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見えない翼 短編集

夏の思い出

作者: 如月五月

楽しんでいただけたら幸いです♪

本編の方もちょこちょこと更新しておりますので、よかったら見てください♪

「あるじー!」


――――ミーンミーン――――


「……なんだよあっつくるしい……」


――――ジジジジジ――――


「夏ですよ夏!遊ばずになにするんですか!」


――――ツクツクホーシ――――


「なにもしない、それ以外の選択肢があるかってんだ」



けたたましく鳴り響く蝉の声と共にギャーギャーと夏を満喫したがる奴が一匹。

ベットの上に横になっている俺のお腹の上で騒ぎ立てている。


……忌々しいものだが、俺の使い魔でちっこい狼のウォルフだ。

こいつは俺が命令すると美女に変身して、俺を守ってくれると言う可愛いのか何とも言えないやつなのだ。

感謝はしてる、だけど――――――


「……あつっくるしいわ!!」


「ふぎゃ!?」


勢いよく立ちあがると反動でウォルフは俺のお腹から勢いよく滑り落ち、そのままベットへダイブした。



「な、なにするんですかー!!」


「お前が俺の上でギャーギャーうるさいのが悪い!

ただでさえ外のやかましいセミたちのおかげでいらいらしてるんだ俺は!!」


「そんなのどうでもいいです!とりあえず海です海!海行きたいです!!」



……こいつは俺の話を聞いていたのか?

駄々をこねるウォルフ、若干うるうるな目つきになって誘惑してくるあたりがむかつく。

でもかわいいから何ともいい返せない。それがさらに俺の心をむかつかせる。


「行きましょうよ海!絶対楽しいですよ海!!」


「俺は暑いのは――――」


「海に入れば暑くないです!むしろ寒いです!さぁ行きましょう!さぁさぁ!!」



ここまで乗り気なウォルフは見たことがない。

目をキラキラと輝かせ、しっぽを大きく振って俺のことを見つめている。

なんたって海なんだ、暑いってのに――――

ふと目線を変えてウォルフが普段寝ているソファの近くに目を向けてみると、一つの雑誌がおっこちていた。


『特集!夏の水着を着こなして、海を満喫しよう!!』



………これか、ここまであいつがこだわる理由は。

そこまで着てみたいのか、水着。


―――――レーヴェの水着か。

―――――見てみたいかも―――――



「……ったく、しゃーねーな」


「えっ!?」


「しょうがなく行ってやる、明後日でいいか?」


「はい!!」



……先にいっとくぞ?俺は『仕方なく』行くんだからな!!




____________________________________


「「「うっみだー!!!!」」」



俺たちは今、沖縄県の大海原を目の前にし歓喜あまっている。

どこを見回しても青、青、青。

見える景色すべてが真っ青なのだ。



「全く、吹雪は本当に元気なんだから…」


「まぁまぁ、アンジェルさんもレーヴェの姿見てにやけてるくせに」


「……黙ってなさい、二度と口開かせないわよ?」



残念だな、今のあなたの緩みきった顔で言われても説得力の欠片もありませんよ?

……まぁ俺も実際にやけてるんだけども。


レーヴェをはじめ、アンジェルさんとトイちゃんはビキニではしゃぎまくっているわけで。

レーヴェは白を基調としたシンプルな、アンジェルさんはきっちりしまった体を強調させるような黒いビキニ、トイちゃんは子供っぽさが残るピンクのフリルのついたビキニ。

みなそれぞれに似合っていて、可愛さがうかがえる。



「アンジェル様、あまり日光に照らされては―――」


「わかってるわシャマ、でも少しくらい楽しませてもいいかしら?」


「……アンジェル様のお体に触らないのであれば」


「大丈夫よ、ありがとう」



アンジェルさんの隣でいつもの執事服に身を包んでいるのは側近のシャル・マドムさん。髪の毛の中に猫耳が生えているところをみると、彼もまた使い魔の一人なんだろう。


「海だぜ猛!これすげぇよ!!」


こうもテンションが上がっているのはフラム。普段はライオンなのに、今日は人間の姿で登場している。

銀髪と黄色い眼が本当によく目立っている。


「暑いなぁ……」


俺と同じような感想を抱いているのはいつも通りにだるそうなシャルー・ランクスさん。

彼もまた猫の一種だが、大山猫なだけあって本当にどっしりとした面構えだ。

でも、心の底から面倒だったらここにいないだろうと言うところをみると、やっぱりみんなと騒ぐのは好きなんだろう。


「おねーさまー!!海です海!超青いです海!!」


レーヴェに負けないほどのキラキラ度合いでアンジェルさんを見つめるのはトイちゃん。

この中で最年少なだけあってめっちゃはしゃぎまくっている。そしてそれが一番似合っているのもまた、彼女である。



「……これも、ありか」



そんなみんながいる中で俺は一人、パラソルの中でみんなを見つめていた。

なんだかんだで連れてこられた海、俺は暑くなきゃそれでいいからな。

ここにいて、みんなが楽しんでいるのを見ていればそれで――――――



「あるじ!」


「んあ!?」


突然に話しかけられた俺は、凄い変な声をあげてしまった。

声の主はもちろん、使い魔のレーヴェである。

顔を覗き込んできたからさらに驚いたと言うのもあるけど。



「遊びましょうよ?」


「暑いし――――」


「大丈夫ですよ、遊んでいたらわかんないですって♪」



にっこりほほ笑むレーヴェ、ビーチボールを持って指をさす。

その先には楽しそうに俺のことを待っているみんなの姿があった。


「みんな主と遊びがってますよ!さぁ!!」


手をさしのばして俺のことを見つめる。



「……そうだな、行くか」






せっかくだし、夏の思い出くらい、な。

















※おまけ


「……なんて強いんだこいつ」


「俺の力をなめたら困るな」


「私もいますけどね♪」



「あれよね、吹雪と猛のコンビは最強ね」


「私とおねーさまでも勝てないなんて……」





ちなみに結果は、今の会話から想像でもしといてくれ。





「「さぁ、もうワンセット!」」


『もう勘弁!!』






.

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