『めぇる』
プロローグの1にアルファポリス様掲載用に作成したバナーを載せてみました。とても拙いものですがよければご覧下さいな。
「おぅい、聞いてるか?」
考え込んだ俺に、ヤマダが声をかける。相談でもできたらいいのだが、あいにく『ブルーリバーの中に知り合いが入るのをどうやってとめたらいいか』などという台詞はない。
ピロロン
「うわっと」
突然に電子音が響いた。なんだ?俺は何かを操作した覚えはないぞ?
「どうした!?」
【メールを受信しました】
「そうか。いや、なんでもない」
メール、受信するとこうなるのか。今までやったことがなかったからな。えっと、開く、と。
送信者はシャンクだった。手が空いたので機能確認もかねて送ったとのこと。ついては自分もどうなるか知りたいので早めに返信を寄越すようにとあった。
ううむ……これ、戦闘中にきたら厄介だ。着信音の設定は、と……これか。んで返信は、今ブルーリバーにいることとポーションが旨い、でいいか。今朝言いそびれたからな。
……うん?
「おい、どうしたんだ?ジャック」
とりあえずシャンクへのメールを送信。次いでもう一度新規作成画面。
「っと………ってぇえ!」
あて先はヤマダ、内容は『メールが来た』の一文。どうやら成功したらしい。
うおっしゃあぁぁあ!
つまりだ。交友値をあげずともメールという手段を介してなら自由時会話ができるということ。うおお!何でもっと早くに気づかなかったんだ、これ。
「いや、たしかにフレンドならできんだろうが……」
ぶつぶつとつぶやきながら中空をじっと見つめるヤマダ。
反応を待つ。もしエラーがあるなら俺のこの希望はおじゃんだ。
「なあ」
「なんだ?」
「カタカナ、使え」
うん?カタカナ?なんぞ、それは。とりあえずはきちんと受信されたらしいが。
ユウヒとルビィへ『ブルーリバーの中に入るならLV.8のブルームッシェルに気をつけろ』という文面のメールを送信しつつそれが何かを尋ねるメールを作成。思考読み取り式の操作だと喋るのとなんら変わりない速度でできるな、メール。
「あ?ってこらおい!ウィンドウにもあるだろ!」
……?『ウィンドウにそれらについての知識はかけらもないぞ』
「知識は漢字にしろ……ってほら、スキルだのアイテムだのあるだろ」
『もちろんじゃないか』
とまあこのようなやり取りがメールを介して数回続き、俺と彼との認識するものに違いがあることに気がついた。
まず、俺のメールは彼にすべてひらがなで届くらしい。彼だけでなくユウヒとルビィについてもそうだということが彼女らからの返信でわかった。
すべてひらがなの文章は読みにくく、それを補うために漢字やカタカナがあるらしいが、どうやら俺はそれらを認識できないようだった。もちろんひらがなというのも、使っているらしいというだけでよくわからない。文を綴るとそう認識されるらしい。
実験的に送られたヤマダからのメールには漢字もカタカナも使われているそうだが、よくわからない。
「文字が全部だめってか?ならどうやって読んでんだよ?」
どうったって……そうだな、『喋ってるのとほとんど変わらない』んだよな。
とりあえずこの俺のメールが読みにくい問題は解決のしようがないらしかった。シャンクのほうは問題ないそうだが。
ジャックのメール、ルビィのウィンドウより
『ぶるぅりばぁ の なか に はいる なら LV.8 の ぶるぅむっしぇる に き を つけろ』