女剣士フィル 3
「ちょっ、待てって! 」
エルは自分を置いて、先に行くクロとアリスに言い、後を追う。当然、二人はエルの声など聞こえてすらいなかった。
エルを置いて先に行った二人は、偶然公園のベンチに座っていた老夫婦に声を掛けていた
「すみません、少しいいですか?」
クロは優しくおじいさんに聞く
そして、クロに続いてアリスが言った
「あの、最近この公園で赤い髪の女の子見ませんでしたか?」
おじいさんは横に座っているおばあさんにアリスに聞かれた事を聞いていた
すると、おばあさんは何か思い出したかの様に言った。
「そういやぁ、確かに最近よく来ていたよ。あたしもよくお喋りしたから覚えてるよぉ……けど、三日くらいかな?前から何故か来なくなったんだよねぇ……」
話によると、おばあさんの方は毎朝この公園までウォーキングをしているそうだった。そして毎朝この公園で修業をしていたフィルと話をしたそうだ
「ありがとうございます!あと、あの、最後にその人を見た時何か変わった事とかありませんでしたか?」
続けてアリスが問う。
「どうしたの?そんなに慌てて、何かあったんかい?ん〜、最後に話をした時は確か誰か一人いたよ……けど、あたし目が悪いからねぇ、あまり顔とか覚えてないんだ…ごめんねぇ」
「いえいえ!ありがとうございました!十分良い情報でしたよ。では、失礼しますね」
アリスはお年寄りに対しての受け答えが上手かった。
そうして、情報を聞いたクロとアリスは振り返り、待たせたエルの場所に向かおうとした。
「で?何かわかったのか?」
振り返った途端、エルが目の前に現れたので、クロとアリスは驚いた
「エル!?居たの!?びっくりしたよ!」
「エル君!?驚かせないでくださいよ!」
「んだよ、二人揃って……で?何かわかったのか?」
「まぁ、どこにいるかまではわからなかったけど、最後に見た時にはフィルは誰かと一緒に居たって言ってたんだ」
エルはクロの情報を聞くと、右手を顎に当てて、考えるそぶりを見せた
「うぅ〜ん………」
「エル?ほんとに考えてる?」
「いやぁ、なんにも思いつかない」
エルがそう答えると、クロは流石に少し怒って
「もう行こ、アリス。エルはダメだよほんとにもう…」
エルを置いて二人で公園を先に出た
「ちょっ!何なんだよ!置いてくなよ!」
置いてかれたエルは、さみしげにクロ達の後を追う。
ーーーー三人は暫く学園街の街を歩く
「ねぇ、ボクね。一ついい案があるんだけど……」
突然だった。一つの案があるとクロが言う
「なんだよ!あるんだったら早く言えよ」
「……まぁ、聞いて?ボクもその案だけは使いたくなかったんだよね」
そういうとクロは話し出した
「この学園街にね、一人。物凄い占い師がいるんだよ。なんでも、その人が見た結果は現実に起こるんだ……その人結構な情報も持ってて、もしかしたらと思って…」
それはとてもいい、素晴らしい事だった。しかしクロはどこか、その占い師に会いたくないと、そんな顔をしていた。
「何かあるのか?その人」
「まぁ、行けばわかるよ…」
ーーーー
そして、クロに着いて行き、学園街の建物の路地裏、場所的にも、誰も近づかない様な場所だった。
そこに確かに怪しげな屋台があった。
「おおー!お客さんかネー?それも女の子二人!と……男一人」
「あのぉ、フィルさんの居場所!占ってくれませんか!?」
エルが、少し占い師に不満を持っていると、アリスが一足先に占い師に声を掛ける
「ちょっ!アリス待ってよ。この人の占って…」
「おーけーおーけ。占いますヨ〜。フィルさん……フムフム」
陽気に話す占い師はアリスのあたまを触る
「きゃっ!!」
「てめぇ!何してんだぁ!」
「オー、ソーリーソーリー。ワタシは頭を触るだけでその人の頭の中見る事できるんだヨ〜。だから今この娘の頭の中からフィルさんという人物を探してたんネー」
「んだよ、そういう事かよ。で?わかったのか?」
キレ気味のエルは占い師に強く言う
「オーわかったネー。その人今、鉄のたくさんある場所で座ってるネ。その人の周りにも同じ様な人がたくさん見える……。そして、君の身体、中々良い体系だったネ」
エルは今、とてつもなく苛ついていた。占い師の話し方に。そして、最後にアリスは顔を赤らめ、叫んだ
「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!な、何見てるのこ、この人」
「てめぇ!アリスに何しやがった!答え次第でぶん殴るぞ」
「オー、違うネ。ぐ、偶然頭の中見た時に透視しちゃったんだネ」
「はぁ…だからボクは女の子連れてここ来たくなかったんだよね」
「うぅ……もう嫌だ……早く行こ!」
「またのご来店お待ちしてるネー」
アリスは自分の胸を隠す様に学園街の街を歩く。
「だから待ってって言ったんだよ…占いはエルにしてもらおうと思ってたんだから」
アリスはクロに、もっと早く言って欲しかったなどと言うが、既に遅くもある。
「で、話を纏めようか。フィルは鉄のたくさん見える場所に居るんだよな?しかも同じ様な人がたくさん居るとか」
エルは二人に問う
「そう言ってたよね?でも学園街の建物って殆ど鉄だよ?」
「………あの、でももしそうだったら…建物とかビルって言うんじゃないかな?だから鉄のって事はそのまま鉄なんじゃ…」
アリスはまだ少し恥ずかしさが残っているのか、声が小さかった
「つまり?」
アリスにエルが聞く
「工場なんじゃないかな?それももう使われてない廃工場!」
アリスは答えずに、クロが推測を言った。
「おー、流石。頭いいなクロ」
「えへへ、そうかな。よし、そうと分かったら行こう!学園街に廃工場と言えば一つしかないんだよ!」