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第7回

第25回新風舎出版賞、最終審査落選作品(笑)

ー一昨年の10月、高3の18才の俺は、学校終わりに行っている予備校の帰り道、いつものコースである河原の土手を自転車で走らせていた。21時を廻っていた為、辺りはとても暗かった。

「前に誰か居る!」そう思ったと同時に急ブレーキをかけた。

「危ねーなー!」そのような言い回しの太い2種類の男の声。

その言葉に腹が立った俺は、とっさにこう言った。

「お前らが突っ込んで来たんだろーが」

「あん?ちょっと来いよ!」

 男2人組はそう言うと、俺の二の腕辺りのシャツを掴み、土手を下った芝生のスペースに引きずり込んだ。と同時に片方の男に背後に廻られたかと思うと、腰の辺りに激痛が走った。その痛みからして蹴られたという事は理解出来たが、後はどうする事も出来ず、そこにうつ伏せに倒れ、奴らに何発も蹴られ続けた。その時、俺は必死に両腕で自分の頭を押さえ続けた。その時自分の頭の何処かにあった、『頭だけは守らなければ』という知識があったからだろう。すなわち、その時確実に『死』を意識した。

 そいつらの風貌、口調から、俺と同い年か、もしくいは少し年下といった印象だった。そんな事位しか警察には伝えられなかった...。

「チクショウ...」

 俺は2人組が去り、静まり返った真っ暗な土手にうずくまり、独りそう呟いていた...。

 それから何時間経ってからだろうか。俺はゆっくり立ち上がると、土手を登っていった。すると、そこにあるはずの自分の乗って来た自転車がない事に気がついた。奴らの目的はその自転車にあったのではと思考しながら、ジーパンの右後ろのポケットに触れると、またそこにあるはずの財布もなかった...。

 その後、自力で歩いて家に帰ろうとしたはずなのだろうが、気がつくと走る救急車の中だった。どうやらあれから意識を失ってしまったらしい。そしてそんな自分に腹が立った。

「おっ!気がついたかい?」

 白いヘルメットをかぶった男が俺に話しかけている。俺はその問いに無言でいると、救急隊員だろうその男がこう続けた。

「君は気を失っていたんだよ。どこか痛む所はないかい?」

 そう言われ、そういえばと奴らに蹴られた腰に意識がいくと、思い出したかのように腰の辺りに激痛が走った。

「!!」

 俺は声さえをあげなかったものの、顔を激しく歪ませた。

「あー、大丈夫かい!?今はあまり動かない方がいい。後は私達に任せなさい」

 構わないでくれ!そんな偽善ぶった男の言葉に、俺は腹が立った。

 診察の結果、左の腰辺りの骨にヒビが入っており、全治2ヶ月の重症だった。歩けない程ではないが、腰を曲げる事はおろか、歩く度に左の腰に激痛が走った。

 診察結果が出ると、医者や親は入院を勧めたが、俺はそれを拒否し、家に戻ると、それからいつもと変わらず学校にも通った。仮に病院や家で療養生活をしながら受験勉強をしたとしても、この時期なら単位などに影響はなさそうだったが、自分自身、それは許せないものがあったし、何より、こんな状態の自分を認めたくなかったというのがあったからだ。

 その間にも今回の事での被害届を警察に出し、事情聴取などを受けたが、警察官の事務的な対処が腹立だしく、こんな所に来なければと後悔もした。

 俺はそれからというものの死にものぐるいで勉強をした。一日の生活は、学校の授業を含めて、勉強をしているか寝ているかの2つだったと言っても言い過ぎではなかっただろう。


 合格発表の日、特にいつもと変わらずの朝を迎え、発表会場であるその大学にも淡々と電車で向かった。最寄りの駅で降り、校舎まではそこから歩いて行った。そして掲示板の前までやって来ると、自分の受験番号と掲示板の番号を照らし合わせた。

『大学受験に失敗する』そんな事は自分の頭の何処にもなかった...。

 俺はかなりの間、そこの掲示板の前で立ち尽くしていた。

 意味がよく分からない。俺は何も間違っていない。あんなに必死に頑張ったんだ。なのに、なのに...あいつらだ。あいつらが俺を狂わせたんだ。何もかもあいつらのせいなんだ。そうだ、そうだよ、そうに決まってる!世の中平等でいかなきゃ...殺してやる。殺してやるよ!今度は俺があいつらを狂わせてやる!!

 俺は掲示板に背を向け、全速力で駆け抜けたー

第8回へ続く...

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