52話 迷宮(の、中)
-----(清見視点)-----
俺たちは迷宮の中、地下1階層の通路を進んでいる。
3体のコアラパンダを連れた隊員達の後ろを歩いていたが、通路はどんどんと狭くなっていった。
案の定、俺たち一行は進めなくなった。
「サブローが詰まった」
「シロー、押せるか?」
「待った、押さない方がいい。先はもっと狭くなってたぞ。押したら完全に通路に封をする事になる」
それはまずい。
「シローさん、サブローさんを引っ張り出せる?」
俺の命令では動かず、主である自衛官の指示待ち、ゴーサインで動き出した。
ふご
ふんごっ
ふんがー
どれがだれの叫びかはわからなかったけど、サブかシロのどっちかだな。
ちなみにゴロは俺らの最後尾で鼻をほじっていた。えっ? パンダって鼻ほじるんだ。コアラかもしれないけど。
「どうしますか。ここで引き返しますか?」
「そうですね、サブロー達がいないとなると武器も無いし自分は攻撃力も低いですから心許ないですね」
「迷宮の位置の確認が第一目的でもありましたから、安全を考慮してここで戻りましょうか」
まだ、魔物は一匹も出てきていない。これがゲームなら序盤の街でログアウトするようなものだ。
せめて、一匹くらいと遭遇してから帰還したいかなぁ。
大島氏を見る。大島氏も俺を見た。大島氏が小さく頷いた。えっえっ、何の合図???
「コアラパンダ達はここに待機させて、もう少しだけ進みませんか? 俺のボックスもありますし清みんのスライムもいる。清みんスライムは何体連れてきてる?」
「あ、全員居るよ? 地上はイチロー達がいるからうちはいいかなぁと思って全員連れてきた」
「スライム4体。なら十分ですね。危険感じたら即撤退で、どうでしょう」
俺たちは狭い通路を抜けて先へと進む。
最初は一本道だった通路も脇穴が現れ始めた。
「どちらかの穴は行き止まりなんですよね、どうします? どちらに行きますか?」
「セオリーどおり、左へ左へ進みましょう。行き止まったら戻り右へ」
そんなセオリーがあるのか。
知らなかった。ゲームだと全ての道を網羅したい派だ。行かなかった通路の行き止まりに重要なアイテムがあったりしたら、と思うともう、ねっ?
「螺旋階段まで辿り着くのを目標しましょう。それ以前にポヨンさんでも持て余すような強い敵が出たらそこで引き返す」
「そうですね」
「ええ」
ポヨンさんが持て余す敵……。今までは出会ったことがない。
出会いたくないけど、ここは迷宮だからな。
「ポヨンさん、無茶したらダメだからな。コイツやばいと思ったら教えて。みんなで即撤退するから」
ぽよん、ぽよんと揺れていた。何か楽しそう見える。
洞窟のような通路を進み続けた。左へ左へ。突き当たり、戻って右の穴、そしてまた左へと。
穴が3つでも4つでもとりあえず左の穴へ。
螺旋階段へと到着した。
「出ませんでしたね」
「ああ、魔物は出なかったな」
「とりあえず、迷宮の地下一階層の地図、階段まではわかりました」
隊員はメモをとりながら、かつ、穴が行き止まりの時は戻った時に壁に印もつけていた。
でも、俺、この迷路をひとりで戻れと言われたら一生抜け出せない気がする。とりあえず大島氏にくっついておこう。
「ほら、清みん。生きた迷宮の螺旋階段見たいって言ってただろ?」




