56話 ファーストドロップ
-----(大島視点)-----
ポヨンさん達が洞窟の奥へと食事に行った。
俺たちは、行きにつけた印を探しながら地下2階層の入口へと戻る。
途中で一体の高身長ゴブリンと出会った。
「行きにはいなかったのに!」
「俺達が通った後に沸いたか、それとも他の脇道から出てきたか……」
話しながら清みんをボックス内へと寄せる。3佐も寄ってくる。
俺らに気がついたら高身長ゴブリンが、獲物を見つけたとばかりにニヤリとした直後、清みんの足元のスライムに気がつき震え上がったのがわかった。
「清みん、あいつをテイムしてみるか?」
「ええ、嫌だよ。だってあんなに痩せてたら仏間引けないじゃん。俺の次のテイムはマンモスって決めてるから」
この世界に居ればいいな、マンモス……。
「どうします? パミュンさんにやってもらいますか?」
「そうだな」
3佐の問いに俺が頷いたのを見た清みんが足元のパミュン氏にゆったりと話しかけた。
「パミュンちゃん、不味そうだけど食べられる?」
パミュン氏は細く伸び上がり、ゆらゆらと揺れた。
どっちだ、どっちなんだ? 食うのか、食わんのか?
「じゃあお願いね」
だからどっちだああああ。
清みんの足元から勢いよく飛び出したパミュン氏がゴブリンの頭を弾いた。頭を、弾いた。
頭の無くなったゴブリンの身体がドスンと倒れた。
そのゴブリンの胸のあたりに乗ったパミュン氏だったが、やはりゴブリン肉は好きではないのか、食べようとしない。
ただ、その胸の上でゆらゆらしている。
「どうしたの?」
清みんが俺のボックスから出てふらふらとパミュン氏に近寄る。慌てて追いかけた。
パミュン氏が乗っているそれは、頭(顔)が無いせいか人間の死体に見える。が、首から流れているのが赤くないのが救いだ。
「パミュンさん、食べませんね。ゴブリン肉は嫌いなんでしょうか」
3佐も俺の後ろからそれを見ていた。
パミュン氏は縦に伸びてユラユラユラユラ。倒した事を褒めてほしいのか?
清みんに褒めるよう言おうとしたが、パミュン氏が乗っている部分が薄く光っているのに気がついた。
「あ、光ってるとこ、もしかしてスキル石かなぁ。たまに出るって言ってたよね」
まさかのドロップだと?
「迷宮で最初に倒した魔物からドロップ出るってビギナーズラックかなぁ」
問題は、誰が、ほじくるか。
俺も清みんも突っ立ったまま動かなかった。3佐がしゃがんで肩にかけていたバッグから出したナイフでほじり始めた。
すみません。次は頑張りますので。
「うぅ、俺、やっぱりダンジョンとか無理っぽい。倒したら光になって消えてドロップが落ちてる系のダンジョンならよかったのに。自分でほじくるとか無理。あ、ゴブリンって耳を切り取ったりするよね? この世界もそうかな」
3佐が向こうに転がっているゴブリンの頭を嫌そうに見つめた。
「いや、耳はいらないんじゃないか? 別に依頼で迷宮に入ってるわけじゃないからな」
「そっかー」
3佐がほっと息をついた。
ゴブリンの黄色い体液まみれの石を布で拭いてこちらに差し出してきた。
そうか、パミュン氏が倒した魔物から出たドロップ品だから、清みんの物か。
だが清みんはふるふると首を横に振った。
「いらないですー。今のところこれ以上スキル覚えるつもりはないし、その、ちょっとベタベタしてるし……、あ、大島氏、いる?」
「いや、そもそも今の時点では何のスキルかは不明なんだよな。確か数日置いて解ると聞いた」
3佐にとりあえず持っていてもらう事になった。
その後は魔物に出会う事なく入口まで戻れた。




