27話 新たな避難所へ救助に
-----(大島視点)-----
今朝仏間に現れた乃木、杉田というふたりの男性は、俺たちとは違う場所の避難所で生活をしていたそうだ。
彼らの話ぶりからかなり追い詰められたのを感じたのか、ニッポンからの救助を送る事になり、急ピッチで準備が進められた。
昼前には出発する事になった。
メンバーは、自衛隊40名。大きな荷物を担いだ30名と彼らを囲むように前衛スキル持ちが9名、先頭には3佐と、そして俺と清みんだ。
前衛スキル持ちと言っても例の『物理攻撃』だ。
しかし物理攻撃(微)から(中)まで上げた隊員が3名居る。残りは全員(弱)だ。
自衛官のスキル持ちで(微)はもういない。凄いな。
スキルは微→弱→中へとランクアップをしている。
まだ(中)の上がいないので、その上が何なのかは不明だ。
恐らく(強)。そして強の上はあるのか。
俺は完全防御なので知らん。『完全防御(箱型)』である。箱型のレベルがイマイチ不明だ。しかも経験値が全然上がらん。小数点以下が多すぎる。
清みんは『空間スキル』と『回復スキル』、そしてスライムを4体も持っている。そのスライムが強い。
俺たちの街『ニッポン』で1番強いのは絶対、清みん(のスライム)だよな。
実は自衛官の中にスライム持ちがふたり居る。
スライムは『空間スキル』持ちにしかテイム出来ないと思われていたが違った。
彼らは空間スキル持ちではない。使用方法が謎であった『スキル:気力』を持っていた者が、何とスライムをテイム出来たのだ。
『スキル:気力』持ちは、この世界に転移した時のスキル取得でたまたまゲットした自衛官がひとり、それから踏破済みのゴミ箱から出たスキル石からスキルを貰った者がひとり。(もうひとり居た気もするが、接触がないとどいつかわからないな)
『スキル:気力』は用途が不明なスキルのため、当初は放置されていたスキルだ。
ニッポンに捨てられていたスキル石で全員が物理攻撃を身につけたため、自衛隊では『物理攻撃』のスキルアップに力を入れていたのだそうだ。
しかし俺の防御ボックスでスライムのテイムを自衛官達が試した時に、その中でふたりだけテイムに成功した。
その2人が『物理攻撃』以外に持っていたのが『気力』だったのだ。
ダブルスキラー(スキルをふたつ所持)がテイム出来るのかもしれないと考えられて、『体力』持ちにも試したが成功しなかった。
気力とは。
ゲームで言う所のMPとは違うよなぁ。MPは魔力だ。うーん、謎だ。
まぁこの世界を、俺らの世界の物語やゲーム当てはめても仕方ないのかもしれない。
「ふんっ!ってするのが大事なんじゃないか?」
清みんが言ってたな。どうだろう……本質をついているような、全然違うような……。
そういうわけで、今回の救助ツアーは清みんの他にスライム持ちがふたり参加している。彼らのスライムもサイズは小さいがちゃんと形になっている。色は……若干緑がかったグレーか? 風呂ママさんとこのスライムより燻んだ薄緑だ。
列の先頭に乃木さんと杉田さん、そしてスライム持ちの隊員だ。
前衛(物理攻撃)の隊員達は武器を持っている。
武器とはゴミとして廃棄されていた物を清みんが修理(回復)させた物だ。長剣や短剣、トンファーや、大きめのハンマーのような物もある。デスエで入手したのもあるそうだ。
清みんは花笠を被り、そこにはポヨンさんが鎮座している。
ママさんらや自衛隊に見送られて俺たちはそこを出発した。
「徒歩かぁ……」
隣から清みんの小さなボヤキが聞こえた。




