要素なら無い方が良い」という方向性の主張でしょうか。



▽2c.何となく気に入らなくて難癖つけてるだけ


論外なので論評しません。




▼3.反証


反証と言うと硬い感じの言葉ですが、私も含め「ストーリーの完成度や読者層を犠牲にしてでも自分はTS物を書くんだ!」と強く決意している作者さんも多いと思いますのでそういった方々の応援も兼ねまして。


まず、これを書いている時、ジャンル再編直前の5月23日時点で、「TS」or「性転換」タグで累計ポイント順に出してみた結果がこちらになります。


「Only Sense Online」 約13万pt

「賢者の弟子を名乗る賢者」 約10万pt

「リビティウム皇国のブタクサ姫」 約8.9万pt

「野生のラスボスが現れた!」 約5.3万pt

「夜伽の国の月光姫」 約4.5万pt

「攻略なんぞされてたまるか!」 約4.3万pt

「ギルドのチートな受付嬢」 約4.2万pt

「チートだけど宿屋はじめました。」 約4.2万pt

「攻撃魔術の使えない魔術師」 約3.9万pt

「New World 」 約3.8万pt

「精霊使いなお嬢様達と神獣使いの少年。」 約3.8万pt

「吸血姫は薔薇色の夢をみる」 約3.6万pt

「濁った瞳のリリアンヌ」 約3.5万pt

「ティレアの悩み事~異世界邪神転生綺譚~」 約3.3万pt

「おんらいん こみゅにけーしょん」 約3.0万pt

「転生吸血鬼さんはお昼寝がしたい」 約3.0万pt

「異世界転性 ~竜の血脈~」 約2.9万pt

「転生王子と憂いの大国」 約2.7万pt

「ギルドのお助けマン?」 約2.6万pt

「幼女と執事が異世界で」 約2.6万pt


これを見渡してみたところ、TS要素が無くてもストーリーが成り立つ作品も少なくないですね。(それが悪いと言う訳ではありません)


では、仮にこれらの作品がTS無しだったら、例えば仮に男主人公でチーレム展開だとしたら(或いは女主人公で逆ハーレム?)、上記と同じまたはそれより上のポイントを狙えたかというとどうでしょう?


勿論仮定の話なのでここで明確な結論の出せるものではないですが、TS独自の要素や必然性が無くても「TS主人公が可愛い」といったキャラクターの魅力が人気に繋がる場合もありますし、それも作者さんの実力の一部なんじゃないかと思います。

(「わしかわいい」はもはや作品の代名詞になってますしね!)


なので、何をもって「良い作品」とするかは人それぞれだと思いますが、とりあえず判り易い基準としてブックマーク数や総合評価ポイントを指標にするなら、「TSする必要性の薄い小説だからと言ってその価値が下がる訳ではない」と主張したいと思います。




▼4.結論


まず、命題の「『TSする必要性』って必要?」に対する答えは、各々が自分の中で見出すべきものだと思いますのでここでは触れません。


筆者が気にしてるのは、▼2.で述べたように「主人公、TSする意味・必要性・必然性無くない?」の1行だけ書き捨てるような感想だと、何が言いたいのか、本音はどこなのか、作者さんにどうして欲しいのか、といった部分が見えてきづらいのが勿体無いということです。

自分はどういうスタンスで感想を書いているのか、どうすれば作品がもっと良くなると考えているのか、作者さんの考えも聞きたいのかどうか、その辺りの対話する姿勢が見えないと荒らしさんと紙一重になってしまいかねませんよ、ということです。


実際の所、作者さん側はもしかするとTSする必要性を求めておらずに最初から認識のズレがあったりとか、TS要素と一般受けのバランスを考えてギリギリの際どいところをあえて攻めている作品だったりとか、作者さん側は「これで十分」と思っていても読者さん側が「まだ足りない」と感じるような不幸な食い違いだったりとか、あとは作者さんが小説を書き慣れしておらず書きたいシチュエーションが思うように書けないだけだったりとか、色々な事情や言い分があり得ると思います。

ですので、紳士的な態度で対話してもし作者さんがアドバイスを求めているようなら優しく教えてあげて頂きたいと思います……。


個人的にはTS界隈の純愛から奇作・怪作まで飛び出すカオスな多様性を気に入ってまして、作者の皆さんが各々自分の好きな物を書く中で読者さんが取捨選択していくのが重要じゃないかと考えています。

つまりは、「TSする必要性」が無くても面白い作品は十分面白いですので、作者さんには自信持って書きたい物を書いて頂くのが良いですよね、と思います。



ただ、流行ってそうだからという理由でTSに安易に手を出すのはお勧めしません。ブレイクした時の爆発力はやはり生来の男主人公チーレムや女主人公恋愛物の方が上でしょうから。



※2016/5/27追記

 賛否両論あるだろうとは思っていましたが、予想を超えた反響を頂きまして嬉しい悲鳴になっております。

 実際、メインの小説の執筆が進まない状況なので申し訳ないですが以降感想欄の返信を停止させて頂きたいです。

 内容について当然賛否ある事は弁えておりますので、引き続き色んな視点からのご意見はありがたく拝読させて頂きます。


※2017/3/14追記

 当エッセイの開示設定をクローズドにいたしました。

 作品そのものは消していませんが、作者ページの作品一覧やランキングや検索からは見えなくなっております。


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