第19話 再会
「キィィィィ!」
拙者ヒカルとライオどのは、南の入口から洞窟に入り、四鬼神の1体、朱雀と対峙していた。
朱雀が吐き出す炎が、拙者たちを襲う。
「むぅぅ! 手強いですじゃ!」
さらに、鋭い羽が飛んでくる。
「空間歪曲魔法! ディスト!」
拙者たちの周囲がねじれたようになり、羽の刃はそれていく。
「すごいでござる」
「しかし、わしには攻撃手段があまりないですじゃ。倒すにはヒカルどのの力が必要不可欠ですじゃ」
「拙者も、空中の相手はさほど得意ではないでござるよ。忍具は手裏剣、マキビシ、煙玉といったところでござる。致命傷は与えられないでござるよ」
「むん。手裏剣で行くですじゃ」
「手裏剣で?」
拙者は手裏剣を取り出す。
「物体拡張魔法! グランデ!」
「おおっ!」
拙者の手裏剣が、巨大になった。
「これならいけるでござる!」
拙者は朱雀に向かって手裏剣を投げる。
「ギィァァァ!」
朱雀の片翼を切断、落下した。
「トドメ!」
拙者は刀を抜き、朱雀の首に斬りかかる。
しかし。
ゴォォォ!
朱雀からの炎が、拙者を襲う。
「くっ! 油断したでござる!」
朱雀は起き上がる。
「はぁ、はぁ、はぁ、ヒ、ヒカルどの、大丈夫ですか、じゃ?」
「う、うむ。ライオどのこそ、大丈夫でござるか!?」
ライオどのは息を激しく切らしている。
強力な魔法の連発で、疲労が激しいのかもしれない。
「大丈夫でござる! 勝負をつけるでござるよ! 分身!」
拙者は2人に分かれる。
「光月斬二連…うわっ!?」
「ししし、しんぼうたまらーん!」
ライオどのは、急に拙者に襲いかかってきた。
「2人ぃ! 和風ギャルが2人ぃ!」
「な、なにするでござ… はぅぅ!」
ゴォォォォ!
そこを、朱雀の炎が襲う。
く、拙者の最後は、こんなことで…。
すると。
炎がライオどのに吸収された。
ライオどのの手に、白い本が現れている。
本を読み上げる。
「精書スペルムブック、第16章。炎の中に、私はいた。それは私の力となった」
そして、朱雀のほうに手をかざす。
「自分の炎で焼き尽くされるがよい」
ドォォォ!
「ギャアアアアスッ!」
<朱雀を倒した!>
「ふむ。これで奥に進め…ですじゃ?」
「お前も焼き尽くされるがいいでござる! 火遁の術!」
「ぎゃぁぁぁl」
拙者は、黒焦げになったライオどのを引きずって、洞窟の奥に向かった。
・・・・・・・・・・
狙撃。
パァンッ!
しかし、私のライフルは甲羅にはじかれる。
北の入口から入った私ナターシャとヤオは、四鬼神の1体、玄武と戦っていた。
カメの甲羅に、蛇のような長い首。
「連舞! 覇王十連撃!」
しかし、玄武の頭は甲羅の中に身を隠す。
ヤオの蹴り、拳、拳、蹴り、肘、蹴り、膝、拳、肘、蹴り。
「くっ! 硬い!」
そこに、再び甲羅の中から首が伸び、ヤオを襲う。
ヤオさんは回避。
私は頭部に接近し、二丁拳銃で撃つ。
しかし、再び隠れ、甲羅に弾かれる。
「体の動きはすっとろいけどネ」
「ああも出たり隠れたりされると、どうしようもないな」
「わたしが、あの首を捕まえるネ。そこを頭を吹き飛ばすネ」
「了解。照準構え」
「はぁ!」
ヤオは玄武に突撃する。
首がヤオを襲う。
「ここネ!」
ヤオは首を掴む。
私は拘束された頭を狙う。
と、そのとき。
ザシュゥ!
「ば、バカなアル…」
甲羅からもう1本の首が現れ、ヤオに嚙みついた。
ヤオは倒れる。
「くっ!」
パァン!
狙撃。
しかし、2つの首は甲羅に隠れる。
「ヤオ!」
私はヤオに駆け寄る。
「だ、大丈夫ネ…しかし、これじゃ…」
「うぅ…お姉さま。最後にお姉さまに抱かれて死にたかった…」
玄武の2つの首が、私たちを襲う。
そのとき。
シュパァァァ!
風の刃が、玄武の首を切断した。
「え?」
「シークレット・ストーム・クラッシュ・セイバー、じゃよ」
エルフの小さな女の子がそこに立っていた。
「ターニャ!」
ヤオは叫ぶ。
「久しいのう、ヤオ。そちらの黒服は精者かな? なにやら前髪が短い不思議な髪形じゃが」
「貴様! お姉さまに斬ってもらった前髪を侮辱するか!?」
私は叫ぶが、ヤオとエルフは無視して続ける。
「遅いネ!」
「そう言うでない。まさか、こんなに進んでおるとは思わなんでのう」
「グォォォ!」
玄武の残り1本の首が伸び、ターニャと呼ばれたエルフを襲う。
「ターニャ! ぐっ!」
ヤオは、噛まれた傷の痛みからか、動けない。
私はライフルを構えるが、首の動きを捕捉しきれない。
「避けるネ!」
「その必要はないのぅ。修行の成果を見せるときじゃ。速攻こそ、今のわしの本領発揮よ」
すると、ターニャは手をかざした。
「あおまきがみあかまきがみきまきがみ! トリプル・オブ・ザ・フレイム・ブリザード・サンダー・クラッシュ!」
すると、炎、、氷、雷の3種類の魔法が玄武の首を襲い、さらに甲羅も粉々に破壊した。
「グゴゴゴゴ!」
<玄武を倒した!>
「す、すごいネ」
「高速詠唱による威力向上と発動短縮の両立じゃよ。さて、先に進むとするかのう」