埋め合わせと待ち合わせ ーside カレンー
私はあの後あ主催者が参加者全員に参加費を返した後、私たち五人に対してお礼という形で追加で金貨十枚ずつを、くれた。
その後例の少年に謝らせようと思い話しかけようとすると、相手から先に話しかけれられる、目と目が合う。ああ最悪だ、呪われた体質が発動する。
私は昔から目が合ったヒトの最も深い闇が見える、そのせいで友達は昔から居ない、それを悲しんでいるように思われないように高圧的な態度をとってきた。
だから、この性格は無理やり作ったものだし、本当は人に依存とかしたい。私の闇はこんなところだ。
それで彼の闇は…その、何というか、想像を絶するものだった。異世界から来て突然狼に襲われて…死にかけて、それが今日の昼…さらにその後周りが命の取引をしている中中自分は何も出来ず…ってよくこんなことになっても平気で居られるわね。
なぜなのだろうか、私はそのときこの人を守ったあげたいと思ってしまった、少しでもその闇を取り除いてあげたいと。
そして、私はそのときこの体質と初めて正面から向かい合うことにした。
「港公園の噴水前に午前十時」
それだけ言って私は宿にかえる、でも同じ宿だったわよね?もし部屋まで来たらどうしよう、気まずい。そんな心配は杞憂に終わり次の日の朝を迎える
私は別に別にどうとも思ってないですよーなんていう雰囲気を出すためわざと少し遅れてから集合場所に行く、そこは港が見渡せる丘の上の小さな公園で時計がポツリとあるだけだった
「お、おはよう。」
彼に話しかけられる
「ええ、おはよう、今日一日女の子の顔を傷つけた償いをしてもらうからね?」
適当に口から出任せを言う、あながち嘘ではないし、まあ良いか。
「ところで、自己紹介がまだだったわね。私はカレン=ホール、カレンってよんで。」
「僕はトオル、トオル=タカサキ、よろしく。」
この後はなんて言えば良いのかしら…悩む…一瞬の間を置いて。
「それじゃあ、トオル、今日は一日私に仕えなさい」
「え?」
「え?じゃないわよ。はいでしょうが、はい。」
最悪だ、やらかした、私の悪い癖だわ
「それじゃあ、荷物持ち君行くわよ。」
こうなったらタイミングを見計らってどうにかするしかないわね。
とりあえずショッピング、服や小物屋さんに行く、これとこれどっちが良い?なんて聞いても正直に答えてくれる、結局全部反対の方を買ってやった。
どうしよう。このままじゃ……
「さーて荷物持ちさん、もうお昼よ?」
「おなか減ったの?」
「私はパスタが食べたいわ」
「ウィーッス」
気まずさのあまりまた高圧的になる。
私は適当に歩き回る、すると一軒のカフェにたどり着く
「このお店に入りましょ?」
「え、あ、おう。」
立ち止まったそのカフェの名は「薄暮れの茶屋」
「こんにちわー」
「いらっしゃいま…!あ!昨日の!えーと確か…」
「トオルです、トオル=タカサキ」
「ああ、そうだったわね、トオル君、それと横にいるのは彼女?」
「まさか〜違いますよ、今日の僕はただの荷物持ちです」
か、彼女?そんなわけ、ないし、ないし。あり得ない。
私は席に座ると赤くなった顔を隠すためメニューを見るように顔を俯ける、トオルが海鮮パスタを頼む、私は顔を隠す事に集中してたせいで、全然決まっていない、仕方なく同じのを頼む。
「ッチ」
理解不能な自分の感情に対して舌打ちをする
「今さらだけどカレン、たんこぶは大丈夫?」
「ええ、もうなお…いえ、とても重症よ。」
危ない危ない、誘うための口述だったのに。
「え、あ、えーと、本当にごめん、この後薬局にでも寄ろうか?」
「いえ、それほどでもないわ、それにトオルだって…大変でしょ?」
「お金なら昨日もらった分でしばらくは安泰だからね平気だよ?」
そうじゃないわよ。昨日の事よ!あなたの心のケアについてよ!
ーー「はい、お待たせー海鮮パスタ二つー」
「わぁー美味しそう!!」
つい素が出て子どもみたいにはしゃぐ、トオルがこっちを見ていることに気づくと、私はいつもの私に戻る
「何こっち見てんのよ?」
「なんでもなーい。」
何事も無かったかのように振る舞うためパスタを一口口に運ぶ
「「何これ旨っ」」
二人の声がシンクロする。そのせいで条件反射で目と目が合う。
ああ、あなたはこんな深い闇を抱えながら、よく笑えるわね…
ーー「ごちそーさまー」
「ここ、チーズケーキが美味しいんだ、食べる?」
「食べる!チーズケーキ大好き!」
また素が出てしまう
トオルはブルーベリーのジャム、わたしは蜂蜜入りのを注文する。
「この後はどこ行くの?カレン」
「トオルはいきたいところ無いの?この街に来たの最近でしょ?」
「え?なんで知ってるの?」
「いや、あれよ、足取りが田舎者みたいだからよ。」
危ない危ない、この体質が他人にバレたら一巻の終わりよ、歴代の数少ない友達を失った原因も全部これよ、しっかりしなさい。カレン=ホール
「はい、お待たせ、私お手製ブルーベリージャムのチーズケーキとメイプルチーズケーキだよ!」
「え、アンジェリカさんがこれ作ってるの?」
「おとうさんがこんなの作ってるところ想像できる?」
おとうさんか…わたしなお父さんは…
はあ、一体いつになったら素が自然に出せれるようになれるの?
もう、いっそのこと荒療治といきましょう。
「トオル、はい、あーん」
人生で一番恥ずかしい瞬間、十六年間生きていて、一番恥ずかしい。
速く食べなさいよ、速く!
「何だろう、普通の五倍くらい美味しいんだけど。」
食べ終わった後にそう言われた。ポーカーフェイスよポーカーフェイス、得意のポーカーフェイスの出番だわ。
「なら、よかったわ。」
ああ、もう、何笑ってるの?あなたはどれだけ強いの?私なんて断片的に見るだけでもつらく感じるのに……
私はしばらくトオルの目を見ることが出来なかった
「それで、カレン、次はどこ行くの?」
「だから、いったじゃない、あんたのいきたいところに行こうって。」
「いや、その、カレンの言ったとおりさ?僕さ?」
「ああ、そうだったわね、じゃあ行きたいところとか、やりたいことを言ってくれれば案内するわよ?なんなら荷物は一度宿に置いていってからでもいいわよ?」
ーー芝生のある公園?何でそうなるのよ
「変わったやつよねあんたって、せっかく私が案内してあげるって行ってるのに……」
「まあ、いいじゃないか、ゆっくりした休日ってのも」
私たちはいったん宿に戻って荷物を置く。
そこから十分ほど歩く
「ついたわ。」
「おおー!そこの木陰にでも行こうか」
「ちょっと本気で寝るの?」
「ああ、ごめん、これで解散する?」
「別に良いわ私は本でも読んでるわ。」
木陰で二人でによりかかる。
「それじゃあ…おやすみ。」
「ええ。」
私はあの時から初めてトオルの顔をやっと正面から見れるようになった。
本なんて本当に持ってきてるわけないわ。なんか私まで眠たく…なって…
「おやすみなさい……」
私の意識は途切れる…