あとがき
この物語を読んで、「おや?」…と、思われたかもしれません。それは、公式戦の描写が作中に無いからです。野球をテーマにするからには、公式戦をメインイベントとして書くべきだろう…と、おっしゃられるかもしれませんが、意図的に描かないようにしました。何故かと言うと、高校野球での活動の大半は、「練習」に費やされるところにあるからです。
公式戦は、彼らにとって、最も華やかな舞台なのですが、あくまで日々培ってきた練習の集大成としてのイベントであり、一瞬で過ぎ去るものです。無論、それを目標にして、努力する事は大事なことだと思いますが、それだけに重点を置いてしまっては、「ただ試合に勝てば良い…」と、終始されてしまい、「野球と言うスポーツをする意義、その大切さ」が、薄くなってしまうと思われます。すなわち、最も大切なことは、公式戦に勝つことではなく、苦楽を分かち合いながら仲間と共に過ごした日々を人生の宝物として大切にし、その後の人生において、大いに活かしていくことなのではないでしょうか。そのような思いがあったため、公式戦をあえて描写せず、彼らの日常茶飯事的な生活ぶりに視点を置いて、それをドラマチックに創作していった次第です。
この物語に登場する高校球児たちは、物語のタイトル…「Early Days」から見て分かる通り、未熟者たちです。そんな彼らが、喜怒哀楽を共有し、気が折れそうになったら声を掛けて励まし合い、互いの意見をぶつけ合って理解を深めながら、仲間と共に成長し、共に生きていく姿を、作中でうまく描写できていれば、幸いと思う所存です。
最後になりましたが、こうして連載を続けることができたのも皆様の温かいご声援があったからだと感じております。
この場を借りしまして、慎んでお礼を申し上げます。
ご愛読をして頂き、ありがとうございました。




