17話 冒険者登録
-----(大島視点)-----
清みんの兄貴が本部へと話をしに行った、と思ったら絹田3佐を連れて戻ってきた。
ママさんらが入れ替わり立ち替わりお互いにフォローを入れながら説明をした。
「なるほど。わかりました。早急に議題にあげさせていただきます」
「でもおトイレとお風呂が一個ずつだけだとかなりに予約制になるそうねぇ」
「そうねぇ。でも無いよりはいいわよ。子供区域に置きたいわねぇ」
「その辺も考慮させていただきます」
そう言って絹田3佐は本部へ戻るようだ。
「では行きましょう」
「ふぁ?」
何故か俺も連れて行かれた。
すぐご近所の本部へ行くとデスエからの外交官(自衛隊がそう呼んでいた)もそこに居た。
俺も聞かないといけない話なんだろうか? 面倒くさそうで嫌だなぁ。
話を聞いてみると、近々、デスエから行商人が来るそうだ。定期的にデスエからニッポンへと来てくれるそうだ。
「ニッポン街の生活が落ち着いてからになりますが、こちらからもデスエへ出稼ぎに行く話がまとまりました」
出稼ぎ? え、それって。
「それは自衛隊からですか?」
「はい。まずは隊員からデスエへ出向させます。向こうの様子がわかり落ち着いたら民間人からもデスエ都市へ働きに行く者を募る予定です」
「それは、街での職ですか? 店員や事務……あるのかな? そう言った……」
「いえ、そうですね。ファンタジー小説風に言うとすれば、冒険者を、募ります」
それはアレか?
「…………迷宮へ? それも生きている迷宮、魔物が居る迷宮でしょうか」
「そうですね。デスエ都市の冒険者……探索者なのかな、彼らと同じように、です。もちろん、ある程度スキルレベルが上がった者が対象です」
そうだよな……いきなり魔物退治なんて死にに送り出すようなものだ。
「大島さんはすでに対象の資格を有しています。何しろ完全防御と言うスキルをお持ちだ」
嫌な予感はしていたよ。
「きょ……強制、でしょう、か」
「いえ。自発的な参加を是非! 是非にお願い申し上げます!!!」
その部屋に居た自衛官全員が一斉に頭を下げた。逃げ場がねぇぇぇぇ。
「……はい。(涙目)」頑張れ、俺。俺の返事に自衛官達が沸いた。
「まずはデスエ都市で冒険者の登録をお願いします」
はい…………。
そんな所も異世界ファンタジーのままだな。あ、清みん、誘ってみよう。冒険者登録だけなら喜んでやりそうだな。ふふふふ、巻き込んでやる。