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12話 迷宮を降りる

 -----(大島視点)-----


 遺跡を出て地上の森を通り3日。おそらくはニッポンの真上である場所で一晩をあかした。



 翌朝、朝食を摂りながら今日の予定を擦り合わせる。

 この迷宮が本当に『ニッポン』なのか、踏破済みで魔物の出現はないのか。

 確証はない。なので、迷宮に降りるのは自衛官ふたりと俺だ。清みんと看護師長にはここに残って貰う。


 空間内に魔物は侵入してこない事と護衛(スライム)がいるので、清みん達にはここで待っていてもらうのが1番安心だ。




 3人で迷宮を進む。迷宮はクイズの本の迷路地図のように、出口まで進める道は一本しかない。もちろんその一本道には行き止まりの脇道が無数に付いている。


 自衛官が通った道をノートに記していく。行き止まりになったら戻る。


 そうして出口=螺旋階段へと辿り着けた。


 そう。螺旋階段がキチンと螺旋階段になっている、それは踏破された証しだ。

 もしも未踏破なら螺旋階段は次の階層へ進むだけの階段なのだ。



 階段を降りて行くと、7階層ほど降ったところで、自衛隊の人達と出会った。


 下から、『ニッポン』から上がって来た自衛隊だ。



「地上に近づきすぎると地上の魔物を引き寄せると言われてましたので、このあたりで待機しておりました」



 なるほど、そうなのか。

 と言う事は上からの荷物の持ち運びも危険という事か。今はポヨンさんらが居るから大丈夫な気もする。



「遺跡避難所を出た一団はまだ到着していないんですよね」


「そうです。5日ほどかかると言っておりましたから」



 という事は、まだ『ニッポン』の避難所は全く手を付けていない状態か。

 俺らはそのまま螺旋階段を降りて『ニッポン』へと到着した。



「地上からですとここがちょうど地下10階層にあたります。ここにニッポンの街を造る予定です」


「デ・スェ・ヒンイーンと繋がっている階層もそこですか?」



 俺が地下都市の名前を口にした時に、絹田3佐がブフっと吹き出した。清みんの『発音難しい』問題を聞いたな。

 いや、俺も自分の発音が合っているのかは知らん。俺にはそう聞こえるし、この発音になる。



「難しいですよね。あそこの都市名。自分もデセェ、ヒーンインとしか言えません。大島君は綺麗な発音ですね」


「まぁ言葉なんてそんなもんだと思いますよ」



 苦笑いで返した。

 日本語だって耳で聴いた言葉が『づ』なのか『ず』なのか『ヅュ』なのか『ジュ』なのか『ヂュ』なのか、人によって発音なんてそれぞれだよな。


 地域によっても違うしな。沖縄とか東北なんて英語どころじゃない難しさだったな。



「それで、デスエと繋がっているのが10階層なんですか?」


「はい。そうです」


「螺旋階段10階の登り降りかぁ。清みんが嫌がりそうだなぁ」


「はい。清見さんにはスライムのチームを率いて地上の整備をお願いしたいそうです。一応我々もこれから上へ上がり、お願いに伺います」



 地上の建物内は安全でも周りの森はまだ危険だ。荷物を運び出しに自衛官だけで上に行くのはお勧めしない。

 面倒でも俺らと一緒に一度10階層に降りて貰い、本部と合流してからにしてもらった。

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