次は
結局メールはどうしても必要なときに限れといわれた。いやな、調子に乗って、口にできる内容やら、身振りと言葉でどうにかなる文もメールにしてたんだよ。まあ、厄介な会話も楽しいからいいんだが。
「んで、これからどうすんだ?」
青い草から薬草を選りつつ、ヤマダが尋ねてきた。ああ、シャンクのポーションの原料ってこれなんだったか。ヤマダはファナおば……お姉さんからの依頼らしいが。
俺も摘んでおくことにする。
「まだ日もある。レッドグラスランドはわかるか?」
俺のAIにインプットされているこのあたり、まあ始まりの大地全体だが、の地図によると、レッドグラスランドならここよりも上のレベル、今の俺に見合うモンスターが出るということだった。
とはいえレベルと、実際にどの程度戦えるかとが同じと言えるほどの経験は俺にはない。モンスターの活性化する夜までに小手調べといくつもりだ。
「いや、しらねぇ。……じゃなくてそこ行くのか。ここより強いのか?」
「ああ。あんたは?」
ヤマダはよっこいせと立ち上がり伸びをする。
「俺か……そうだな、とりあえず草はとったし、いったん町に戻る。今はさすがに無理そうだからな。ってわけで、いろいろまあ……ありがとさん。お互い死なない程度にがんばろうや」
そういって彼はパーティから抜け、軽く手を振ってダーンタウンの方向へ、とっとっとかけだした。
「またな!」
とりあえず大声をだした。いや、さすがに前回は非常識だったかな、と。興奮してたとはいえ、一応弟子を完全に野原に置き去りだった。
そういや今の立場ってどうなんだろう……?ま、対等でいっか。俺もいろいろと教わったからな。
俺の声に振り返ったヤマダは、少し声をためて、俺よりも大声で言った。
「次は追い抜いてっからな!」
は?
きょとんとする俺にかまわずヤマダは今度こそ振り返らずにかけていった。……あ、ホーンラビットにどつかれた。
まったく、追い抜くって強さじゃないのだろうか?あれくらいよけろよ。レベル差的にダメージはほとんどないだろうが。
次に会うとき、ヤマダの方が強くなっている……うーん、まあ、血の通った人間だからな。どうにかするんだろう……か?
まあ、わからないことだ。とりあえず目指すはレッドグラスランド!
赤い薬草はそこで採れるらしい。青は十分にあるし、緑は帰りにでも採ればいい。いや、行きがけにも見たんだけどな、戦闘のほうが楽しくて。
そして……まあ、物は試し、シャンクに特製ポーションとやらを作ってもらおうじゃないか。
……レッドグラスランドって、川渡った先なんだった……。
『うにーくあくせす500ごえ』
( - ) =・=・ ヒューン
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