覚醒
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5時近くになって母が帰ってきた。
私は涙を素早く拭き平然とした様子でベットに転がった。
「洋子いるの?」
母が言う。
「いるから何?」
そっけなく言う。
「洋子、塾に行ってみない?母さんあなたには母さんみたいな思いはしてほしく無いのよ。今からでも間に合うわよ!いざとなったら浪人してもいいんだから。」
「大学行くつもりは無いから!私は高校卒業したらとっとといい男と結婚するからね!」
自分でも酷い事を言ってると分かっている。私だってあの高校に来るまでは大学に行くつもりでいた。
何もかもあの学校のせい。その時私の携帯がなった。誰だろうと思い見ると優衣からの電話だった。
「もしもし…優衣だけど黒沢っているじゃん……うんそう不良の黒沢がゲーセンで麻薬買ってるのがサツにばれたらしいよ。」
私はただ呆然とするしかなかった。あの黒沢がヤクをやってた何て……。
恥ずかしい話だが私は黒沢に気があった。悪になろうとしてもなりきれていない所が可愛かったからだ。
「じゃあ黒沢どうなっちゃうの?」
「確実に私達とはバイバイだね。これから面倒なことになるよー。」
怒りが込み上げてきた。私の頭の中で
「学校のせいだ。」
という言葉が駆け巡り始めた。
許せない許せない許せない許せない許せない許せない
次の日優衣と一緒に学校に行くと校門の前に人集りが出来ている。行くと報道陣であった。私達の周りに報道陣が集まる。
「今回麻薬を買っていた青年について何か知っていることはありますか?」
優衣は怖くなったのか私を置いて颯爽と逃げてしまった。
「あのヤロー!」
「あの、何か例の青年について知っていることは?」
私はなぜかこんな場面になったら英雄は何て言うんだろうと考えていた。考えぬいた末こう言った。
「彼がああなってしまったのはこの学校のせいです。分かったらとっとと帰って下さい。」
そう言うと私は報道陣をかきわけ優衣を追った。
「ゴメンね私怖くなっちゃって……それで…。」
本当は殴ってやりたかった、でもなぜか出来ない、なぜだろう。
さっきのコメントの前の思考といい私は最近おかしい。
「いいよ別に。」
そう言うと私は教室に入った。
教室ではすでにホームルームが始まっていた。担任の遠藤は今にも倒れそうな顔で教壇に立っている。
生徒達は皆興奮ぎみで話しをしている。
「ぼくは最初からアイツはやってると睨んでたね。」
そんなでまかせを言っているのは、そこそこ頭のいい藤巻だ。
でもこんな状況でも問題集を解く佐藤には圧巻した。
遠藤がやっと重い口を開いた
「皆、もう知っていると思うが高2B組黒沢誠司はゲームセンターで密売人から麻薬を買っているところを警備員に見付かり110番され黒沢はもう2度とこの学校には来れなくなった。」この時ばかりは皆遠藤の話しを聞いている。不良組のボス的存在である井上を除いて。
井上はPSPにかじりついている。
「皆インタビューをされても断るように。」
私は憤りを感じた。
黒沢がヤクに手を出したのはこのクラスのせいだろ!
何で簡単なそんな事が分からないの?
心臓がバクバクいっているのが自分でも分かるドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク……
私は覚醒した。