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第5話 魔法使いターニャ

「さて、次はどうするんですの?」

「うーん。この村で他にイベントはないかなぁ」

「その前に、盗賊たちを倒したお金で、武器を買いたいですわ」

そうだった。ジャンヌの今の武器はくだものナイフだった。

そこでまた、武器屋に入る。

「いらっしゃい。どんな用だね」

「<買う>ですわ」

「どれにするんだい?」

「これにしますわ」

ジャンヌは、鋼の剣を手に取る。

「毎度あり。ここで装備していくかね?」

「<はい>ですわ」


だいぶ慣れてきたな。


僕は、鉄の槍を買う。

「リッカは?」

「オレはこのダガー2本で大丈夫だ」


店を出ると、目の前に、あたまに星のついた小さな女の子がいた。

少女は言う。

「お主らか。村の宝を取り戻したというのは」

あ、この話し方、それにあの耳。

もしかして。


挿絵(By みてみん)


「えっと、君、何歳かな?」

「女性に年齢を尋ねるとは失礼なヤツじゃな。まぁいい。わしはだいたい840歳じゃ」

「えぇ!?」

ジャンヌは驚く。

僕は説明する。

「エルフは、寿命が長いんだよ」


「それでじゃな、おぬしらを見込んで頼みがある。西にあるランゲの塔に上がるのを手伝ってもらいたい。わしは古代魔法を使えるのじゃが、1人ではちょっと問題があってのう」

「問題、ですの?」

するとリッカが言う。

「いいんじゃないか。どっちみち、引き受けないとストーリー進みそうにないしな」

「助かる。わしの名前ターニャじゃ」

「よろしく、ターニャ」


こうして、僕たちはランゲの塔に向かった。


ランゲの塔に着くと、モンスターが現れてきた。

「やぁ!」

「はぁ!」

ジャンヌとリッカが、次々とモンスターを倒していく。

「ターニャ! そっちのモンスターは任せたぜ!」

1体のモンスターがターニャに向かう。

すると、ターニャは魔法の詠唱を始めた。


「<闇深く沈む業火のごとく張り裂ける雷の雲よりたなびく光の獣よ、その輝きをもって滝のような激流とともに我らの望みのごとくはるばる来たりてやうやう白くなりゆくやまぎは・・・>」


モンスターがターニャに襲いかかる。

「ちょっと!」

ギリギリのところで、リッカが倒す。


「お前、何やってんだよ!」

「何って、詠唱じゃが」

「そんな長い詠唱してたら、日が暮れるだろうが!」


「じゃから言ったじゃろう。<わし1人ではちょっと問題がある>とな。サポートがなくては戦えん」


僕は訊く。

「えっと、そんなに長い詠唱が必要なの?」

「魔法の強さは詠唱時間によって決まる。例えば、<燃えろ>」

すると、人差し指に一瞬だけ小さな火が現れた。

「こんな感じじゃな。焚き火の着火くらいならこれでも十分じゃが、先ほどのモンスターを倒すには、さっきの2倍くらいの詠唱が必要じゃ」

ジャンヌは、溜め息をついて言う。

「全くどいつもこいつも、役立たずですわ」


そんなこんなで、僕たちは塔の頂上にたどり着いた。

すると、ボスモンスターが現れた。


「くくくくっ! よく来たな。オレの名はスパイド。お前たちを倒し、魔王様から世界の半分をいただくとしよう」


挿絵(By みてみん)


すると、ターニャが言った。

「ふん。ボス戦こそが、わしの本領発揮よ。ジャンヌ、リッカ。わしが詠唱を終えるまで、持ちこたえてくれ」

ターニャは詠唱を始める。


「<むかしあるところにおじいさんとおばあさんがいましたどんぶらこどんぶらこ・・・>」


え、古代魔法って、そういう感じ?

「詠唱が終わる前に、片付けますことよ!」

「おう!」

ジャンヌとリッカは、スパイドに斬りかかる。

剣1本と、ダガー2本がスパイドを襲う。

「むぅ!」

しかしスパイドは4本の腕で攻撃を防ぎながら、さらに4本の腕で反撃をする。

「くっ! なかなかやりますわ!」

数分間、激闘を繰り広げる。

すると、ターニャの詠唱が終盤を迎えていた。


「・・・どんぐりころころ!どんぐりこ!くらえ!ファイヤーストームクロ・・・」


「させん!」

スパイドの指から、クモの糸が飛び出し、ターニャの体にくっついた。

「きゃあ!」

ターニャは叫び声を上げる。


僕は、それを見て言う。

「えっと、もしかして・・・」

「う、うむ。詠唱は最初からやり直しじゃ」

すると、ジャンヌは怒鳴る。

「な!? 私たちの苦労は何だったんですの!?」

「お前たちもくらえ!」

「あぁ!」


ジャンヌとリッカと僕の3人は、クモの糸によって吊り上げられる。


おおっ

吊りあげられた2人のパンティが丸見えだ。

それを見た僕の股間がどんどん熱くなっていく。


「ふはは!これでトドメだ!」

スパイドはジャンヌとリッカを、8本の腕、40本の指で攻撃しはじめた。

そう、魔王の部下たちは、僕たちから<淫気>を取り出して食べるのだ。

ジャンヌとリッカら悶える。

「あっ、あぐっ、ヒロト、体をこっちに、向けて・・・」

するとジャンヌは、僕の股間に手を伸ばしてきた。

僕から精剣スペルニウムを抜くつもりなのだ。

僕の股間が白く光る。

しかし。


「させん!」

「うわぁぁ!」

糸が僕の体から離れ、僕は地面に落下した。

「そんな!あぁぅ!」

ジャンヌから、淫気の玉が放出される。


「ふあぁぁぁ!」

リッカからも、淫気が放出される。

それを、スパイドはゴクンと飲み込む。

「さて、次はあのエルフ・・・む!」


ドオォォ!


大きな炎が、スパイドを飲み込んだ。

ターニャは、既にクモの糸から脱出していた。

「ファイヤーストームクロスエクスプロージョン、じゃよ」

僕は驚きの声を上げる。

「す、すごい!」

「いや、ヤツにバレないように小声で詠唱したせいで、火力不足じゃ」

「え!?」

すると、スパイドは炎の中から現れる。

「ふん。肝を冷やしたぞ。淫気を吸収してなかったら、危なかったかもしれん。しかし、もう詠唱をする時間は与えんぞ」

「ふふ、どうやら、その必要はもうないようじゃ」

「なに?」


すると、ターニャは僕に向かって走り出した。

「わしがこの塔に来た目的は、我らエルフに残る言い伝えに従い、精なる僧侶から、精術スペルマージを授かるためじゃ。先ほどの白い光でわかった。ヒロト、まさかお主が精なる僧侶だったとはのう!」

ターニャはそう言うと、僕に顔を近づける。


「え? な、なに?」

「案ずるな。わしもダテに約840年生きてこやん。テクニシャンじゃからのぅのぅ」


チュッ


ターニャはそう言うと突然、僕にキスをした。

「え!?」

僕の初キッスで、こんな感じで奪われるの?


シュウウウゥ!


すると、ターニャの口元に光が宿っていく。

ターニャは僕から唇を離す。


「ふむ」


スパイドが叫ぶ。

「き、貴様!何をした!?」

ターニャは言う。

「あまり、わしにしゃべらせんほうが良いぞ」

すると、ターニャの周囲が嵐のような白い炎に包まれた。

「おっと。迂闊に話せんな。さっさと終わらせるか」

ターニャはスパイドに手をかざして言った。


「<死ね>」


ブチュッ!


スパイドは、悲鳴を上げる暇もなくつぶれた。

「ほう。詠唱ゼロでこの威力とは。これが精術スペルマージか」

僕はターニャに訊く。

「え、えっと」

「これでわしの目的は達し・・・むっ?」

ターニャを包んだ光が消えていく。

「どうやら、1回で出せるのは1発だけのようじゃのう」


ジャンヌと、リッカが起き上がる。

「せ、精なる剣士は、私だけではないんですの?」

「剣士は1人じゃな。わしは精なる魔法使い。わしの知る限りでは、他に精なる戦士、精なる召喚士がおる。今では失われてしもうたが、元の伝説は、<24人の精者が集いしとき、魔王を滅ぼし世界を救う>じゃよ」


に、24人、?

これは、長い旅になりそうだ・・・

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