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第6回

第25回新風舎出版賞、最終審査落選作品(笑)

 あれから何日かしたある日、郵便局から俺宛に手紙が届いた。早速中身を開けると、それは無断欠勤が続いた為の解雇の知らせだった。なんとなく予想はついていたし、何も驚くような事はなかった。それにあちらからの解雇とあるが、俺から言わせれば、こちらから辞めてやったんだ、という腹立たしい気持ちだった。


 それから何をやるでもなく家に居たが、毎月来るはずの郵便局からのバイトの明細書が来ない事を母親は不思議に思ったのか、その事を俺に問いただした。俺は「バイトの期限が切れた」ただそれだけを言うと、元々短期間のバイトとして入った為、母親は黙って納得し、更に問いただす事はしなかった。

 俺はあの2日間、バイト先の危機管理の甘さを証明するつもりであの行動を起こしたが、なぜか何ともいえない複雑な心境に陥っていた。もちろん、やってやったという気持ちもある。しかし、2日目のあの時間は、確実に俺が居なくとも仕事が成り立っていた。そして誰一人として俺が居ないという事実、すなわち、俺の存在に気がついていなかったという事になる...俺はいったいなんの為に生きているのだろう...。こんな事を思ったのは初めてだった。そんな自分が悔しくて、俺は拳を部屋の床に叩き付けた。

「チクショウ...」

『チクショウ』あの時以来、この言葉は口癖の様になっていた。そしてこの言葉を口にする度、その時の記憶を思い出すー

第7回へ続く...

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